ふるさと納税確定申告のやり方

豪華な返礼品にばかり注目が集まる地方自治体への「ふるさと納税」。
そのメリットは返礼品に留まりません。

ふるさと納税の大きなメリットが所得控除や税額控除といった税金の「控除」、すなわち税金が「返ってくる」ことです。
しかし、ふるさと納税の税額控除は自動的に国や地方自治体が計算・還付の作業を行ってくれるわけではありません。

国も地方自治体もそこまでお人好しではありませんので、ふるさと納税を行った人が自ら届け出る必要があります。
届け出る方法は、「確定申告制度」「ワンストップ特例制度」の二つです。

今回は、ふるさと納税をした際の確定申告の流れや必要書類、注意すべき点をご説明します。

ふるさと納税すれば確定申告は絶対必要なのか

ふるさと納税は「納税」という名称がついていますが、税金ではありません。
税金は法令に基づいて国や自治体など徴税権を持つ主体が「強制的に」徴収する金銭です。

ふるさと納税は決して徴税権に基づいて強制的に徴収されるものではありません。
ふるさと納税は国民が公益・社会福祉を目的として無償で提供するものですので、実質的には都道府県や市区町村への「寄附」と捉えるべきでしょう。

国民が国の定める基準を満たす寄附を行った場合、ふるさと納税でなくても所得税や住民税の所得控除や税額控除を受けられます。
この元からあった寄附金控除の仕組みを援用したものがふるさと納税制度です。

従来の寄附金控除と比べたふるさと納税の特徴は、上限の範囲内であればそのほとんどが税額控除となり戻ってくるところです。
ふるさと納税は見方を変えれば、他の寄附金控除に比べて「節税」効果が高い寄附といえるでしょう。

ただし、あなたがふるさと納税という寄附を行ったという事実は、国やお住まいの自治体が知るところではありません。
社会保険料や生命保険料、損害保険料などは年末に勤め先などを通じて国に申告し、自動的に所得から控除されます。
後述のワンストップ特例制度を利用していない場合、ふるさと納税が国やお住まいの自治体に自動的に通知され、年末調整のように自動的に所得税額や住民税額が調整され、返金される仕組みにはなっていないのです。

そのためふ、るさと納税を行った場合は、ふるさと納税で寄附をしたという事実を国や自治体に申告する必要があります。
その申告をする手続きが「確定申告」です。

ふるさと納税確定申告に必要書類

ふるさと納税の確定申告を行う場合、申告書を作成するのに必要なものは6点あります。

寄附金受領証明書

ふるさと納税を行った自治体から送付されます。

対象年の源泉徴収票

被雇用者の場合、源泉徴収票は所属する法人から発行されます。

控除金受取用口座番号

受取用口座は確定申告を行う本人名義の口座に限られます。

印鑑

変形の可能性があるゴム印は不可です。
実印は必要ありませんので、認め印が必要です。

マイナンバー確認書類

マイナンバーカードを持っている場合は、マイナンバーカードの両面の写しを提出してください。
マイナンバーカードは本人の申請により交付されるもので、個人番号を証明する書類や本人確認の際の公的な身分証明書として利用できます。

もちろんマイナンバーカードを持っていなくても確定申告は行えます。
マイナンバーカードを持っていない場合は、「マイナンバーの通知カード」(これは全ての国民に送達されています)「住民票の写し」「住民票記載事項証明書」のうち1点を提出する必要があります。

身元確認書類

マイナンバーカードを持っている場合は、マイナンバーカードの写しが身元確認書類を兼ねており、マイナンバーカードの写しを提出することで身元確認書類を代替できます(追加で身元確認書類を提出する必要はありません)。
もちろんマイナンバーカードを持っていなくても他の書類で身元確認書類は準備できます。
マイナンバーカードを持っていない場合は「運転免許証」「公的医療保険の被保険者証」「パスポート」「身体障害者手帳」「在留カード」のうち1点を提出する必要があります。

ふるさと納税確定申告の流れ

ふるさと納税の確定申告は、まず「所得税及び復興特別所得税の確定申告書」を入手するところからスタートします。
手で記入する場合は、印刷された申告書を入手する必要があります。申告書は税務署、申告相談会場で入手できます。
また、国税庁のホームページにアクセスして、所定のファイルをダウンロード・印刷したものもそのまま申告書として利用できます。

申告書はオンラインで作成することも可能です。
国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」を開き、画面の案内にしたがって入力作業を行います。
入力作業は上記の「必要なもの」をそろえていれば、迷うことなく入力できます。必要事項を入力したら、自動的に必要な納税額や還付額が算出されます。完成したデータを印刷すれば申告書は完成します。

ふるさと納税として寄附した金額は「所得控除の内容等」の「寄附金控除」に入力します。
オンラインで申告書を作成する場合は、「寄附金控除、政党等寄附金等特別控除」においてふるさと納税として行った寄附全ての入力作業を行えば、自動的に合算され寄附金控除の金額が算出されます。

完成した申告書に、「源泉徴収票(原本)」と「寄附証明書」を添付して、税務署の窓口へ直接持参するか、郵便で送付すれば確定申告は完了です。

ふるさと納税確定申告の具体的な入力例

国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」において、ふるさと納税の確定申告を行う場合の具体的な入力例をご紹介します。ふるさと納税の確定申告の入力作業と、一般の入力作業の異なる点は1点のみです。それは「寄附金控除」の入力です。

入力の際の必要事項は6つあります。

寄附年月日

寄附金受領証明書」で証明されている寄附年月日の日付をそのまま転載してください。

寄附金の種類

選択メニューが準備されていますので、「都道府県、市区町村に対する寄附金(ふるさと納税など)」を選択しましょう。

寄附金の種類(詳細)

(1)都道府県または市区町村のどちらに対する寄附か選択し、(2)リストボックスから「都道府県」あるいは「市区町村」を選択してください。

支出した寄附金の金額

「寄附金受領証明書」で証明されている寄附金額をそのまま転載してください。

寄附先の所在地

「寄附金の種類」において都道府県名等を選択すれば自動入力されますので、この項目は確認するだけで結構です。

寄附先の名称

この項目も、「寄附金の種類」において都道府県名等を選択すれば自動入力されますので、確認するだけで結構です。

ふるさと納税確定申告後、還付金はどのよう戻ってくるのか

還付金が戻ってくる時期・値段

ふるさとを支援することによって控除が受けられる税金は「所得税」と「住民税」です。
所得税の控除は税金が還付金という形で文字通り払いすぎた税金が戻ってきます。

所得税の還付金が戻ってくる時期は、確定申告を行ってから概ね1〜2カ月後(4月〜6月)です。
所得税の還付金は確定申告の際に届け出た控除金受取用口座に振り込まれます。
また、所得税の還付金が入金される前に、郵送によって還付したことと、還付金の金額、還付金の入金時期が通知されます。

なお、税金の返還について国や自治体の職員や、ましてや警察官から電話がかかってくる可能性は低いでしょう。
さらに、電話をかけてきた人が還付金を受け取るのに銀行に出向くことを要求してきたり、銀行の自動預払機(ATM)まで誘導したりすることは絶対にありません。

「手続き期限は今日までです!なので、急いで手続きをお願いします」「操作方法を説明しますので、私がいったとおりにボタンを押してください」「誤った操作や、押し間違い等があれば手続きができませんのでご注意ください」などは詐欺グループの常套句です。
そのような電話がかかってきた際は間違いなく詐欺ですので気を付けましょう。

一方、住民税の控除は「還付金」という形で戻ってくるわけではありません。
住民税の場合、控除額の分だけ翌年度の住民税が安くなります。

住民税が安くなった分だけ(自治体に税金を払わなくてよくなった分だけ)、私たちはお金を多く手元に残すことができます。
このようにして実質的にお金が「戻ってくる」のです(ふるさと納税の90%はこのような形で「戻って」きます)。
本来の住民税額(前年の所得に基づいて計算される)から、前年に行ったふるさとへの寄附金のうち住民税の控除相当額が差し引かれて、「安くなった」金額が6月に住民税決定通知書に記され、届けられます。

それでは地方自治体への寄附金によって控除が受けられる税金はいくらになるのでしょうか。
所得税や住民税から寄附金控除される金額は、地方自治体への寄附金の「全額ではない」ことに気を付けることが必要です。
というのも、ふるさと納税の控除額には2つの制約があるからです。

自己負担額

自己負担額は給与収入の多寡の影響は全く受けず、誰でも一律2,000円です。ちなみに、政治活動に対する寄附金、認定NPO法人への寄附金、公益社団法人への寄附金などに寄附をした場合、寄附金控除の自己負担額は2,000円です。

控除上限額

あなたが納めるべき税金がまるごと寄附に回せるわけではありません。
もし、地方自治体への寄附金が上限額を超えた場合、その部分については全て自己負担になります(つまり、還付も控除もありません)。

上限額は地方自治体への寄附金を行う本人の収入の水準と家族構成(配偶者の有無、子どもの数、子どもの年齢など)によって変わってきます。
例えば、寄附者本人に300万円の給与収入である場合、ふるさと納税額(概算)のMAXは0円(収入がない配偶者、20歳の扶養親族、18歳の扶養親族の4人家族の場合、以下同様)〜28,000円(独身の場合や配偶者の給与収入が141万円以上の場合、以下同様)です。
寄附者本人に700万円の給与収入がある場合、ふるさと納税額はMAXで66,000円〜108,000円です。

もし地方自治体への寄附金の金額が上限の範囲内であれば、地方自治体への寄附金額から2000円を除いた全額が所得税と住民税から控除されます。
所得税から控除される金額は(ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」です。

所得税の税率は課税所得額が195万円以下なら5%、195万円超330万円以下なら10%、330万円超695万円以下なら20%、695万円超900万円以下なら23%、900万円超1,800万円以下なら33%、1,800万円超4,000万円以下なら40%、4,000万円超なら45%です。
住民税から控除される金額は(ふるさと納税額-2,000円-ふるさと納税の所得税の控除額)です。

確かに地方自治体への寄附金には2つの制約があります。
それにもかかわらず、地方自治体への寄附金は年を追う毎に増加し続けています。
それは、地方自治体への寄附金の意義(納税意識の高まり、地域振興、自治体間のサービス競争など)への共感と、地方自治体への寄附金によって得られる返礼品の魅力に寄るところが大きいでしょう。

もちろん、自分が住んでいる自治体に税金を納めて、公共サービスとして自分に返ってくるという意義が住民税にもあるのですが、自らが納付した税金の使途にまで口をはさむことはできません。
その点、自らの寄附金がその地域の振興に役立ててもらったり、その地域の新しい魅力の発掘につなげてもらったり、その地域の待機児童問題の解消に役立てもらうなど、ふるさと納税であれば自らがその使途を選ぶことができるのです。
たった2,000円の自己負担額で共感を満たしつつ、返礼品を得られるのですから、「ふるさと納税をやらずんば人にあらず」とばかりに皆がふるさと納税に殺到しているのです。

引っ越しした時のふるさと納税確定申告はどうすればすいいのか?

結婚や離婚、転勤など、さまざまな事情で住所・居所を変更しなければならないケースがでてきます。
引っ越しをすれば、さまざまな先(電気・ガス・水道会社、銀行、勤務先、カード会社など)に対して住所変更を届け出る必要がありますが、ふるさと納税についても例外ではありません。
地方自治体へ寄附をした人が引っ越しをした場合、申告を行う際にどのような点に気を付けなければならないのでしょうか。

まず気をつけるべき点は、確実に郵便物の転送手続きを行うことです。
税務署に寄附金の申告するためには、それを証明する書類が必要です。
その役割を果たすのが受領証明書です。

受領証明書は、地方自治体へ寄附する際に申し出た現住所に送達されます。
引っ越し前に受領証明書が受け取ることができれば、書類が行方不明になることはありません。

しかし、引っ越し後に受領証明書が発送された場合は、行き違いで旧住所に証明書が届いてしまいます。
郵便物の転送手続きをしていないと、旧住所に郵送された証明書が転送されることはなく、旧住所に届いたままになってしまいます。

そのようなことがないように、引っ越しをした場合は郵便局に転送の届け出を行いましょう。
郵便窓口で手続きを行いたい場合は、本人確認書類(転居を申し出る人の運転免許書や健康保険証など)と旧住所の確認書類(旧住所が確認できる運転免許証、パスポート、住民基本台帳カードなど)を持参してください。

仮に受領証明書を引っ越し前に受け取ったしても、全く問題がないわけではありません。
受領証明書に記載されている住所が旧住所の場合は、今の自分の現住所とは異なり、整合性がとれません。そのためふるさと納税先の自治体に連絡をとって、証明書を再発行してもらう必要があります。
住所欄が空欄で、自筆で記入できる受領証明書を発行している自治体もありますが、それは稀です。

引っ越しをした場合は、すぐに地方自治体への寄附金先の自治体に連絡をしましょう。
そして、受領証明書を再発行してもらうためにはどのような必要書類を準備し、どのような手続きをすれば良いのか確認してください。
自治体によっては古い住所が載っている受領証明書の返送を求める場合もあります。

年末の自治体も忙しい時期に手続きをした場合、新しい受領証明書の発行に時間がかかる場合もあります。忙しいでしょうが、引っ越しをしたら遅滞なく、連絡をとり手続きを進めましょう。

ふるさと納税確定申告は、自分だけではなく妻の分も申告していい?

ふるさと納税の仲介サイトには、自治体ごとに工夫された返礼品が「展示」されていて、どこに税(寄附)を納めれば良いのか、どこに税を納めれば一番得をするのか、選ぶ喜びがわいてきて楽しいものです。

各自治体が準備する返礼品は、どれも工夫がほどこされていて感心することも少なくありません。
ポータルサイトで返礼品を眺めていると、インターネットショッピングをしているような感覚に陥ります。
しかし、ふるさと納税はショッピングではありません。
インターネットショッピングなら誰の名義で購入しても問題ありませんが、ふるさと納税の場合は「誰が納税したのか」という情報、すなわち「名義人」が重要な意味をもってきます。

地方自治体への寄附金を申告する際に手元に置いておくべきなのが「受領証明書」です。
この受領証明書には「どこの住所に住んでいる、誰(名義人)が、何月何日に、どれだけの金額を寄附したのか」が証明されています。申告を行う人と受領証明書に記載されている寄附をした人が同一人でなければ、税金が差し引かれることはありません。

よくあるパターンは申告を行わないパートナーが、パートナー自身の名義で地方自治体への寄附金を行うケースです。
パートナーの方は、夫婦で家計を一つにして、相互に扶助しあっているので、どっちの名義だろうがあまり意識することはないのかもしれません。

しかし、もし納税者ではないパートナーの名義で地方自治体への寄附金を行ったケースでは、そのふるさと納税は申告を行っても控除の対象にはなりません。
なぜなら、その地方自治体への寄附金は申告をする人が行った寄附ではないからです。
もし申告で控除を受けたいのであれば、申告を行う人の名義で地方自治体への寄附金をするようパートナーに伝えておきましょう。

もし、パートナーが所得税や住民税を支払う水準の所得を得ているのであれば、パートナーの名義で申告を行い、地方自治体への寄附金の控除を受けるのも一つの手です。
上限額の範囲内であれば、ふるさと納税額から2000円を差し引いた全額が、パートナーの所得税もしくは住民税から控除されます。

ふるさと納税はお得なことばかりではない?特産品の扱い

ふるさと納税人気に火を付けたのは間違いなく豪華な返礼品であることには異論はないでしょう。
最初からふるさと納税の理念に共鳴をした、という人もいたかもしれませんが、そういう方は稀です。
人間は合理的期待に基づいて行動を決定しますので、返礼品に惹かれたからといって誰も責めることはできません。

「高還元率コスパランキング」といった情報がネットにあふれているのは、ふるさと納税によってより多くの物を得たいというニーズに基づく現象でしょう。
例えば「宮崎県都城市に1万円寄附すると、1万6,000円相当の都城産豚・Mの国、黒豚4kgセットが送られてくるので、還元率は160%になる(ふるさと納税の自己負担額は2,000円なので、実質的なリターンは800%)」とか、「和歌山県田辺市に1万円寄附すると、1万4,000円相当の紀州田辺産南高梅白干し梅樽7kgが送られてくるので、還元率は140%になる(自己負担額比の実質的なリターンは700%)」といった情報が掲載されています。

非常にお得な返礼品ですが、喜んでばかりはいられません。
なぜなら、この特産品は厳密にいうと「一時所得」に該当します。
これは一見奇妙なことのように思えます。なぜなら、あなたが財布の中に入っているお金で何かを購入したとしても、当たり前ですがその「何か」(例えば、特産品のようなお米、ハムなど)は一時所得にはなりません。

ふるさと納税の特産品が一時所得として扱われるのは、お礼として受け取った農産物、海産物、工芸品等あらゆる品物は(上記の例のように)「購入したもの」ではないからです。
購入していないからこそ、ふるさと納税は「寄附金」なのであり、寄附金控除の対象になるのです。したがって、ふるさと納税で受け取った返礼品は、購入したものではないため「所得」として扱われます(自治体という法人からの贈与により所得するものと認識されています)。

「なんで物が所得として扱われるの?」と疑問に思われるかもしれません。
返礼品が所得になる根拠は、所得税法の定めによっています。
特産品には「◎万円相当」「▲千円相当」と記載があります。
それらの記載を参考にして、ふるさと納税の返戻として受け取った特産品の「金額」を把握しておきましょう。
よほどの高額所得者でない限り、年間50万円を超える返礼品を受け取ることはできないでしょうが、該当するならば税務署において確定申告の際に「一時所得」として申告してください。

ふるさと納税の確定申告で漏れていたものがあるけどどうすればいいの?

たくさんの自治体に地方自治体への寄附金をすると、うっかり税務署への確定申告の際に忘れてしまう場合があります。
あまりにも大量に地方自治体への寄附金をすると、「どこに寄附したっけ…」とついつい失念してしまうのもやむを得ないことかもしれません。

また、ふるさと納税をしてから証明書が届くまでにタイムラグがあります。また、証明書を受け取ってから税務署で確定申告を行うまでもタイムラグがでてきます。タイムラグがあると、ついつい受領証明書をぞんざいに扱いがちです。
地方自治体への寄附をしたのに、税務署での確定申告の際に寄附金控除として加算し忘れ、そのまま放置していると、その地方自治体への寄附金は完全に無駄になり、全額自己負担となってしまいます(つまり、税金は安くならないということです)。

税務署で確定申告を行った後に、「あ!忘れてた」と地方自治体への寄附金の申告漏れに気付いたい場合は、「更正の請求」を行ってください。更生とは誤った事柄を正す作業です。
更正の請求に必要な書類は、国税庁のホームページからダウンロードすることができます。
「更正の請求書」を提出する場合は、申告し忘れていた地方自治体への寄附金の受領証明書が必要になりますので、準備しておきましょう。

提出された更生の請求書は、税務署でその内容の検討されます。「本当に前年に行われた地方自治体への寄附金か…」「名義人に誤りはないか」「すでに申請された寄附金控除と重複はないか」などを検討します。
もし、「この控除を考慮にいれたら、支払いすぎた税金がある!」と税務署が判断した場合は、所得税額が減額更生されます。差額分の税金は、後日還付されます。
更正の請求ができるのは法定申告期限から「5年以内」です。

「5年も時間があるなら、いつ手続きしてもいいや!」と考えがちです。
しかし、時間が経過すればするほど、記憶は薄れたり、手続きが面倒に感じたりして、控除を放棄する可能性があります。気付いたら即、請求手続きを行うようにしましょう。

ワンストップ特例制度とは?

「地方自治体への寄附金で受けられる寄附金控除や返礼品は魅力的だけど、税務署で確定申告するのは面倒だな…」という面倒くさがり屋さんにオススメなのが「ふるさと納税ワンストップ特例制度」(以下、特例制度)です。この特例制度は平成27年4月1日以降のふるさと納税から新たに設けられました。新たな制度が導入されたことによって、ふるさと納税に関わる手間が減り、効率的にふるさと納税ができるようになりました。
「地方自治体への寄附金をしなければ、税務署で確定申告をする必要はないんだけど…」「5つ以下の地方自治体にしかふるさと納税をしないよ…」という人であれば特例制度を利用できます。

特例制度の利用はとても簡単です。
ワンストップとは「一箇所で手続きを行えば、その他全ての手続きが同時に済んでしまう」ことを意味します。
通常であれば上で詳しく説明してきたように、寄附を行った翌年に税務署で確定申告を行う必要があります。

しかし、この特例制度を利用すれば、税務署で確定申告する必要がなくなります。
特例制度の適用を希望する場合は、ふるさと納税を行った寄附先の地方自治体に「ワンストップ特例申請書(正式名称は、寄附分市町村民税道府県民税寄附金税額控除に係る申告特例申請書)」(以下、特例申請書)を提出する必要があります。

これは特例制度を利用する度に毎回出さなければなりませんので、最大で5回提出することになります。

特例制度を申請する際は、個人番号と身元を確認する書類の添付が必要になります。書類の貼付方法は3パターンあります。

第一のパターンがマイナンバーカードの写しを添付する方法です。
裏面の写しが個人番号の確認に、表面の写しが身元確認に使用されますので必ず両面とも複写して添付しましょう。

第二のパターンがマイナンバー通知カードのコピーもしくはマイナンバーが表示されている住民票を番号確認用に添付し、身元確認用の書類は運転免許証のコピーもしくはパスポートのコピーを添付しましょう。

第三のパターンは番号確認用にマイナンバー通知カードのコピーもしくはマイナンバーが表示されている住民票を添付し、健康保険証・年金手帳・提出先自治体が認める公的書類のうち2点のコピーを身元確認用に添付しましょう。

地方自治体への寄附金先は申請者に対し「特例申請書の受付控え」を返送してくれます(これはあなたが特例制度の申請を行ったことを証明する書類ですので、大切に保管しておきましょう)。
特例申請書を提出すると寄附先の地方自治体が、お住まいの地方自治体に「こちらの方は、ふるさと納税でこちらの地方自治体への寄附金を行ったよ」と連絡をとってくれます。

控除に必要な情報は寄附先の地方自治体がお住まいの地方自治体に連絡してくれますので、寄附をした人が何らかの申告をする必要はありません。
控除分は翌年度分の住民税から自動的に減額されます。

ワンストップ特例制度を利用する上での注意点

ふるさと納税の特例制度は税務署への確定申告の必要がなくなる便利な制度ですが、利用するにあたっては注意点が4つあります。

特例制度の利用条件を満たす必要がある

条件は2つあります。
一つ目の条件は「ふるさと納税をする先が5団体以内におさえなければならない」というものです。
最初は5つの地方自治体以内におさめるつもりでふるさと納税を行っていても、返礼品に惹かれて地方自治体への寄附金先は増えがちです。
仮にワンストップ特例申請書を提出していたとしても、地方自治体への寄附金先が5自治体を超えた時点で、特例制度は受けられなくなるので注意しましょう。

二つ目の条件は「ふるさと納税をしていないと仮定した場合、税務署への確定申告の必要がない」です。
「給与の収入金額が2,000万円を超える」、「同族会社の役員やその親族などで、その同族会社から給与のほかに、貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払いを受けた」、「給与について、災害減免法により所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた」、「二箇所以上の勤務先から給与所得を得ている」、「年内に転職をした」、「給与所得とは別に不動産所得や事業所得がある」、「大きな手術を受けたので医療費控除を申請したい」、「公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引いた結果、残額がある」、「外国企業から退職金を受け取ったが、所得税が源泉徴収されていない」という人は、地方自治体への寄附金の有無に関わらず税務署に確定申告をしなければなりません。
結局は税務署から確定申告を求められワンストップ特例申請書を出すだけ無駄ですので注意しましょう。

なお、あなたが特例制度の対象外になったとしても、国や自治体から「あなたは特例制度の対象ではありません」という通知が届くわけではありません。
そこまで税務署も自治体も親切ではありません。特例制度の対象外になった人が地方自治体への寄附金の控除を受けたければ税務署に確定申告をしなければなりません。
上記の2つの条件を満たせない人は、税務署において期間内に確定申告をしましょう。

特例制度の適用申請後に引っ越した場合

地方自治体への寄附金控除の資格があることは、寄附先の自治体から、ワンストップ特例申請書に記載されている自治体へと通知されます。
記載されている自治体が旧住所の場合、あなたが引っ越し後に暮らしている自治体には一切の通知が行われません。

もし、引っ越した場合は、お忙しいとは思いますが、ワンストップ特例申請書に記載されている内容に変更が生じたことを寄附先の自治体に連絡しましょう。
連絡は「変更届書」によって行います。地方自治体への寄附金を行った翌年の1月10日(必着)までに、寄附先の自治体へ変更届出書を忘れずに提出しましょう。

もし、1月10日に間に合わなかった場合は届出書が受理されませんので、税務署において確定申告を行いましょう。

平成27年の確定申告は特例制度の対象外の時期がある

特例制度が導入されたのは平成27年4月1日です。
そのため、平成27年1月~3月に行った地方自治体への寄附金はワンストップ特例制度の対象外になってしまいます。

当該時期に地方自治体への寄附金を行った場合は、控除を受けるためには税務署に確定申告を行う必要があります。
その対象者は平成27年4月以降に寄附をしたとしても、ふるさと納税ワンストップ特例の申請をしていても対象外になってしまいます。

平成27年1月1日~12月31日までに行った全ての寄附について税務署へ申告するようにしましょう。

所得税からの控除は発生しない

いくら待っていても所得税の還付金はありませんので焦らないようにしましょう。
だからといって、納めた寄附が無駄になるわけではありません。
地方自治体への寄附金は翌年の6月以降に支払う住民税の減額という形で控除が行われます。

なお、「最初はワンストップ特例制度を利用しようと思っていたけど、6つ以上の自治体に寄附をしたいからやっぱり税務署で確定申告をすることにした」という場合、何ら特別な手続きをする必要はありません。
既に行った手続きは放置したままで結構ですので、寄附金の証明書を利用して税務署において確定申告を行いましょう。

ふるさと納税の確定申告方法や期限、ワンストップ特例や還付金の基礎知識を全解説のまとめ

地方自治体への寄附金は返礼品に大きな注目が集まっています。
しかし、もう一つのメリットである控除を受けたければ、きちんと手続きを行う必要があります。
条件を満たせるならばワンストップ特例制度を利用しても良いでしょうし、条件が満たせないなら確定申告を行う必要があります。

初めて確定申告を行う人は「確定申告って難しい」と思いがちですが、上でも説明しましたように決してそんなことはありません。必要書類さえそろってればオンラインで確定申告書は作成できますし、パソコン操作に慣れていれば1日足らずで書類は完成します。

地方自治体への寄附金に興味をもったら、返礼品選びばかりに没頭するのではなく、来るべき確定申告に備えて情報収集を始めましょう。
地方自治体への寄附金を行った年内に準備しておけば、翌年の確定申告時に焦る必要はありませんよ。

今回はふるさと納税に関わる確定申告について説明しましたが、地方自治体への寄附金には大きな意義があることを忘れてはいけません。
地方自治体への寄附金のお陰で私たちは納税の意味について考える機会が増えました。
税金を徴収する手続き上、源泉徴収は非常に優れた制度です。所得税や住民税を取りはぐれない一方で、納税者には「税金を支払っている」という意識よりも、「税金は自動的に取られるもの」という意識が先行してしまいがちです。
地方自治体への寄附金によって「寄附という形態で自らお金を納める」という意識が高まりました。

また、ふるさと納税は自治体の意識変革ももたらしつつあります。
豪華な返礼品には都市部の自治体から非難が集中しています。しかし、そのような自治体はプレゼントを準備するための予算を確保するために努力をしているからこそ、豪華な返礼品を準備することができるのです。
崇高な理念によって地方自治体への寄附金を集めようとする自治体もあります。都市部の都府県・市区町村であっても、自らが努力をすることによって、地元住民を含めた全国の住民から「地方自治体への寄附金」を集めることは可能なのです。
全く努力しない自らを棚にあげて、他の自治体を非難する行為はとても褒められたものではありません。地方自治体への寄附金の登場によって、地方自治体にとっての税金は「自動的に住民から納められるもの」から、「努力したり工夫したりして納めて頂くもの」へと変貌しつつあります。

さらにふるさと納税は納税者自身が税金(寄附)の使途を指定できるという特徴があります。
森林の保護、待機児童問題の解消、老人福祉の充実、子どもたちが安心して暮らせる公園の整備、特産品の振興など、納税者の代理人(地方自治体の議員)が決定してきた税金の使途を、納税者自身が指定できるようになったのです。
「国や地方自治体は自分たちのために何もしてくれない」と嘆いてばかりいず、地方自治体への寄附金を通じて、自らの意志を地域づくりに反映させてみてはどうでしょうか。

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