債務者が死亡したら借金はどうなるのか知りたい!

人は誰でも人生の終焉が訪れます。そのときに債務者が負っている債務や現在自分が負っている債務、特に金銭債務である借入金がどうなるのか。それは相続関係とも深くかかわっています。

そこで、今回は相続との関係で借金などの債務がどうなるのかについて解説していきます。

債務者が死亡した場合の借金は「相続人」が引き継ぐ

債務も相続の対象になる

債務者が死亡した場合、その借入金は相続人に相続されます。相続では、単に権利などのみだけではなく債務などの義務も相続人に承継されます(民法(以下、法典名略)896条本文・882条)。このことを法律上、一般承継と呼びます。ただし、被相続人(亡くなった人のこと)の一身に専属していた権利は相続の対象とはなりません(896条但書、いわゆる一身専属権)。

通常、借金が被相続人の一身専属権となることは考え難いので、基本的に相続されると考えておいてよいです。

実務的な場面では注意も必要

ちょっとだけ注意しておいてほしいのは、実際の借金には色んなケースがあることです。

たとえば、「保証」関係です。特にこの中でも、「人的保証」とよばれる、不可分債務、連帯債務、連帯保証、単純な保証、不真正連帯債務などで複数人が債務を負っているようなケースです(ほかにも保証連帯などがあります)。

このうち、通常は「連帯保証」と呼ばれる保証形態が一般的かと思われますので、その点だけを説明しておきます。

そもそも連帯保証というものがどのようなものでしょう。もっとも、連帯保証それ自体についてここで深追いはしません。ここでは、内容を分かりやすくするために具体例をあげて、それにそって考えていきます。まずは連帯保証について必要な範囲で知っておくべきことをあげていきます。

連帯保証についてこれだけは知っておこう!


連帯保証とは、連帯債務とも保証契約とも異なる面があります。連帯債務では債務者が各自いわば独立した債務を負いますが、連帯保証では一応「付従性」と呼ばれる主債務が不成立のときは保証債務は成立しないという作用が働くとされており完全に独立した債務を負担するわけではありません。また、負担部分という観念もありません。

保証債務との関係では、単純な保証の場合は「催告の抗弁権」や「検索の抗弁権」と呼ばれる抗弁権が保証人に認められるのに対し、連帯保証ではそのようなものは認められていません。

ですので、裏を返せば連帯保証の場合は債権者は主債務者に請求することなく、いきなり連帯保証人に対して弁済を求めることができるのです。

さて、以上のことを前提にして、実際に相続が生じるのは2つのケースがあげられます。主債務者死亡のケースと連帯保証人死亡のケースです。
しかし、いずれのケースでも結果は同じですのでここではまとめて記載していきます。

【例】
主債務者Aは、債権者Xに対して100万円の債務を負担しており、これをYが連帯保証人となって保証した。
 その後、主債務者Aが死亡した場合、唯一の相続人Zは100万円の支払い義務を負うか。

【解説】
答えは、「はい」です。
相続したとしても契約の内容は変更にはなりません。そのため、A死亡後も連帯保証契約はそのまま連帯保証契約としての効力を有しています。
しかも連帯保証なので、債権の弁済期が到来している限り、XはZに対しても、Yに対しても100万円全額の支払いを求めることが可能です。
なお、このケースとは違い連帯保証人Yが死亡して、その子Rが相続したという場合でも同じです。Rは、Yの相続人としてAとともに100万円の支払い義務を負います。

債務者が死亡した時に引き継がれる相続人って?


ここまで連帯保証と相続についてみてきました。次に、「相続人」について説明していきます。

法定相続人と推定相続人

 相続人とは、民法の規定に従って相続権を有するひとのことをいいます(いわゆる「法定相続人」)。遺言などによって相続財産を受ける人は、受遺者であって相続人ではありません。また、現実に相続が生じない(相続の開始については882条参照)ときに、相続が開始されれば相続人となる予定の人を「推定相続人」と呼んで区別します。ちなみに、この推定相続人は、将来相続できるというような期待権を有しているにすぎず、個々の財産に対して具体的な権利を持っているわけではありません(882条・最高裁昭和30年12月26日民集9巻14号2082頁)。

同時存在の原則と胎児について

また、民法上には直接的な規定はないのですが、「同時存在の原則」と呼ばれるものがあります。これは、ヒトが権利能力の主体になるのは出生のときからとする民法上の規定(3条1項)を前提に、相続開始の時点で出生していないときには権利義務の主体になれず、そのため相続人となることができないという考え方を前提にしています。

そして、これにも例外があります。
相続開始時点で、胎児のケースです。
上の同時存在の原則を貫徹すると、胎児はまだおかあさんのお腹の中ですので、「出生」はしていません。そのため、原則として相続人になることができません。

しかし、確かに胎児は生まれてはいないものの、現在の医学では相当高度な蓋然性をもって生まれてきますし、なにより胎児の時点で親が死亡したようなケースでは単に時間の経過に左右されて自身の相続権がなくなってしないます。

そこで民法はこの点に例外を置きました。
胎児は、「相続については」すでに生まれたものとみなすとしたのです(886条1項、なお、この点に関する細かな議論は省略します)。
こうして、相続についてはお腹のなかの胎児も、相続人となります。

債務者が死亡した時のために知っておきたい!「相続人の範囲」について


上に述べたように、「胎児」は相続人になることができます。
その他に相続になるのは、
・「子」
・「直系尊属」
・「兄弟姉妹」
・「配偶者」
です(887条から889条)。

ただ、ここでも以下の2つの例外に注意が必要です。

① 相続人の欠格
相続人に一定の事情が存在した場合には、相続になる資格を法律上奪うものです。

被相続人を「故意に」殺害しようとしたなどの事情によって刑に処せられたもの、被相続人が殺害されたことを知って告発も告訴もしなかったもの、詐欺・強迫などによって被相続の遺言を妨害したもの、遺言書の偽造などをしたもの(最高裁は不当に利益を得る目的も必要とする)など。
こうした事情があると、そのひとは相続人になることができなくなります。

② 相続人の排除
欠格が法律上当然にその地位を奪うものであったのに対し、排除は被相続人の意思(法律上は「意志」ではなく「意思」と書きます。)で特定の人が相続人になるのを排除するものです。

そうはいっても、無条件に排除できるわけではありません。

「遺留分を有する相続人が」、被相続人に対して「虐待」「重大な侮辱」「著しい非行」があった場合に、被相続人は推定相続人をその相続関係から排除することができるようになります(892条)。
実際に相続人を考えるにあたっては、排除された人はいないのか、欠格事由に該当しないのかという観点も必要になります。

【債権者死亡時の配偶者】は常に相続人の地位にあたる

内縁の妻や夫は異なることを交えて紹介します
 
さて、まずは配偶者について説明をしていきます。
配偶者は、常に相続人になります(890条1項)。なお、ここでいう「配偶者」は、法律上の配偶者を指すので、内縁関係は含まれません(判例・通説)。

他に法定相続人がいるときは、他の法定相続人と同順位で相続人になります。なぜそうなのかというと、被相続人の財産はたとえ被相続人のみの名義であったとしても、配偶者の協力があって形成されたものと考えられるからだと言われています。

【債権者死亡時の子または養子】は第1相続人にあたる

実子か養子であるかは問わず第1相続人になること。また、普通養子は実親と養親の相続人となることを交えて紹介します

債権者死亡時の子または養子は相続人となります。また、嫡出子か非嫡出子であるかを問いません。また、いずれの場合であっても第一順位の相続人になります。

非嫡出子が父を相続するときは「父」の認知が必要です。他方、非嫡出子が母親を相続するときには、分娩の事実によって母子の嫡出関係が明らかであるから(最判昭和37年4月27日民集16巻7号1247頁)、認知を必要としません。

養子については、法律上2つの制度が存在しています。
普通養子の場合は実方との親族関係は遮断されないので実親に対しての相続権を有しますが、特別養子縁組のばあいには実親との親族関係が遮断されるので相続権は発生しません。

【債権者死亡時の親等が近い直系尊属】は第2相続人にあたる


生存している親等の近い直系尊属が相続人になることを交えて、具体例を紹介します

家系図を想像しながらだと不思議かもしれませんが、被相続人の直系尊属も相続人になります(889条1項)。父方、母方、実子、養子を問いません。

ただし、直系尊属は、第一順位の相続人である子およびその代襲者がいない場合に限って相続人になります。また、親等の異なる者の間では、その近いものを先にします。
【例】
たとえば、被相続人Aに、Aの親Bと配偶者およびAの子Cがいる場合。
この場合は、Aの直系尊属であるBは相続人にはなりません。なぜなら、被相続人のAには、Bより先順位の配偶者とその間の子Cがいるからです。

【例】
たとえば、被相続人Aに、その親BCがいる場合でAが死亡
この場合は、Aの親であるBCに優先する順位の相続人がいませんので、BCはAを相続します。

【例】
たとえば、Aには配偶者Xと、Aの親Bがいる場合で、A死亡。

この場合、Xと親Bが相続人になります。配偶者は常に相続人になりますので、Bと同順位で相続人になります。
このように、直系尊属が相続人になるケースというのは要は被相続人の子もしくは代襲者がいない場合、つまり家系図でいうと被相続人の下に家系図がつながらないときということになります。

【債権者死亡時の兄弟姉妹】は第3相続人にあたる

父母が同じ(全血の兄弟姉妹)か,一方だけ同じ(半血の兄弟姉妹)かを問わないことを紹介します。ただ、法的相続分はことなることも交えてください
債務者の兄弟姉妹も相続人になります。
けれども、順位は第三順位です。つまり、A)第一順位の相続人である子およびその代襲者がいない場合で、かつ、B)第二順位の直系尊属がいない場合であることが必要です。

兄弟姉妹の子供も代襲相続はすることができますが、その代襲者の子は代襲相続をすることができません(再代襲は認められていません)。

また、法定相続分に関しては、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1になります。いわゆる連れ子関係での法定相続分に差異があるのです。

【債権者死亡時の相続範囲その他】代襲相続について

代襲相続とは

代襲相続とは、被相続人の子が相続開始前に死亡したか、または一定の事由(欠格もしくは排除)によってその相続権を失ったときに、被相続人の子の子(孫以下の直系卑属)が代襲して相続することをいいます(887条2項)。

【例】
たとえば、Aには子Bがいて、Bには子Cがいる場合。Aの死亡よりも前にBが死亡していたとします。
この場合にAが死亡すると、CはBに代襲してAを相続します。

なぜこのような制度が認められているのかというと、本来の順序だとA→B→Cという流れで相続が可能なのに、たまたまBがAよりも先に死亡していたからという事情でCがAの分を相続できないというのは公平に反すると考えられているからです。また、被相続人の子が死亡した場合のみならず、排除や欠格も含まれているのは、排除や欠格事由に該当するかどうかは被相続人とその子との関係で判断される事柄であって、被相続人の孫にあたる子が自己の関与しない事情で相続の可否が左右されるのが不公平だからです。
 

相続範囲:養子の場合

代襲相続人は、被相続人の直系卑属でなければならないとされている(887条2項但し書き)こととの関係で、養子のケースが問題になります。

養子縁組は、その縁組の日から効力を生じるので(727条)、縁組前に生まれた孫は被相続人の直系卑属ではないため代襲相続をすることができません。

再代襲・再々代襲とは

被相続人の孫が代襲するのではなく、被相続人のひ孫が代襲する場合を再代襲、それ以降を再々代襲と呼びます。

相続範囲:兄弟姉妹の再代襲の場合

【例】
被相続人Aに兄弟姉妹Nがいて、そのNには子Hがいるとします。

NがAの死亡前に死亡していたなどの代襲原因があるときは、HはAの相続に関してNに代襲することができます。ただし、この場合には再代襲は認められません。

代襲相続の結果は??

代襲相続は、あくまで被代襲者を相続するのであって、被相続人に対して固有の相続権を有するわけではありません。そのため、代襲相続人が複数になるようなケースでは、代襲相続人らは被代襲者の相続分を法定の割合で相続することになります(900条1項)。

また、順位も被代襲者が本来認められる順位と同じになります。

債務者が死亡した時のために知っておきたい!「法的相続分」について

以上で、相続財産や相続人に関する説明を終えてきました。
ここでは法定相続分について解説をしていきます。

さて、わざわざ「法定」相続分という名前を付けているわけですから、これに対比されるものがあるわけです。それが「指定相続分」です。
相続財産はそもそも被相続人の自由に処分ができる財産です。そのため、相続財産をどのように相続させるのかということも被相続人が自由に判断できるはずです。それが遺言などです。これに対して、遺言などの指定相続分についての指示がない場合、相続財産をそのままにしておくわけにもいきません。

そこで、法律上一定の割合を定めて相続人全員の共有としたのです(898条)。
ここでは、指定相続分ではなく、法定相続分について解説をしていきます。それほど難しい話ではありませんのでご安心ください。

第一順位(子)と配偶者

相続人が、配偶者と被相続人の子の場合です。
この場合、配偶者と子の相続分は、各2分の1になります(900条1号)。

子が複数人の場合には、各子の相続分は等しいものになります。この点、嫡出でない子の相続分は、嫡出子の2分の1になっていました。この規定が憲法違反の問題をはらんでいたことはご存知の方も多いかと思います。そのため、平成25年の法改正によって嫡出子とそうでない子との相続分が等しくなりました。

上をより具体的に見ていきましょう。

【例】
被相続人Aの財産が100万円だとします。Aには配偶者Xと、その子Vがいます。Aが死亡したとすると、XとVの各相続分はどうなるのでしょうか。

そうすると、XとVが各2分の1ずつの相続権を有するわけです。計算すると、
X=1,000万円×2分の1=500万円
V=1,000万円×2分の1=500万円
になります。

また、AとXとの間の子がVの他にM,Nがいたとします。
上記の例で、
配偶者X=1,000万円×2分の1=500万円
子V,M,N=1,000万円×2分の1×3分の1=約166万円
となります。
借入金も同じです。その場合は財産ではなく、債務を法定相続分に応じて負担するようになります。

第二順位(直系尊属)と配偶者

上にもご紹介しましたが、第一順位の相続人がいないときは、第二順位として直系尊属が相続人になります。ただ、親等が異なる者のあいだでは、近いほうが優先します。

そして、直系尊属と配偶者が相続人であるときは、配偶者の相続分は3分の2で、直系尊属の相続部は3分の1になります(900条2号)。直系尊属が複数人のときは、各自の相続分は等しいものになります。

上の例で子と配偶者のバージョンとは逆になります。

【例】
 被相続人Aには、配偶者Xと親T,Iがいる。Aは120万円の借入金を残して死亡した。
 この場合、相続人は配偶者と直系尊属2名のみです。
 配偶者X=120万円×3分の2=80万円
 直系尊属T,I=120万円×3分の1×2分の1=20万円
となります。

第三順位(兄弟姉妹)と配偶者

第二順位の直系尊属もいないときには、第三順位として兄弟姉妹が相続人になります。配偶者と兄弟姉妹は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1を相続することになり、兄弟姉妹が複数人のときは各自の相続分が等しくなることは同じです。
 
ただしこの場合、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1になります。
 

代襲相続人の相続分

上述しましたが、代襲相続人は被代襲者の法定相続分に応じて相続をします。代襲相続人が複数のときは平等割合になります。

以上で法定相続分についての解説を終わります。なお、実際の具体的な相続分を算出するには、特別受益の有無(903条)や寄与分(904条)などを考える必要があります。

借金は何処へいく!?債務者が死亡した時の「相続方法」について


相続は、被相続人の死亡という事実によって発生します。そして、相続人は被相続人の有した一切の権利義務を承継することになります。けれども、相続人も当然に必ず相続するとなると、負担になったりすることがあると思います。特に、被相続人が多額の借金を抱えているなどのケースでは、相続人に大きな苦痛を与えてしまいます。
 
そこで、民法は、相続するかしないのか、するとしてもどの限度で相続をするのかという判断権を相続人に与えました。
ここでは、そのような相続方法について解説をしていきます。

債務者死亡時の相続方法①単純承認

単純承認とは、被相続人の財産について無限定で相続をする旨の意思を表明することです。家庭裁判所への申述なども不要で、最も原則的な相続形態といえます。

単純承認によって、相続人は無条件に被相続人の権利義務を承継します。
また、民法は以下の一定の事由の発生で単純承認を擬制しています(921条)。
・相続財産の処分
 ただし、この場合であっても保存行為や短期の賃貸借契約は除かれます。
・熟慮期間(自己のために相続があったことを知った日から3か月。ただし、実務上は起算点を解釈により操作しています。)の経過
・相続財産の隠匿等
 
このような事情がある場合には、法律上単純承認をしたものと扱われます。要は、相続人のように振舞っていると単純承認をしたものとみなされてしまうのです。
 
そのため、借金などの借入金債務は、上の法定の事由があるかどうかで争われることがよくあります。たとえば、被相続人の負っていた債務の承認など。
 
このようにして単純承認がなされると、相続人が被相続人の借金を全額承継するようになります。

単純承認のメリット

・法律関係が単純明快
・被相続人の財産がプラスのときは、法定相続分に応じた相続分を確保できる
・家庭裁判所への申述が不要
・債権者としては、相続人が債務を負担するので比較的簡易に請求できる

単純承認のデメリット

・相続人が債務を負担する

債務者死亡時の相続方法②限定承認

限定承認とは、相続人が「相続によって得た財産の限度で」のみ被相続人の債務および遺贈を弁済することを留保して相続の承認をすることができることをいいます。
 
つまり、被相続人が債務と債権のいずれもを残して死亡したような場合、相続人はその財産総額を計算して、積極財産があれば相続するけれども、債務超過のときには相続しないということが認められるのです。
 
もっとも、債権者などの利害関係人の利益を保護する必要もあるので、手続きが厳格です。
 ・相続人が複数のときは、全員で行う
 ・財産目録を作成して熟慮期間内に家庭裁判所に申述する
 
この二つの要件を満たす必要があります。
 
こうして家庭裁判所で限定承認が認められると、相続人が負担する「責任」は相続によって得た財産の限度に限定されます。
この「責任」には、被相続人の債務も含まれますので、被相続人の借金も相続財産の限度で責任を負うようになります。

限定承認のメリット

・相続後の借入金の返済が相続財産に限定されるなど、負担が軽減される
・公告期間の満了前は、債権者の請求に応じる必要はなくなる

限定承認のデメリット

・手続きが煩雑
・家庭裁判所への申述が必要であり、共同相続人全員でする必要がある
・弁済の順序などについて法定の制限がある
・不当な弁済をした場合には。損害賠償義務がある

債務者死亡時の相続方法③相続放棄

被相続人の財産を一切相続しない旨の意思表示をすることを、相続の放棄といいます。被相続人の意思の尊重に制度趣旨がありますが、実際には相続財産の集中のために使われるケースが多いようです。相続財産を相続人に平等に負担をさせたのでは、財産の逸脱につながるような場面です。

このような場合に、特定の相続人へ財産を集中させる方法として、相続の放棄が使われます。
相続の放棄は、家庭裁判所への申述が必要です。

相続放棄の結果、当該相続人は、その相続に関しては、はじめから相続人とならなかったものと見なされるのです(939条)。この「はじめから」という部分は意外と重要な部分になります(放棄の絶対的効力と呼ばれます)。なお、相続を放棄した相続人は、その放棄によって相続人になったものが相続財産の管理をはじめることができるようになるまで、自己の財産と同一の注意義務をもって管理をしなければなりません。

相続放棄のメリット

・法律関係が単純明快
・被相続人の債務を一切負担しない

相続放棄デメリット

・家庭裁判所への申述が必要
・被相続人の財産に負債だけでなく、それを超える資力があっても相続できない

債務者が死亡した時に引き継がれる相続人って?連帯保証や代襲相続についてのまとめ

いかがでしょうか。
債務者が死亡した場合、借金は基本的には相続人へ相続されることになるかと思います。それは連帯保証などで保証人、主債務者のいずれかが死亡した場合も同じです。

そのときに考える方向としては、まず相続財産に含まれる財産の確定、次に相続人を確定して、各相続人の法定相続分を算出します。そのときにプラスがでるようであれば単純承認、マイナスならば相続の放棄、いずれかわからなければ限定承認という流れになるのではないでしょうか。

限定承認は、単純承認と放棄との間にあって魅力もあるかもしれませんが、手続き的には煩雑なのが難点でしょう。最終的に弁済計画通りに完済をしたとしても、相続人の手元に財産が残る可能性は低いかもしれません。

債権者にとっては、相続人が単純承認をしたほうが必ずしも有利だとは限りません。相続人の支払い意思や支払い能力もそうですし、なによりも信頼関係が重要なファクターとなるような取引(賃貸借契約など)においては被相続人との関係で構築されてきた信頼関係を相続人との間で維持できるとは限らないからです。

そのため、個々の事案における要素を十分に斟酌して判断をすることが大事になります。
今回は、債務者が死亡したら借金はどうなるのかについて、相続関係を俯瞰しながらみてきました。

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