2017年03月27日

生命保険を活用した相続税対策の注意点やメリット・デメリット

目次

相続税とは、亡くなるときに亡くなった人の財産の総額に対して課税されます。
このとき、財産の形態により評価の方法や、金額の控除の計算が異なるのです。

つまり、亡くなった瞬間の財産の構成が非常に重要なのです。
財産の一部を生命保険として構成することにより、課税関係が異なりますので、以下詳しく見ていきましょう。

生命保険は相続税対策にどんなメリットをもたらす

生命保険は相続対策に有効です。
生命保険契約の受取金の請求権はみなし相続財産として、相続人が受け取る場合には非課税枠があるからです。
また、遺留分の対象外ですので、トラブル防止にも一役買います。

さらに、返戻率を考えれば、財産の運用の面から考えてもメリットがあります。
このように、相続対策の選択肢として、ぜひ考えてほしい生命保険につき以下メリットを確認します。

「500万円×法定相続人の数」の非課税枠がある


相続税の計算において、生命保険の受取金はみなし相続財産として扱われます。

これは、現金や預金などとは別枠で課税される金額の計算がされます。
具体的には、相続人の人数×500万円の非課税枠があり、これを超えた部分にのみ課税される仕組みとなります。

仮に、生命保険の受取金がなく、たとえば現金預金のみであった場合はこの非課税枠を使用することはできません。
相続人が子ども3人の場合は、非課税枠は3×500万円で1500万円です。
相続財産のうち、1500万円を生命保険金として構成した場合は、そうでない場合に比べて1500万円も課税金額が小さくなるのです。

遺留分の対象外となり遺産トラブルを防げる

生命保険の受取金は、受取人の固有の財産とされています。
受取人が指定されている生命保険契約の場合、その請求権は受取人単独のものとして決まっていますから、遺産分割協議の対象ではありません。

また、遺留分の対象外となりますので、基本的に遺産トラブルの原因とはなり得ません。
ただし、特別受益として取り扱われることが可能性としてはありますので注意が必要です。

被相続者の預貯金よりも早く現金を手元に置くことができる。

相続財産は、遺産分割協議が終了するまで、どの相続人も手をつけることができません。
預金に関する相続財産も同様です。

被相続人の預金は解約し、現金として引き出すことにいなりますが、銀行に死亡した事実が伝わると凍結され、その後正式な手続きを経て解約に至るまで現金を引き出すことはできません。
夫婦であれば、キャッシュカードや暗証番号を共有し、夫の口座から生活費を引き出すようなこともあるでしょう。
相続の場面においてはこのような方法は使用できません。

一方、生命保険契約に関する請求権であれば、被相続人の死亡が支払い事由そのものですから、すぐに保険金の請求を行うことができます。
相続税の申告期限は、亡くなった日から10か月です。

この期限内に、相続税の申告書を提出し、相続税の納付を行わなければなりません。遺産分割協議なまとまらない場合でも、いったん仮の形で申告書を提出し、納税を行う必要があります。
生命保険の保険金はすぐに受け取ることが可能なので、この納税資金とすることができます。

積立時の返戻率が高い


生命保険契約とは、本来的には相互扶助の仕組みです。
大人数で保険金を出し合って、不幸にも発生確率の低い事象にみまわれてしまった場合に、みんなで出し合った保険金の一部を受け取り、事故に充てる仕組みです。

しかし、契約者と保険会社との関係だけに着目すると、保険会社にお金を預けて、それを保険会社が運用し、いくらかのあらかじめ決められた想定運用利益を上乗せして支払いを受けるというものです。
お金を預かった保険会社は、運用のプロとして資産を運用し、返礼率により約束した利益を契約者に還元するのです。支出した元本に対して、どのくらいの割合で払い戻しを受けるかという数字を返戻率といいます。

加入時の年齢や、男女により返礼率は異なります。男性20歳のうちからかけ始めると、商品によっては125%という数字も見かけることがあります。
しかし、多くの人の場合、相続のことを考えて終身保険に加入するのはどんなに早くとも40歳くらいでしょう。

上記の商品の場合、男性40歳の加入では返礼率は約107%でした。
(60歳祓払い止め)低金利時代の現代においては、資産をすこしでも増やすという意味において、単純に銀行に預け入れることのほかに、選択肢として検討してもよいと思います。

相続放棄をしても生命保険金は受け取れる

相続が発生し、マイナスの財産の方が大きいとき、基本的には相続を放棄することが多いと思います。
よほど、その資産に相続人としての固有の価値観を見出した場合は別ですが、基本的にマイナスの相続を行う人は少ないです。

このような場合においても、生命保険契約の受取人は被相続人ではなく、あくまでも相続人個人ですので、死亡保険金を受け取ることができるのです。生命保険の受取金は、みなし相続財産として相続税の課税をうけることは説明しました。

しかし、相続放棄した人が生命保険金を受け取るときは、相続人ではありませんから、生命保険金の非課税枠を使用することができないことに注意が必要です。
これは、そもそも相続とは残された人のその後の生活を守る意味もあるため、相続税の計算においてはこの点配慮がなされているところ、相続人ではない人にこの配慮は必要ないからです。

生命保険は相続税対策にどんなデメリットがある?

誰が保険料を負担し誰が受け取るのかによって税金がかかる

上記のように、みなし相続財産としての別途非課税枠を適用しながら、生命保険を受け取ることができること確認しました。
しかし、生命保険契約において、保険金の受取人と、保険料の負担者の関係によっては、別の税目が課される可能性があります。

この点、生命保険契約のデメリットと考えられるので注意が必要です。

ケース①所得税がかかる場合について


子供が父親に生命保険をかけ、保険料を自分で負担し、さらに受取人も自分とした場合には所得税が課税されます。
この場合だけでなく、基本的に保険料の負担者と受取人が同一の場合は、所得税の課税対象です。

上記の場合、親が死亡したときには相続税の関係と誤解されがちです。
しかし、これは子が親の生前、保険金を払い続け親の死亡という支払事由をきっかけに、その支払いを受けたにすぎません。

前述のように、契約者と保険会社との関係のみに着目すれば、単にお金を預けて何かをきっかけにお金を払い戻してもらう手続きですから、負担者と受取人が同一の場合その人のみで手続きが完了します。

したがって、所得税の課税対象となるのです。
もちろん、受け取った金額から経費として支払った金額を差し引くことができ、この差額が課税対象となります。

ケース②贈与税がかかる場合について

子が父親に生命保険をかけ、受取人を母親にするとします。
子が保険料を負担しています。
このとき、父親が死亡し、母親が保険金を受け取りました。

今回のケースでも、父親の死をきっかけに保険金が支払われていますから、みなし相続財産と誤解されがちです。
ただし、父親は被保険者となっているものの、保険料を負担したわけではありません。

母親は、父親の死をきっかけにお金を受け取るとはいえ、父親が払ったわけでない保険料に基づく保険金を受け取るわけですから、第3者からお金雄をもらった時にかかる税金、つまり贈与税の課税対象となります。

相続税対策ではどのような生命保険に加入すればいい?

相続対策の定石として、非課税枠を利用するために生命保険に加入するケースは多いです。
しかも、その多くは終身保険を選択し加入しています。

終身保険は、定期保険や養老保険に比べて積立の機能に多く比重が置かれているため、その性格上相続対策としては有効です。
しかし、被相続人やその家族を取り巻く環境は千差万別です。

それぞれの環境の中で、それぞれにあった保険を選択することが重要です。
保険に詳しい窓口で相談することをお勧めします。

生命保険を活用した相続税対策における注意点

上記のように、うまく活用すれば大きなメリットを得ることができる相続対策としての生命保険ですが、下記の注意点があります。

孫には保険金非課税枠が適用できない


生命保険のみなし相続財産としての非課税枠は、相続人に対するものです。
かわいい孫の将来のために、孫を受取人とした生命保険に加入する人を多く見かけます。

その意義を否定するつもりはありませんが、相続対策としては注意が必要です。
孫は、子がいる場合相続人に該当しません。
したがって、非課税枠を適用することができないのです。

健康状態によって生命保険に加入できない場合がある

生命保険契約は、保険事故の発生確率、つまり死亡する確率を見積って保険料率や返礼率が決定されます。
年齢や健康状態によっては、生命保険に加入すること自体ができない可能性もあります。

また、返礼率の点で加入しても相続対策として機能しない可能性があります。
特に、健康状態が良くない方や、高齢の方は注意が必要です。

生命保険を活用した相続税対策の注意点やメリット・デメリットのまとめ

以上、生命保険を用いた節税対策について考えてきましたがいかがでしたでしょうか。
生命保険は、ほかの相続財産と別枠で非課税枠が手当てされていますので、上手に利用すれば効果は絶大です。

また、メリット一つであり、年齢や健康状態によってはデメリットとなるのが返戻率です。
基本的に、若いほどまた健康状態が良いほど高くなります。
すなわち、早い段階から相続対策について検討し、保険に加入すると効果が高いといえます。

ただし、これは連例率の視点のみからの考え方になります。
終身保険(またはその他の保険)という長い期間にわたり保険料を払い続けなければならない契約をむすぶのですから、誤った決定をしてしまっては本末転倒です。
この点、バランスを考えて慎重に判断してください。

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