2017年03月30日

「老後資金は3,000万円で足りる」はもう古い!? 知っておきたい“老後のための貯蓄額”

目次

かつては「3,000万円あれば安心して老後の生活を送れる」と言われていましたが、現在は「この金額では足りない?」という懸念が生まれています。その要因として挙げられているのが、少子高齢化を起因とした「年金受給先送り」や「社会保障の縮小」です。

本記事ではそうした懸念を踏まえた上で、老後に向けて蓄えておくべき貯金額について、ファイナンシャルプランナーの岡雅代さんに伺ってきました!

そもそも老後資金3,000万円の根拠は?


一般的に、老後に夫婦が最低限の生活をするためには月に27万円、ゆとりのある生活をするためには月に36万円が必要だと言われています。

65歳で退職し90歳まで生きると仮定した場合、夫婦で最低限の生活を送るには25年間で8,100万円、ゆとりのある生活を送るには1億800万円が必要ということになります。

この際、夫婦でもらえる年金の受給額が月額20万円だった場合、90歳までの受給総額は6,000万円となり、最低限の生活をする基準に2,100万円足りません。さらに、ゆとりのある生活で考えると4,800万円という額が不足していることがわかります。

単純に計算すると、この差額分だけ貯金が必要ということになり、最低限の生活とゆとりのある生活の間をとったとしても、3,450万円貯金が必要であると言えます。

老後の生活資金は本当に3,000万円で足りるの?

先ほどお話したように、何も問題が起こらなければ65歳から受給する年金と3,000万円前後の貯金で老後を過ごすことができます。しかし、細かな実情に目を向けてみると、さまざまな懸念点が浮上します。

年金制度が変更・破綻するリスク

そのリスクとしてまず挙げられるのが「年金制度」です。現在の制度では65歳から年金を受給することができますが、私たちが65歳を迎えるときに現行の年金制度がそのまま維持できるかはわかりません。昔は働き手11人で1人の年金を支えるという構図でしたが、現在は3人の働き手で1人の年金を支えるといった状況になっており、制度維持のため今後さらに働き手の負担が増加していきます。

とはいえ、働き手が払える金額には限度があります。そのため、このままいくと「受給金額を下げる」「受給開始の年齢を上げる」といった対策が行われる可能性が出てきます。

仮に年金受給が5年間先送りになった場合、夫婦合わせての受給総額は4,800万円に減り、最低限の生活をするためには3,300万円の貯金が必要になります。また、ゆとりのある生活をするために必要な貯金額は6,000万円まで増加し、間をとっても4,650万円の貯金が必要になります。

老人ホームや介護などの費用

次に挙げられるのは「介護」です。将来を考える際、自分が「介護」される立場になることを考慮していないと、いざそうなった場合に困ることになってしまいます。

多くの有料老人ホームでは、入居時に一時金として2,000万円前後のお金がかかります。施設により異なりますが、入居一時金は5年間で償却される施設が多く、償却後は毎月利用料がかかることも想定しておかなければいけません。費用の安い公共の施設は入ることができれば利用料を低く抑えられますが、現在でも順番待ちになっている状況を考えますと、その金額で済むと理解するのは少々安易かもしれません。介護士を自分で雇う場合や老人ホームに入居する可能性など、老後に起こり得る支出を加味すると、貯金額はさらに増やしておくべきだと言えるのではないでしょうか。

老後のために月々いくらの貯金が必要なの?

老後のために貯金が必要ということを理解し、年金を払った上で月に5万円の貯金を続けたとしましょう。その場合、25歳から65歳までの間に2,400万円の貯金が可能です。
では、この金額を65歳から90歳まで25年間で割ってみます。すると、月に8万円という金額が算出されます。年金の20万円と合わせると毎月28万円使えるということになりますが、これは、さきほどお伝えした「最低限の生活」にプラス1万円しただけの金額です。

また、ゆとりのある生活をするための貯金を想定した場合、総額4,800万円の貯金が必要であり、そのためには月に10万円を貯めなければいけません。

「月に5万円の貯金をしても、最低限の生活しかできない」「ゆとりのある老後を送るには、月に10万円貯金しなければいけない」というのは、なかなか衝撃的な事実ではないでしょうか。

※【番外編】老後の生活を貯金だけで補おうとした場合、1億円以上のお金が必要になる!

これまでは、「年金受給額」と「老後にかかる費用」から必要貯金額を算出していました。しかし、年金制度の破綻や受給資格の失効など、起こり得る最悪のケースも想定しておく必要があります。

仮にこのような状況になった場合、ゆとりのある老後を送るためには「36万×12×25年=1億800万」という金額を貯金しておく必要があります。

仮に1億800万円というお金を労動年数40年で貯めようとした場合、25歳から65歳まで40年間、月に22.5万円も貯金しなければいけません。

これまでは「3,000万円あれば老後は安心」と提唱されてきましたが、先ほどお話したようにゆとりのある老後を過ごすためには約5,000万円の貯金が必要であり、リスクを考えるとそれ以上の金額が必要になると言えます。

生活費だけでなく、せっかくリタイアしたあとにやりたかった事をやるためのお金も確保したいところですし、健康リスクによる支出など、資産を取り崩すことになるケースが復数あることを踏まえた準備が必要です。

老後以外にも考えておかなければいけない人生の支出

ここまでは退職後から90歳までの間にかかる費用という視点でお話をしました。そのため、「老後に必要な金額と年金支給額の差」を貯金額として挙げてきましたが、「人生における必要な貯金」というライフプラン的視点になると、さらに貯金が必要なことがわかります。

人生の三大資金「教育費」と「住宅費」も忘れずに

前者の教育費ですが、大学等の高等教育にかかる費用の合計は平均で約700万円と言われています。この金額を子どもが18歳になるまでの18年間で貯めるとした場合、これまでお話してきた老後のための貯金に加えて「月に約3万円」の学資貯金が必要になります。

また、住宅の購入時には物件価格以外の費用が発生したり、頭金を用意して借入金を減らしたいということも考えられます。さらに繰り上げ返済を計画したい方にとっては、ローン返済をしながら、繰り上げ返済するための貯蓄をすることになりますので、老後資金・教育資金とは別の貯蓄が必要になります。住宅ローンの返済については、低金利の状況だと返済負担額が低く抑えられる『変動金利』で借り入れをされている方も多くいらっしゃいますが、今後金利が上昇した場合、住宅ローンの家計負担が高まる可能性があるということも貯蓄計画を立てるにあたっては忘れてはならない点です。

こうした実情を踏まえると、教育費や住宅費を支払いながら、さらに老後の資金を貯金しなければいけないということがわかりますね。「老後は3,000万円の貯金で安心」と言われていたときと違い、「どんな方法で貯蓄するか」について、早い段階から関心を持つことが必要な時代になったと言えます。

「老後資金は3,000万円で足りる」はもう古い!? 知っておきたい“老後のための貯蓄額”のまとめ

いかがでしたでしょうか。
「5,000万円の貯金がなければ老後にゆとりのある生活を送れない」ということを知り、将来が不安になった方も多いのではないでしょうか。
そこで次回は、「資産を貯めていくために必要な知識」について、引き続きファイナンシャルプランナーの岡雅代さんにお話を伺います!

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