2017年04月16日

現金の遺産相続時に適用できる非課税枠とは?現金相続の税金対策や節税方法

目次

相続財産に多額の現金があった場合には、相続税の支払いをはじめ、遺産分割も公平に行うことが出来ますし、何より現金を譲り受けて困る相続人はあまりいません。

しかし現金についてはその金額に対して相続税が直接かかってくる為、不動産などとして保有している場合よりも税額が高くなってしまうことが多くなります。
よって多額の現金や預金をお持ちの方は税金対策が必須となってくるのです。

これから現金を相続した場合にはどのような税金対策があるかをご紹介してまいりますので、参考にしていただければと思います。

現金の相続時に適用できる非課税枠とは


現金を相続する際、相続税の計算において非課税枠という様々な控除があります。

これがあることにより一定の額までは相続税がかからずに済みます。

基礎控除

相続税は相続した財産がある全ての人にかかるのではなく、課税される財産の総額がこの基礎控除を超える場合にのみかかります。
基礎控除は、3,000万円×(600万円×法定相続人の数)により計算されます。

よって相続財産が5,000万円、法定相続人が2人の場合には、
5,000万円-3,000万円×(600万円×2人)=800万円
となり、5,000万円に対してではなく800万円に対して相続税が課されます。

贈与税額控除

相続税を計算する際には、相続が始まる前3年以内に相続人が被相続人から贈与を受けた財産については計算に含める必要があります。

この贈与を受けたときに既に贈与税を支払っている場合には、相続税から支払い済みの贈与税を差し引くことが出来ます。
この贈与税額控除は同じ財産について贈与税と相続税の二重払いを防ぐために設けられた制度です。

配偶者控除

婚姻届けを提出している配偶者の相続人だけが受けることが出来る控除です。
控除額は1億6千万円と配偶者の法定相続分の額を比べていずれか高い方の金額となります。

よって被相続人の配偶者が相続した財産の額が1億6千万円未満である場合には無税、それを超える場合であっても配偶者の法定相続分までの金額であれば無税ということになります。

未成年者控除

相続人が未成年者である場合には相続税の額から、10万円×(20歳-相続時の年齢)
により計算された金額が控除されます。

よって15歳の相続人が相続した場合には、
10万円×(20歳-15歳)=50万円
となり、算出される相続税額から50万円差し引くことが出来ます。

障害者控除


相続人が障害者であり、かつ85歳未満である場合には相続税の額から次の算式により計算された金額が控除されます。控除額は障害区分により異なります。

一般障害者…10万円×(85歳-相続時の年齢)
特別障害者…20万円×(85歳-相続時の年齢)

よって50歳の一般障害者である相続人が相続した場合には、
10万円×(85歳-50歳)=350万円
となり、算出される相続税額から350万円差し引くことが出来ます。

相次相続控除

相続があった後10年以内に2回目の相続が行われた場合には、またすぐに同じ財産に対して相続税がかかるようになってしまう為、相続人達にとって大きな納税負担となります。

そこで2回目の相続において発生した相続税から1回目に支払った相続税の一部を控除できる制度が設けられています。
これを相次相続控除といいます。

現金の相続時に活用できる税金対策について

それでは多額の現金を所有している場合の税金対策についてご紹介いたします。
税金対策のポイントは大きく「贈与」と「生命保険」になります。

①贈与

相続税対策の基本は、相続が発生する前に計画的に行う贈与です。
もちろん将来納めることになる相続税の代わりに贈与税を納める場合がありますが、贈与の中にはその税負担を軽くする方法が多数あります。

これからその方法である、「暦年贈与」、「相続時精算課税制度」、「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」、「教育資金の一括贈与時の非課税制度」、「結婚・子育て資金の一括贈与時の非課税制度」についてご紹介いたします。

暦年贈与

贈与の一般的な形です。これには毎年110万円までの基礎控除が設けられており、毎年1月1日から12月31日までの間に行われた贈与の合計額が110万円までであれば贈与税はかかりません。超えた場合であっても超えた部分にのみ課税されます。

例えばその年に200万円の贈与が行われた場合には、
(200万円-110万円)×贈与税率10%=9万円
となり、9万円の贈与税を納める必要があります。

しかし上記の贈与税額控除においてご紹介した通り、相続開始前3年以内に贈与された財産については相続税の計算に含める必要があります。
よって税金対策として活用できる基礎控除の額は、110万円×(贈与年数-3年)ということになります。

相続時精算課税制度


相続時精算課税制度は次世代への財産の移行をスムーズに行う為に作られた制度で、贈与があった年の1月1日時点において、贈与する側が60歳以上であり、かつ贈与を受ける側(子または孫)が20歳以上である場合には、贈与額が2,500万円までであれば贈与税はかからないという制度です。

もし2,500万円を超えた場合には、超えた部分の金額に対して一律20%の贈与税が課されます。
この制度を選択する場合には、贈与をされた日の属する年の翌年2月15日から3月15日までに必要書類を添付した贈与税申告書を提出しなければなりません。

しかし相続時精算課税という名称の通り、相続発生時にはこの制度の適用を受けた全ての贈与額を相続税の計算に含めなくてはなりません。
もし相続税が発生しない場合には、2,500万円について贈与税も相続税もかからないという非常に優遇された制度です。

「住宅新築の購入や増改築のための費用」を贈与した場合

直系尊属である両親や祖父母などから住宅を取得資するための資金の贈与を受けた場合、下記の要件を満たすものに限り最高3,000万円まで贈与税が非課税になる、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度というものがあります。この制度は現在のところ平成31年6月30日までの贈与に対して適用されます。

・贈与を受けた者の贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること
・贈与を受けた者の年齢が、贈与を受けた年の1月1日時点において20歳以上であること
・贈与を受けた者がその贈与を受けた額を使って住宅の新築や購入、増改築を行ったこと

この制度の適用を受ける為には、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに必要書類を添付した贈与税申告書を提出する必要があります。
またこの制度は、上記1でご紹介した暦年課税の110万円の基礎控除や上記2の相続時精算課税制度の2,500万円の控除額に上乗せすることが可能であるため、適用要件に該当するのであればうまく活用したい制度です。

「教育資金」を一括で贈与した場合

30歳未満の人が直系尊属である両親や祖父母から教育資金の贈与を受けた場合、下記の要件を満たすものに限り1,500万円までなら贈与税がかからないという、教育資金等の一括贈与時の非課税制度というものがあります。

・信託銀行などの一定の金融機関と教育資金管理契約を結んでいること
・信託銀行等に開設した口座に教育資金を一括で預け入れること

1,500万円もの金額を非課税で一括贈与することが出来る為、多額の現金を保有している人にとっては税金対策として非常に有効な手段です。

また平成27年4月の税制改正において、教育資金として限定されていた項目の幅も広がり手続きも簡略化された為、相続税増税とも重なって節税対策として更に人気の制度となりました。
この制度も住宅取得等資金の贈与税の非課税制度と同様に、現在のところ平成31年6月30日までの贈与に対して適用されます。

「結婚・子育て資金」を一括で贈与した場合

20歳以上50歳未満の人が直系尊属である両親や祖父母から結婚や子育ての為の資金を一括して贈与を受けた場合において下記の要件を満たすものに限り、結婚資金は300万円、子育て資金は1,000万円までなら贈与税がかからないという、結婚・子育て資金の一括贈与時の非課税制度というものがあります

適用要件は教育資金等の一括贈与時の非課税制度とほぼ同様となっています。
・ 信託銀行などの一定の金融機関と結婚・子育て資金管理契約を結んでいること。
・ 信託銀行等に開設した口座に結婚・子育て資金を一括で預け入れること。

この制度も上記2つと同様に、現在のところ平成31年6月30日までの贈与に対して適用されます。

②生命保険

生前に生命保険金の受取人を相続人に指定しておくことで、財産を確実にその相続人に遺すことが出来ますし、死亡保険金は被相続人の遺産ではなく、受取人の固有の財産として扱われますので遺留分減殺請求の対象となりません。

また死亡保険金は相続税の対象とはなるものの、遺族の生活を守る為、500万円×法定相続人の数ほどの非課税枠が設けられています。
これがあることにより、単純に現金として保有し続けて遺産とするよりも死亡保険金とした方が節税となるのです。

お墓等の購入は相続した現金よりも「生前に購入」した方が節税に!


お墓や仏壇などの購入を自分の死後に残しておいた遺産で購入して貰おうと考えられている方、実はそれは相続税の面から見ると損をすることになるのです。
仏壇や仏具、墓地は相続税の非課税財産となります。

よってお墓等を一式購入すれば数百万円の出費となりますが、それを生前に購入していれば遺産から数百万を減らすことができ、かつ購入したお墓等は相続財産に含まれることなく相続税が計算されることになります。

単純に「お墓等の購入費用×相続税率」ほどの節税が出来るのです。

自分の生前にお墓等を準備することに関して縁起が悪いと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし生前に購入するとの死後に購入するのとでは相続税額に大きな差が出ることを知っておいてください。

現金以外も!相続税の払い過ぎは戻ってくる!?

相続税の申告納税は非常に多くの時間と労力を要します。納税まで済んでその後税務署から何も言われなかった場合、多くの相続人はほっと一息つかれるのではないでしょうか。
しかし相続税は意外と納め過ぎている場合があるのです。

納め過ぎた例としては、「土地の評価を誤った。」「専門家に依頼せず自己申告で行い税務署員に何も言われなかった。」「相続税に不慣れな税理士に依頼してしまい、計算を誤った。」などが挙げられます。

相続税を払い過ぎたと気が付いた場合には、申告期限から5年以内に限り更正の請求をすることにより過払い分を取り戻すことが出来ます。

素人が還付請求の必要性に気が付き、更正の請求を行うことはなかなか出来ることではありませんので、既に終わった相続税の申告について疑問が生じた場合には迷わず専門家に相談することをおすすめ致します。

現金の相続時に適用できる非課税枠とは?現金相続の税金対策や節税まとめ

現金を相続する場合の節税対策について、相続税を計算する上での非課税枠を利用する場合、贈与を利用する場合、生命保険を利用する場合、生前にお墓等を購入する場合を紹介させていただきました。現金は不動産などのように評価額というものがなく、その価値が変動することはありませんので比較的対策のとりやすい財産と言えます。

よってその分、今回ご紹介したような様々な方法がありますので、選ぶ際には慎重に検討する必要があります。

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