2017年04月23日

生前贈与の手続き方法と必要書類について詳しく解説

目次

最近ますます注目されている生前贈与。相続税が増税となり、せっかくなら生きている間に子どもや孫に使ってもらおうという考えの人が増えています。

今回は生前贈与を行う際の手続き方法について解説します。

生前贈与の手続き方法ご紹介

①【不動産の場合】物件の調査と対象不動産の確認を行う

まず不動産の場合については手順がワンステップ多くなります。不動産を贈与する場合は名義変更が必要になり、専門用語では『所有権移転登記』といいます。名義変更を行うためには、まず不動産の登記状況を調べます。

登記上の住所が現住所と異なる場合は、申請する前提として『住所変更登記』を行います。他にも、結婚や離婚により氏名に変更がある場合も『氏名変更登記』が必要になります。

また、物件の調査は書類を作成する上で重要であり必要な作業です。後ほど出てくる『贈与契約書』や『登記申請書』も不動産の詳細な情報を基に作成します。

登記事項証明書とは何か

登記事項証明書とは、不動産の地番や面積、所有者に関すること、担保に関することなどが記載されている書面で、法務局で発行してもらえます。

発行には土地であれば「地番」、建物であれば「家屋番号」が分かっていなければいけません。ちなみに地番と住所は異なり、地番や家屋番号を知る方法は、登記済権利証や固定資産税納税通知書で確認するか、これらが手元にない場合は法務局で住所から調べる方法もあります。

物件調査を行う際の注意点

ここで注意すべき点として、自宅の名義変更を行った際に一部だけ土地の手続きが漏れることがある点です。

よくある例では、自宅の敷地は通常つながっているため1つの地番だけだと思っていたら、実は複数の地番に分かれていることや、分譲住宅などの場合に家の前の道路が私道であり、近隣の人と共有名義なっていることがあります。

土地は住所ではなく地番で管理されているので、主となる土地に付随するような土地であっても全ての地番について手続きを行わなければいけません。

手続き漏れがないようにするには、権利証などを細かく確認することや、市町村から名寄帳を取り寄せるといった方法もあります。ただし、名寄帳には基本的に所有物件が全て記載されますが、固定資産税の対象となっていない土地や共有名義の場合などに取得ができない市町村もあります。

また、調べる方法としては他にも法務局で公図などの図面を取得する方法もあります。自宅周辺の登記状況を確認できれば手続き漏れの可能性は低くなるはずです。

②生前贈与時にかかる税金確認を行う

贈与の手続きは税金面で注意が必要です。土地や建物などの不動産は一般的に資産価値が大きいので、贈与税や不動産取得税の確認はもちろんのこと、名義変更時点で登録免許税が課税されることも注意してください。

また、管轄の問題もあります。贈与税は国税、不動産取得税は都道府県税になるため、それぞれ役所が異なります。

そのため一度に確認することができません。また贈与税と不動産取得税は、算出の基礎となる評価額をどのように計算するかもその土地によって異なります。路線価で計算する方法と固定資産評価額で計算する方法があるためです。

贈与税については税務署に、不動産取得税については都道府県税事務所にあらかじめ確認した方が良いでしょう。ちなみに法務局では名義変更の手続きや書類については教えてくれますが、登録免許税以外の税金については担当範囲外であるため、詳しいことは教えてくれませんのでご注意ください。

③生前贈与に必要な書類を用意する


贈与を行う上で必要になる書類を用意します。こちらも何を贈与するかによって必要書類は異なります。

生前贈与手続きで必要な基本書類

基本的な必要書類は以下の通りです。
・贈与者の印鑑証明書(発行から3か月以内)
・受贈者の住民票
・固定資産評価証明書
・登記済権利証(登記識別情報でも可)
固定資産評価証明書は納税通知書でも良い場合や提出不要な法務局もあります。必要書類は場合によって異なるため、手続きする際は法務局の相談窓口へ確認するとスムーズです。

生前贈与で不動産名義変更を行う際の必要書類

不動産名義変更に必要な書類は以下の通りです。
・贈与者の登記済権利証(登記識別情報でも可)
・贈与者の印鑑証明書(発行から3か月以内)
・受贈者の住民票
・固定資産評価証明書
・贈与契約書や贈与証書など、贈与のあったことが分かる書類

④贈与契約書を作成する

贈与契約書とは、財産の贈与を確約するため、贈与者と受贈者の間で交わす書類のことです。贈与する対象のものによっては、現物を手渡しするだけの場合もありますし、本当に贈与であったのか確認が難しい事案も出てきます。

手続き時に贈与契約書を作成しなかった場合のリスク

贈与契約書を作成しなかった場合のリスクについて紹介します。そもそも贈与があったこと否定されてしまったり、相続財産に含められて相続税が上がってしまうこともあります。

①贈与がなかったことに

例えばお金のやり取りであれば、口座から口座へお金が動いていることは分かります。ところが、そのお金はもらったものなのか売買によるものなのか、または借りたものなのかを証明することは難しいのです。

さらに、売買でも借りてもいないが、名義だけ変更して実態は変わっていないとされることもあります。それを贈与であると証明するのが贈与契約書です。

②相続財産に含められてしまう

贈与がなかったことにされてしまうと、結局何もしなかったことと同じです。相続財産を減らす目的で生前贈与をしたにも関わらず贈与を認めてもらえなければ相続税は一切節税できなかったことになってしまいます。

③連年贈与に区別されてしまう

仮に贈与とは認めてもらえたとしても、5年間で毎年100万円を贈与した時に最初からその合計金額である500万円を5年間に分割して贈与する契約だったとみなされると、500万円に対して贈与税が課されます。100万円であれば毎年非課税ですが、500万円では贈与税が50万円近くかかります。こんなことにならないためにも贈与契約書は作成しておきましょう。

⑤生前贈与で必要な書類を法務局へ申請する

必要な書類が整えば法務局へ所有権移転登記を申請してください。この際、不足している書類が発覚することもありますので、指摘の都度必要書類を準備して再度申請を行うようにしてください。

生前贈与手続きを専門家に依頼した方が良いケースとは?


不動産の名義変更など、自分でやろうと思えばできます。しかし、必要書類を調べたり作成する手間は相当なものです。

①不動産の贈与を行う場合

不動産の贈与は一般的に贈与額が基礎控除額を超える場合が多いため、スムーズな生前贈与を行うためには専門家の力を借りた方が良いでしょう。不動産の贈与に関しては司法書士が専門家となります。

②過去に遡って書類を作成する場合

過去に贈与契約書を作成せずに贈与を行っていた場合や、贈与契約書を紛失してしまった場合、日付を遡って、贈与契約書を作り直すことができるが、さまざまなトラブルが起きます。

生前贈与が完了した後は「贈与税の申告手続き」を行おう!

生前贈与が完了した後は贈与税の課税対象となるか、再度確認を行いましょう。贈与税には非課税制度が多いため、制度によって手続きが異なることに注意が必要です。場合によっては贈与税の納税は不要でも申告は必要であることもあります。申告の時期もしっかりと確認しておきましょう。

生前贈与後の贈与税手続きはいつまでに行うのか

贈与税の申告は全員同じタイミングになります。贈与をした翌年2月1日から3月15日までに申告する。ちなみに相続税の申告期限は相続開始から10か月であるため、同じタイミングにはなりません。

また、確定申告の時期と近いですが、少しだけ贈与税の方が早く始まります。

生前贈与後の贈与税手続きに必要な書類は何か

暦年課税を適用した場合

暦年課税で贈与を受けた額が基礎控除(110万円)以下の場合は必要な書類および申告は必要ありません。基礎控除額を超える場合も申告書に記載を行うことで済みますので、特別に必要となる書類はありません。

相続時精算課税制度を適用した場合

制度を利用した場合は翌年の2月1日~3月15日に「相続時精算課税制度選択届出書」を提出しなければいけません。制度利用時に一括で贈与する必要はなく、何年かに分けて贈与しても構いません。

届出書を提出するのは初めて制度を利用する時だけでよく、翌年以降に贈与を行っても改めて提出する必要はありませんが、申告は必要となります。

配偶者控除を適用した場合


配偶者控除を適用した場合に申告で必要な書類としては以下のものがあります。

・財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本または抄本
・財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
・居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの

上記の書類の他に、現預金ではなく居住用不動産そのものの贈与をされた場合は、その居住用不動産の価値を評価するための書類(固定資産評価証明書など)が必要となります。

生前贈与の手続き方法と必要書類 まとめ

最近特に注目されている生前贈与の手続き方法はご理解いただけましたでしょうか。事前に準備することや、贈与後の税金もあらかじめ考えておかないと、納税額を見てびっくりしてしまいます。

難しい手続きに関しては司法書士などの専門家に相談、依頼すると良いでしょう。

みんなのお金ドットコム(みんかね)とは

みんなのお金ドットコムでは、「お金のコトを身近に」をミッションに節税や保険、投資、ローン、クレジットカード、節約などお金に関する情報を正しくわかりやすく専門家や編集部から配信しています。
みんかねを通して、家計や資産形成などをはじめとするお金に関する事を能動的に考えて対処していくきっかけを作る事を目指しています。

Thumb minkane logo
written by
「お金のコトをもっと身近に」というミッションで、みんなのお金ドットコム(みんかね)を運営しています。 投資・節税・保険・ローン・クレカ・節約などのテーマの情報を各領域の専門家や編集部を通して記事配信していきます。
関連記事