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土地や不動産の贈与税の計算方法や見落としがちな様々なケース

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目次

贈与税とは

贈与税とは、個人が財産をもらった時にかかる税金のことです。
財産をもらう相手先が法人であったり、逆にもらう側が法人で会ったりした場合、贈与税はかかりません。

このような場合、個人には所得税がかかりますし、法人であれば法人税が課されます。
一般的に、人から人へと財産を移動する際には、対価の支払いが生じます。1,000万円価値のある不動産を入手するためには、1,000万円の支払いが必要になります。基本的には同じ価値のものを交換する取引です。
ところが、この金銭の支払いをすることなく不動産を手に入れた場合には、1,000万円の「得」することになります。

また、この不動産について親族からディスカウントを受けて500万円のみを支払って手に入れるような場合も、500万円の「得」をしたことになります。
贈与税は、この「得」をした金額に課税する租税になります。
このようにタダで財産や金銭を手に入れた場合だけでなく、本来よりも安い金額で財産を手に入れた場合にも贈与税の対象となります。
ここで、「本来よりも安い金額」の意味が非常にあいまいで、たとえ相場よりも安い金額で取引をしたような場合でも、売る人にとってはその他の理由から当該金額が妥当である場合もあります。

たとえば、急にまとまったお金が必要になったため、所有する不動産をすぐに現金化したいような場合はたとえ相場の8割程度の金額であっても売却するかもしれません。
このように、第三者同士の取引の場合は、お互いにそれぞれの思惑があっての価格形成になるため、親族間の取引ほど贈与税の問題となることは多くありません。
贈与税が問題となるのは親族同士の取引のケースが多いです。父から息子に不動産を譲る場合などは、相手に配慮して金額が決定される可能性がありますし、税務署をはじめ外部からすれば当然そのような外形を有します。

贈与税の計算式

贈与税はその年度内に贈与を受けた金額から基礎控除額を引いた金額に対して税率を掛け合わせて計算します。
このとき、対象となる金額は、その年の1月から12月までに受けたすべての贈与の金額になります。ここから、基礎控除額110万円を控除します。

たとえば、7月31日に100万円、12月31日に100万円といったように半年に一度ずつ贈与を受けた場合は、100万円+100万円-110万円=90万円が課税標準となります。

90万円に対する税率は10%ですので、この場合90万円×10%=9万円が納税額になります。
先述のとおり、暦年で贈与税が計算されます。暦年ごとに基礎控除がありますので、先程の例において2回目の贈与がたまたま一日遅れて次の年の1月1日だった場合は、一年あたりの贈与額が基礎控除の110万円未満となります。
この場合は、課税標準はありませんので贈与税はかかりません。この基礎控除を上手に利用することが一つのポイントになります。

贈与税の税率

贈与税の税率は次の表の通りとなります。
ここで、贈与税においては累進課税方式が採用されていますから、その計算に注意が必要です。

たとえば、課税標準が300万円であった場合、表の税率に従えば、0円から200万円部分については10%が適用され20万円、200万円から300万円までの100万円部分については15%が適用され15万円となり、納税額は35万円となります。

一般贈与財産の税率表
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 |
| - | - |
| 200万円以下 | 10% |
| 300万円以下 | 15% |
| 400万円以下 | 20% |
| 600万円以下 | 30% |
| 1,000万円以下 | 40% |
| 1,500万円以下 | 45% |
| 3,000万円以下 | 50% |
| 3,000万超 | 55% |

下に示すのは祖父母や父母から子や孫へと贈与した場合に適用される特定財産の税率表です。
特例贈与財産の税率表
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 |
| - | - |
| 200万円以下 | 10% |
| 400万円以下 | 15% |
| 600万円以下 | 20% |
| 1,000万円以下 | 30% |
| 1,500万円以下 | 40% |
| 3,000万円以下 | 45% |
| 4,500万円以下 | 50% |
| 4,500万円超 | 55% |

<下に続く>

土地・不動産で贈与税が課される見落としがちなケース

贈与契約とは財産をあげるという意志と、もらうという双方の意志があって初めて成立する民法上の契約です。
しかし、税務署が贈与税の対象と考える範囲はもう少し広いようです。当事者が贈与を行ったとの認識がなくとも、外形的にみなして贈与税が課されます。
次のような場合に、思わぬところでみなし贈与の課税を受けてしまうことがあります。

親から子に対して、相場よりも安く不動産を売却した場合

3,000万円程度の相場の不動産につき、親からの便宜をうけ1,000万円程度の金額で不動産を譲り受けた場合、この相場と実際の取引価格の差額である2,000万円につき贈与とみなされてしまう可能性があります。

親子の間で共有登記により不動産を購入したが、実際の資金負担とは異なる場合

親子で一緒に二世帯住宅を購入し、資金についても親子でねん出した場合において、登記上の所有権割合と資金の負担割合が相違する場合にみなし贈与となる可能性があります。
たとえば、親子で4,000万円の二世帯住宅を購入し、1/2ずつの共有登記としました。
ところが、資金の負担については親が便宜を図り3,000万円を拠出し、子が残りの1,000万円を拠出したような場合です。

金銭の支払いを伴わない名義変更

家族の間で、お金を支払うことなく名義の変更を行ったば場合もみなし贈与の規定に抵触する可能性があります。
たとえば、長年親子で住んできた親名義の自宅について、親の介護施設への引っ越しなどを期に、便宜のため親から子へと名義変更をしたような場合です。
ちなみに、不動産の場合は、登記手数料や不動産手数料などがかかり、大々的な取引になりますが、有価証券の名義変更などは簡単にできてしまいますから注意が必要です。対価の支払いのない財産の名義変更として同様に扱われます。

土地や不動産を贈与した方が得になる場合、損になる場合

土地や不動産を贈与する際には、その取引が本当に得になるのかを検討しましょう。
土地付き一戸建て住宅や、マンション、賃貸アパートなどの類型別におおよそ見当がつきます。
また、贈与税に隣接する税目として相続税があります。

親から子に財産を渡す行為については、生前に行うと贈与税の対象になり、親の死を契機に行うと相続税の対象になります。
親から子へと同じ財産が移動することには変わりないのにも関わらす、課税される税目が異なり、税額が異なるのです。

緊急の必要性など、その他の理由がない場合については、納税額の少ない方法を選び計画的に財産の移転を行うほうが良いでしょう。
基本的には、贈与とはそのタイミングで財産を移し完結する行為です。その後の財産の価値の変動や、その財産から生み出される収益については無条件に贈与を受けた人に帰属します。

この点に加えて、たとえば贈与における教育資金関係の優遇であったり、相続税における小規模宅地の優遇であったり、各種優遇税制の対象となるかどうかも大きなポイントです。
孫の教育のために贈与をおこなう場合は一定金額につき無税とされます。

相続により同一生計の家族が宅地を取得す場合については、相続税の課税上の評価額が減額されます。政策的配慮によりこのような優遇措置があるので、当てはまる場合はこれを利用するほうが良いでしょう。
以下具体的に、得になる場合と、損になる場合を見ていきます。

土地や不動産を贈与した方が得になる場合

収益不動産を贈与すると特になる可能性が高いです。収益不動産とはたとえば賃貸アパートをイメージするとよいでしょう。賃貸アパートについては、財産的価値の大部分は土地になります。
土地は基本的に値下がりしないとの前提に立てば、今贈与しようと、または相続により遺贈を受けようとその金額は変わりません。

ところが、その不動産から生み出される家賃収入については、所有者に帰属する収入となります。ここで一棟8,000万円の賃貸アパートの場合を考えます。
このアパートには1年あたり、経費を差し引いた儲けが400万円あるとします。
今から10年後に息子へすべての財産につき相続を行うとすれば、この賃貸アパートの価値8,000万円と、10年間で発生する収益4,000万円の12,000万円が相続税の対象となります。

これに対して、今贈与を行った場合贈与税はかかりますが、基本的にはアパートの価値8,000万円部分のみが贈与税の対象となります。
そしてその後に発生する毎年400万円の儲けに対ついては最初から息子固有の財産となりますので、当然ながら相続税の対象にはなりません。(儲けに対する親と息子の所得税は考慮外としています。)

土地や不動産を贈与した方が損になる場合

賃貸アパートなどに対して、マンションや一戸建てを贈与する場合は要注意です。
まず、マンションについてはその財産的価値について大部分は建物です。ここが、上記賃貸アパートとは大きく異なる点になります。

土地は住民が区分所有により所有しますから一戸当たりの土地の価値は相対的に大きくありません。
土地の価値は基本的には下がりませんが、建物の価値は時の経過ともに減じていきます。

前述のように、贈与税の対象となるか相続税の対象となるかについては、タイミングの違いですから、建物の価値が十分に小さくなった時点で相続により遺贈をうけ、相続税の対象となった方が税額が安くなる可能性があります。

一戸建ての土地付き住宅については、財産的価値において土地の割合が高くなります。
また、多くの場合木造ですから、コンクリート造りのマンションと違い耐用年数も短く早い段階で価値がなくなります。
相続税において小規模宅地の特例を受けることができる可能性があります。
条件に該当すれば、相続税の計算を行うに当たり8割を減額することができるのです。

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土地の贈与税軽減には生前贈与活用がおすすめ

土地の贈与税を軽減するためには、相続時精算課税制度を利用することがおすすめです。
相続時精算課税制度を利用すれば、一定の要件はありますが贈与する金額から2,500万円を非課税とすることができるのです。
これは、暦年贈与との選択になりますので、通常の110万円の基礎控除は使えないこととなります。

もっとも、土地の生前贈与を行う場合にはその取引金額も多きくなりがちなので、110万円を超えることが多いと思います。
課税される金額を小さくすることによる効果もありますが、土地の値上がりが予想されるような場合においては、早期に贈与を行うことにより、その値上がり部分に対する課税も避ける効果があります。
うまく活用すれば、納税額を抑えることができると思います。

土地の生前贈与をする場合の注意事項

土地の生前贈与をする場合にはいくつかの注意事項があります。
まずは、不動産に関する流通税がかかるということです。親族間の贈与といえども、不動産に関する立派な取引ですから、登録免許税と不動産所得税が課税されます。固定資産評価額の約5%にもなります。
このほかに、名義変更の登記を司法書士に依頼する場合はその手数料も発生します。また、土地を贈与した場合においては、税務上の問題を避けるために税務署へ「無償返還の届け出」を行いましょう。この手続きを忘れる方が多くいるので注意してください。

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土地の贈与税を安くする秘訣

土地の贈与について、贈与税を課税する際はその土地の時価が基準となります。
この時価の算出の方法にはいくつかの種類があります。
また、不動産鑑定士や税理士などの各種専門家それぞれの見解もあります。
経験豊富な専門家に依頼すると、依頼者にとって有利な金額の算出方法により計算を行ってくれるかも知れません。大きな金額の取引ですので、その道のプロに依頼するとよいでしょう。

土地や不動産の贈与税の計算方法や見落としがちな様々なケースのまとめ

以上、土地と不動産を中心に贈与税に関して解説してきましたがいかがでしょうか。贈与税の理解を深めることも重要ですが、贈与税とは切っても切れない関係の税目に相続税があります。この両者の違いをよく検討して、長い期間で相続税の課税も視野に入れて適切な資産の移転の方法を計画するとよいでしょう。その際には、各資産の特徴に応じて個別に検討することや、これから土地が値上がるのか、それとも値下がるか等の経済動向を見極める必要もあります。

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