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年金繰り下げの手続き方法、支給額と繰り下げの損得を徹底解説!

国民年金はちょっとした工夫で受け取れる金額が上がるのをご存知ですか?通常65歳から受け取れる老齢基礎年金(国民年金)は、受け取る年齢を繰り下げる(遅らせる)ことで大きく上乗せされます。しかしもちろんいいことだけではなく、繰り下げによって得できるかは人それぞれです。年金繰り下げについての解説と手続き方法、繰り下げで得する人や損する人の条件に付いて解説します。

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年金繰り下げとは?

政府が年金の受給年齢を75歳からに引き上げようとしている、という話題がテレビや雑誌でよく取り上げられています。
将来自分が受け取る側になると思うと気になる話題ですが、実は現在でも年金の受取年齢を変更できるのをご存知ですか?

年金を受け取る年齢を遅らせることを年金繰り下げ、逆に受け取る年齢を年金繰上げといいます。
具体的にそれぞれの意味と違いを見ていきましょう。

意味

そもそも国民年金制度とは、国民全員に加入が義務付けられている制度で、老後にもらえる老齢基礎年金のことを指していうのが一般的です。
通常は20歳から60歳までの納付期間を経て、満65歳から支給が開始されます。

この65歳からの老齢基礎年金受け取りを一定期間先延ばしにすることを年金繰り下げといいます。
何故そんなことをするかというと、年金の繰り下げをすることによって、繰り下げした月数に応じて毎月貰える年金額が増額されるからなのです。

増額率は、受給資格を得た65歳から年金を受け取るのを遅らせた月数×0.7%で算出されます。
年間の増額率に換算すると0.7×12=8.4で一年あたり8.4%の増額となり、かなりの増額率です。

なお年金繰り下げにより増額されるのは現在70歳までの五年間となっていますのでご注意ください。

「繰り上げ」との違い

年金繰上げとは、繰り下げとは逆に年金を受け取る年齢を早めることです。
年金繰上げの請求をすることによって、最短で満60歳から老齢基礎年金を受け取ることができます。

ここで注意しなければいけないのが、年金繰上げをすると年金繰り下げとは逆に月々受け取れる年金額が減額されてしまうという点です。
減額率は本来の受給年齢である65歳から年金を受け取るのを早めた月数×0.5%で算出されます。

例えば年金の受取を本来より一年早い64歳の時に始めると0.5×12=6.0で一年あたり6.0%も年金が減額されてしまいます。

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年金繰り下げの手続き方法

年金繰り下げに特別な手続きは必要ありません。というのもそもそも老齢基礎年金は請求しないともらえないからです。

国民年金の老齢基礎年金は、最低10年以上の納付期間又は保険料免除期間を経て65歳になった時点(厳密には65歳の誕生日の前日)で、もらう権利が発生します。
権利が発生した後に年金の受給請求手続きをして、初めて年金がもらえるようになるのです。

そのため年金繰り下げをしたい場合は、65歳になっても年金受給手続きをせず、必要になるまで待っておくだけで自動的に年金受給額が増加していきます。
ここで注意しなければならないのは二点で、まず一点目は年金繰り下げにより受給額が増加するのは66歳からということです。

66歳になる前に受給申請をすると本来の受給額と変わりませんので気を付けてください。
二点目の注意点は繰り下げによる受給額の増加は70歳までしか適用されないということです。

70歳以降に年金を受け取らなくてもメリットはありませんので、70際の誕生月になったらすぐ年金受給の手続きをされることをおすすめします。
年金の受給手続きには年金請求書の提出のほか住民票、振込先の通帳、印鑑などが必要です。

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年金を繰り下げした場合の支給額

年金の繰り下げの計算

それでは具体的に年金繰り下げをした場合の受給額を見ていきましょう。
なお、国民年金は保険料の未納期間があるとその分受給額が減額されてしまいますので注意が必要です。

ここでは仮定として、国民年金保険料を20歳から60歳まで満額支払った場合の受給額を見ていきます。
この場合の年間受給額は、平成30年4月時点で年間779,300円となりますので、これをベースに計算していきます。

ちなみに自営業、農家、漁師、無職、学生等が対象である国民年金第1号被保険者の毎月の保険料は16,340円です。

半年後

年金繰り下げによる受取額増加は1年後の66歳から適用されます。
したがって半年後の時点では年金の受給額が増加することはありませんので注意してください。

0.7%×6ヶ月=4.2%の増加ということにはなりません。
よってこの場合の年間受給額は年金繰り下げを行わない時と同じく779,300円になります。

1年後

年金繰り下げを初めて1年後、66歳に受給をはじめた場合の増加率は0.7%×12ヶ月=8.4%です。
これを779,300円に掛けると年間受給額は779300円×108.4%(1.084)=約844761円となり、繰り下げをしない場合と比べて年間の受給額が約65400円増加します。

2年後

年金繰り下げを初めて2年後、67歳に受給をはじめた場合の増加率は0.7%×24ヶ月=16.8%です。
これを779,300円に掛けると年間受給額は779300円×116.8%(1.168)=約910200円となり、繰り下げをしない場合と比べて年間の受給額が約130900円増加します。

3年後

年金繰り下げを初めて3年後、68歳に受給をはじめた場合の増加率は0.7%×36ヶ月=25.2%です。
これを779,300円に掛けると年間受給額は779300円×125.2%(1.252)=約975600円となり、繰り下げをしない場合と比べて年間の受給額が約196400円増加します。

4年後

年金繰り下げを初めて4年後、69歳に受給をはじめた場合の増加率は0.7%×48ヶ月=33.6%です。
これを779,300円に掛けると年間受給額は779300円×133.6%(1.336)=約1041100円となり、繰り下げをしない場合と比べて年間の受給額が約261800円増加します。

5年後

年金繰り下げを初めて5年後、70歳に受給をはじめた場合の増加率は0.7%×60ヶ月=42.0%です。
これを779,300円に掛けると年間受給額は779300円×142.0%(1.42)=約1106600円となり、繰り下げをしない場合と比べて年間の受給額が約327300円増加します。

このように、5年間年金繰り下げをすることによって最大42%、約327000円も受取額が増加します。
一見すると繰り下げをしたほうがよさそうですが、注意点もあるようです。

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年金繰り下げのデメリット「加給年金」とは

幸せな老後のために

年金の繰り下げをすると一見お得なように見えますが、見落としてはいけないのが、自分の家族が加給年金の対象になっていないかということです。
加給年金とはどういうものか見ていきましょう。

意味

加給年金とは、厚生年金に加入している人の家族である配偶者(夫または妻)、または子どもがいるときに支給されるものです。
厚生年金とは会社員または公務員をしている人が加入する年金のことで、今までご紹介してきた国民年金の老齢基礎年金とは別に保険料が月々の給料から支払われ、65歳になると年金の支給が開始されます。

厚生年金も老齢基礎年金と同様に繰り下げが可能で、66歳から繰り下げ増額が適用されるのと、増額率が1ヶ月につき0.7%なのも同じです。

ここで注意していただきたいのが、老齢厚生年金を繰り下げすると、加給年金が支給されないということです。
それでは、加給年金が支給される条件について見ていきましょう。

受給の条件

まず、厚生年金の受給は、会社員か公務員勤めをして20年以上厚生年金の保険料を納めていることが前提条件となります。
そして保険料を納めた本人が65歳を迎えた時点で配偶者(夫または妻)が65歳に満たない場合に、配偶者が65歳になるまで加給年金を受け取ることができます。

もう一つの条件は、家族に未成年の子供がいる場合です。
厚生年金の保険料を納めた本人が65歳を迎えた時点で、18歳未満の子供がいる場合に、子供が18歳になるまで加給年金を受け取ることができます。

加給年金の受取額は、配偶者の場合は年間389,800円です。
また、子どもがいる場合は、二人目までは一人につき年間224,300円、三人目以降は年間74,800円が支給されます。

つまり、65歳になった時点で年下の配偶者を持ち、18歳以下の子どもが3人いる家庭では、加給年金が年間913200円も支給されることになります。
厚生年金を繰り下げしてしまうと、その間この加給年金が受け取れなくなるので注意してください。

なお、先ほどご紹介した老齢基礎年金は加給年金とは関係ないので繰り下げても加給年金は支給されます。

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損得比較!年金繰り下げで得する人の特徴

年金受け取りはよく考えて

では、年金繰り下げで得する人にはどのような特徴があるのでしょう。
年金繰り下げで得する人には、以下の特徴があります。

  1. 長生きする人
  2. 独身の人
  3. 自営業の家庭
  4. 共働きの夫婦

続いて、それぞれの特徴を詳しくみていきます。

特徴①:長生きする人

年金繰り下げにより年間の受取額は最高で42.0%も上昇します。
しかし年金繰り下げをすると最長で5年間年金が受け取れないわけです。

繰り下げをした人は繰り下げをしてない人に比べて最初は損をして、あとからその分以上を取り戻す形になります。
よって長生きすればするほど総支給額に差が開きお得になります。

ちなみに5年間年金繰り下げをした場合と全く年金繰り下げをしない場合を比較すると、総支給額は82歳で逆転します。
繰り下げをした方が国民年金だけでもその後は毎年約33万円もお得になります。

5年間繰り下げをし、70歳から国民年金の受け取りを開始した場合の82歳時点での総支給額は1,106,600円×12年=13,279,200円です。
一方、繰り下げをせずに65歳から国民年金の受け取りを開始した場合の82歳時点での支給額は779300円×17年=13,248,100円となり、82歳まで受け取り続けたら繰り下げをしたほうがお得になります。

特徴②:独身の人

先ほど述べた加給年金は、あくまで配偶者や子どもがいる場合に条件を満たしたら支給されるので、独身の方は関係ありません。
年金の繰り下げをしたほうがお得ではありますが、健康が心配な場合やもしもの場合に備えて、いつでも受け取りができるように準備しておくのがより安心かもしれませんね。

特徴③:自営業の家庭

加給年金は会社員や公務員のかたが入れる厚生年金制度に関係があるため、自営業の家庭は心配する必要がありません。
しかし老齢基礎年金だけで老後を過ごすのは何かと心配です。

なので、しっかりと貯金をしたり、今話題のiDeCoつみたてNISAなどで老後の準備をしておくのがおすすめです。

特徴④:共働きの夫婦

夫婦が共働きで、かつ会社員や公務員である場合は、両方とも厚生年金の受給対象になるため加給年金の支給はありません。
厚生年金の受給には20年以上の保険料納付期間、つまり会社員や公務員として20年以上働く必要がある点は注意してください。

<下に続く>

損得比較!年金繰り下げで損する人の特徴

では、年金繰り下げで損する人にはどのような特徴があるのでしょう。
年金繰り下げで損する人には、以下の特徴があります。

  1. 長生きに自信がない
  2. 配偶者と年齢が離れている
  3. 晩婚の

続いて、それぞれの特徴を詳しくみていきます。

特徴①:長生きに自信がない

5年間繰り下げをして70歳から年金を受け取る場合、82歳まで生きれば総支給額は繰り下げしないより多くなります。
日本の平均寿命は年々上がっているとはいえ、誰もが長生きすることはできないもの事実です。

我慢して繰り下げを続けるよりも、必要な時が来たら受給を開始する心構えを、自身の健康と相談して持っておきたいですね。

特徴②:配偶者と年齢が離れている

配偶者と歳の差婚で、年下の方が専業主婦または主夫の場合は、厚生年金対象者が65歳になった時点で、配偶者が65歳になるまで加給年金が受給されます。
しかし厚生年金を繰り下げすると加給年金が受給されないので注意が必要です。

厚生年金の受給額は個人によって違いますので、加給年金とよく比較して繰り下げをするか判断してください。
もしくは加給年金の受給条件とは関係のない老齢基礎年金だけ繰り下げをして、厚生年金だけ65歳から受け取るということもできます。

特徴③:晩婚

晩婚の方は、子どもを授かるのも当然高齢になってということになってしまいます。
65歳になった時点で子どもがまだ18歳未満の場合も、加給年金の対象になるので注意が必要です。

<下に続く>

年金繰り下げの手続き方法、支給額と繰り下げの損得を徹底解説!のまとめ

年金の繰り下げにはメリットもありますが、自身の職業や家族構成、健康状態などによっては一概にお得だとは言えないようです。年金はそもそも老後を安心して過ごすための制度ですので、自身の老後プランによく合った年金の受け取り方を、早いうちから考えておくというのが大事なのかもしれませんね。

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