今後の生活のために!年金の基礎知識
国民年金
「国民年金」とは、日本国内に住んでいる、20歳以上60歳未満の全ての国民が加入しなければならない公的年金のことを指します。
なお、自営業者や農業・漁業に従事している人、フリーター、無職の人は「第1号被保険者」に該当し、これに該当する人は、自分で年金の保険料を納めていかなければなりません。
また、厚生年金に加入している「第2号被保険者」に扶養されている配偶者(自身の年収が130万円未満に限る)は、「第3号被保険者」に該当します。
これに該当する人は、「第2号被保険者」の保険料によって賄われているので、自分で年金の保険料を納める必要はありません。
厚生年金
「厚生年金」とは、70歳未満の会社員や公務員として働く人が対象となり、国民年金に上乗せされる形で支給される公的年金のことを指します。
なお、会社員や公務員で働く人は「第2号被保険者」に該当し、半分は雇用主、半分は被保険者が負担して保険料を納めていくことになっています。
なお、被保険者は毎月の給料から年金の保険料が天引きされているので、自分で納める必要はありません。
生活できない?年金の受給額の実態
一昔前の時代では、年金の保険料を納めてくれる働き手もたくさんいて、年金だけで生活できる家庭も多かったものです。
しかし、近年では、少子高齢化が進み、平均寿命も年々伸び続けているため、年金だけでは生活していけないのではないかという不安の声も多々あります。
なお、総務省が発表している「家計調査年報」によると、夫婦2人世帯の年金支給額は平均で約19万円、独身世帯の年金支給額は平均で11万円という結果が出ています。
となると、夫婦2人世帯であれば19万円以下、独身世帯であれば11万円以下に支出を抑えなければ、年金だけで生活していけないことを意味しています。
なお、これはあくまでも平均的な年金支給額ですので、世帯年収が高ければ、平均よりも年金支給額が上回る可能性が高いです。
逆に、世帯年収が低かったり、自営業で働いてきて国民年金しか加入していない人は、平均よりも年金支給額が下回る可能性もあります。
そのため、若いうちから個人年金や保険に加入しておいたり、退職後も働き続けるなど、公的年金以外にも複数の収入源を確保しておく必要があるのです。
年金で賄える?老後に必要な生活費の内訳
生命保険文化センターが発表している「平成28年度生活保障に関する調査」によると、夫婦2人世帯と独身世帯の最低生活費は以下の通りとなっています。
項目 | 夫婦2人世帯の生活費 | 独身世帯の生活費 |
---|---|---|
住居 | 16,000円 | 20,000円 |
食料 | 70,000円 | 30,000円 |
電気、ガス、水道 | 20,000円 | 10,000円 |
家具、家事用品 | 10,000円 | 5,000円 |
被服、履物 | 9,000円 | 5,000円 |
保険医療 | 15,000円 | 5,000円 |
交通・通信 | 30,000円 | 10,000円 |
教育 | 0円 | 0円 |
教養、娯楽 | 10,000円 | 5,000円 |
その他 | 40,000円 | 25,000円 |
合計 | 220,000円 | 115,000円 |
ちなみに、「最低生活費」とは、趣味や娯楽に欠けられるお金が少ない、あるいは全くないというように、生きていくために最低限必要となる生活費のことです。
そのため、趣味や娯楽にお金をかけ、有意義に生活するためには、最低生活費よりも更に支出が増えるということになります。
なお、以上の表を見ても分かるように、平均的な年金支給額では、最低生活費を賄いきれないことが分かります。
ただ、この表を見ると、特に夫婦2人世帯の食費は2~3万円程度削減することも可能です。
逆に、住居費は住宅ローンを完済していれば0円になりますが、賃貸に住んでいるのであれば、これよりも数万円上乗せしなければなりません。
したがって、この表は参考程度にとどめておき、自分の家庭ではどれくらいの生活費があれば生きていくことができるのか、老後に備えて1度、最低生活費を算出してみることをおすすめします。
家計簿必須!年金生活をやりくりする方法
年金生活をやりくりするためには、固定費の見直しから行うようにしましょう。
まず、携帯料金についてですが、docomoやau、SoftBankの3大キャリア会社の携帯を契約しているのであれば、今話題の格安スマホに乗り換えるだけでも、毎月の携帯料金を大幅に削減することができます。
3大キャリアの携帯料金の平均は6,000円~7,000円と言われています。
しかし、格安スマホに乗り換えれば、携帯料金を2,000円程度に抑えることも可能です。
そのため、毎月の携帯料金を4,000円~5,000円程度削減することができ、非常にお得です。
また、食費の部分でも、外食をしたり、コンビニを利用するのを控え、安いスーパーで食材を購入して自炊するだけでも、食費を大幅に削減することができます。
家賃についても、持ち家を所有しており、住宅ローンを払っているのであれば、低金利の住宅ローンに借り換えてみましょう。
また、賃貸に住んでいるのであれば、今住んでいる物件よりも、家賃相場の低い地域の物件、部屋の広さが狭い物件、駅から少し離れた物件、公共機関が提供している物件に引っ越すだけでも固定費の大部分を占める家賃も削減することができます。
年金生活者に確定申告は必要?
年金で生活している人は、「確定申告不要制度」を利用することで、確定申告を行う必要がなくなります。
この「確定申告不要制度」の対象者となるのは、「年金などの収入金額の合計が400万円以下で、その全てが源泉徴収の対象となっていること」、もしくは、「年金以外の所得金額の合計が20万円以下であること」のいずれかの条件を満たしている人が対象となります。
年金生活者支援給付金とは
制度の概要
「年金生活者支援給付金」とは、年金を受給している低所得の高齢者や障害者に対して支給されるお金のことです。
このお金は、平成31年10月に消費税が8%から10%に増税されることによる負担を軽減するために、政府から支給されることになっています。
そもそも、消費税とは、収入の低い人ほど税負担が重くなるので、この制度を実施することで、景気が悪化してしまうのを防ぐ狙いがあります。
対象者
「年金生活者支援給付金」を受給するためには一定の条件を満たす必要があります。
その条件としては、「3月31日の時点で65歳以上であること」、「年金が支給されており、かつ年金収入を含む所得の合計が77万円以下であること」の2つの条件を満たす必要があります。
また、生活保護を受給している場合は、これらの条件を満たしていても原則として支給されません。
なお、「公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)の保険料を支払った期間」、「国民年金の保険料の支払いを免除された期間」、「合算対象期間」の合計が10年以上にならなければ年金を受給することができません。
よって、3月31日の時点で65歳以上であっても、年金を受給することができなければ、「年金生活者支援給付金」の対象者とはなりません。
支給金額
「年金生活者支援給付金」は、最大で毎月5,000円が亡くなるまで支給されることになります。
なお、1級の障害基礎年金を受給している障害者は、毎月6,250円が支給されます。
申請方法
平成30年8月現在、申請方法は未定となっています。
今後、対象者にはハガキや手紙などで連絡があると思われます。
年金と生活保護の両方を受給することは可能?
結論から申し上げますと、年金と生活保護の両方を受給することは可能です。
しかし、老齢年金や障害年金、遺族年金も給料と同じように収入として計算されるため、年金の受給額が高ければ、生活保護の支給額が相対的に減額されることになります。
ただ、生活保護を受給するためには、預貯金や自動車などの資産を持つことが認められないなど、様々な制約が発生してしまいます。
そのため、できる限り公的年金が満額受給できるように努力し、不足した分は預貯金や個人年金などで補い、それでも生活していくことが困難だという場合には、最終手段として生活保護に頼ることをおすすめします。
年金生活者を扶養に?老人扶養控除とは
概要
「老人扶養控除」とは、扶養控除の対象となる人が「年齢が70歳以上の親族であること」、「所得金額が38万円以下であること」、「生計を一にしていること」、「事業専従者でないこと」の4つの条件を全て満たせば、自分の親や祖父母も扶養控除の対象とすることができます。
「生計を一にしていること」というのは、必ずしも同居が条件ではなく、別居であっても仕送りをしていれば、この条件が認められます。
メリット
老人扶養控除のメリットとしては、「扶養に入れた人の健康保険料の負担がなくなること」、「扶養している人の所得税や住民税が安くなること」が挙げられます。
逆に、扶養に入れることによるデメリットは特にありません。
そのため、もしも自分の親や祖父母が老人扶養控除の条件を満たすことができるのであれば、積極的に扶養に入れてしまった方が保険料や税金の負担を軽減することができるのでおすすめです。
年金生活の実態とは?生活費の内訳や受給額、支援給付金について解説のまとめ
少子高齢化が進み、年金だけで悠々自適に生活するというのは過去の話になりました。
それどころか、ますます高齢化社会が進んで、年金の受給額が減少し、年金だけでは必要最低限の生活を送ることも難しくなることが予想されます。
そのため、今からでも老後の計画を立てて、どれくらいのお金が必要になるのか把握しておきましょう。
そして、老後に備えて、個人年金や生命保険に加入したり、計画的に貯蓄をするなど、年金で生活していくために対策をしておくことが大切です。