諦めるとは?
スポーツや、仕事、勉強では、ギリギリまで頑張ることが常に求められています。
そのため、「諦める」というと、実力を出し切らないうちに投げ出すといったネガティブなイメージが伴います。
ところが、「諦める」という言葉には、これからご紹介するように、今広く知られている意味の他に、実は「隠れた賢い教え」が詰まっています。
また、類語を調べると、「諦める」には、5つの意味があることがわかりました。
その中には、「割り切る、受け入れる、切り替える」という意味もあります。
こちらのポジティブな意味の「諦める」が今、注目されています。
語源
「諦める」の「諦」という漢字は、仏教由来の言葉です。
サンスクリット語で、真理を意味する「satya」を訳した言葉が、「諦」でした。
また、諦めるのルーツは、仏教で使われていた「諦観」というフレーズです。
こちらの意味は、「あきらかにみる」という意味を表します。
Wiktionaryによると、「諦める」のもともとの意味は、「明らめる:あきらかにする、明白にする」です。
「真実を明らかに見極める」という意味を持っていました。
しかし、仏教の「諦」の教えが誤用されてしまい、マイナスの意味で使われてしまうようになってしまいました。
今では、「望みを捨てる、絶望する」という意味で広く使われていますが、本当の意味を知るとびっくりしてしまいますね。
類語
「諦める」は、幅広い意味を持った言葉です。
そのため、類語には大きく分けて、5つのタイプの言葉があります。
1つ目は、「降参する、観念する」
2つ目は、「割り切る、受け入れる、切り替える」
3つ目は、「投げ出す、降りる」
4つ目は、「諦観する、もはやこれまでと思う」
5つ目は、「幕を下ろす、一区切りをつける」
以上、5つのタイプの類語が、「諦める」という言葉にはあります。
「降参する」「投げ出す」は、従来通り「諦める」という言葉からイメージされる、マイナスのニュアンスになります。
一方で、「割り切る」や「一区切りをつける」からは、主体的かつポジティブなニュアンスがあることがわかります。
使い方
「最後まで...希望を捨てちゃいかん。あきらめたら、そこで試合終了だよ」
『スラムダンク』の安西監督の名言です。
英語版では、「When you give up, that's when the game is over.」と訳されています。
こちらのフレーズに、何度も励まされた方は多いのではないでしょうか。
「ここで諦めるのはまだ早い」と、奮起を促す有名なフレーズです。
英語
英語ですぐにイメージされる言葉は、「give up/ give in」です。
ところが、英語で「諦める」という意味を表す言葉は、他にもたくさんあります。
まず、「受け入れる」に近い言葉は、「accept the situation」です。
「状況を受け入れる」という意味です。
他には、「let」を使って、「let it go」という表現もあります。
こちらは、「状況を受け流す→割り切る」というイメージになります。
また、「投げ出す」に近い意味では、「give up halfway through」というフレーズがあります。
英語で一口に諦めるといっても、ケースに応じて表現は様々ですね。
「諦め」を習慣にしている人の特徴
では「諦め」を習慣にしている人にはどのような特徴があるのでしょう。
「諦め」を習慣にしている人には、以下の特徴があります。
- 怒りの感情に支配されることが少ない
- 自分の限界を知っている
- 失敗からの切り替えが早い
- 「まあいっか」と相手を許すことができる
- 自分の軸がしっかりしているので、ストレスフリー
- 身近なものに感謝し、充実した日々を送ることができる
続いて、それぞれの特徴を詳しくみていきます。
「諦め」を習慣にしている人の特徴①:怒りの感情に支配されることが少ない
「諦め」を習慣にしている人の特徴の1つ目は、怒りの感情に支配されることが少ないことです。
もちろん日々の生活の中で、イラっとすることはあります。
しかし、「諦め」の思考回路のある人は、自分の力の及ばないことを、いつまでも考えても仕方がないと考え、怒りの感情を引きずることがありません。
心を上手にコントロールすることができるのが、最大の特徴です。
「諦め」を習慣にしている人の特徴②:自分の限界を知っている
「諦め」を習慣にしている人の特徴の2つ目は、「自分の限界を知っている」ということです。
「諦め」とは、見極めができるということです。
そのため、自分のキャパシティーを超えると判断したら、見栄を張ることなしに、うまく周囲に助けを求めることができます。
自分の力でやるべきことと、周囲からのサポートのバランスをうまくとることができるのです。
必要以上に一人で抱え込み、その結果つぶれてしまうということがありません。
「諦め」を習慣にしている人の特徴③:失敗からの切り替えが早い
「諦め」を習慣にしている人の特徴の3つ目は、失敗からの切り替えが早いことです。
失敗をするとダメージが大きく、なかなか立ち直れないことがあります。
「諦め」マインドがある人は、いつまでもくよくよと落ち込むということがありません。
自分でベストを尽くしたら、現状をあるがままに受け止め、なぜその失敗につながったのかを分析します。
結果として、失敗からの切り替えが早く、逆にビジネスチャンスにつながることもあります。
「諦め」を習慣にしている人の特徴④:「まあいっか」と相手を許すことができる
「諦め」を習慣にしている人の特徴の4つ目は、「まあいっか」と相手を許すことができることです。
基本的に、そもそも人と考えが違うことは、当たり前だと考えています。
「諦め」とは、物事に白黒を付けず、グレーゾーンもありとするということです。
自分とは違うけど、そういう見方もあるかもしれないと受け流すことができます。
したがって、人を追い詰めたり、問い詰めたりすることがありません。
リラックスした雰囲気が漂っているので、特に、恋愛においてはモテの要素にもなります。
「諦め」を習慣にしている人の特徴⑤:自分の軸がしっかりしているので、ストレスフリー
「諦め」を習慣にしている人の特徴の5つ目は、自分の軸がしっかりしているので、ストレスフリーということです。
「諦め」マインドのある人は、他人を変えることはできないと考えています。
人間関係において、過剰な期待がありません。
私は私、人は人と割り切って考える強さがあります。
スッと身を引いて、客観的に状況を把握することができるので、あまり人間関係の悩みがありません。
「諦め」を習慣にしている人の特徴⑥: 常に感謝の気持ちを忘れない
「諦め」を習慣にしている人の特徴の6つ目は、常に感謝の気持ちを忘れないことです。
「諦め」マインドのある人は、自分の力には限界があり、人に助けられて生きていることをよく知っています。
ですから、身近なものに感謝する気持ちを忘れません。
周りへの感謝は、ポジティブなオーラとなって表れます。
そのため、不思議と運気も上がり、充実した日々を送ることができます。
諦めることで人生が楽になる?
諦めず最後まで努力することは、素晴らしいことです。
ところが、「諦めない」ことによって、息苦しくなってしまうことも多いです。
がんばりすぎることによって、可能性を狭めてしまうことがあります。
諦めることは、必ずしも悪いことではありません。
「諦め」マインドは、敗北や無責任ではありません。
ベストを尽くしたうえで、状況を見極め受け入れる、戦略的な方法なのです。
切り替えるのは勇気がいりますが、生活の中に、諦めの知恵を取り入れることによって、ぐっと心が楽になりますよ。
成功する人ほど潔い?賢く諦める方法
では、賢く諦める方法をみていきましょう。
賢く諦める方法には、以下のものがあります。
- 過度に期待することをやめる
- 自分は自分、人は人
- そりが合わない人と距離を置き、深入りしない
- 人と比べない
続いて、賢く諦める方法を、それぞれ詳しくみていきます。
賢く諦める方法①: 過度に期待することをやめる
賢く諦める方法の1つ目は、過度に期待することをやめることです。
人間関係の悩みは尽きないものです。
うまくいかない原因の1つは、相手に対し「こうしてほしい」と期待の気持ちを抱いてしまうからです。
それが叶わなかった時に、いらだちや失望、悲しみが生まれ、私たちを苦しめます。
もし、人を変えることはできないと割り切ることができたら、ぐっと心が楽になります。
賢く諦める方法②: 自分は自分、人は人と考える
賢く諦める方法の2つ目は、自分は自分、人は人と考えることです。
どんなに仲がいい友達や恋人、家族でも、自分とは違う人間です。
もし意見が対立した時に、思い出してください。
「諦め」の教えは、人の考えを無理やり変えて、納得させることはできないと悟ることです。
ここを踏まえて人とつきあうことによって、人間関係のもやもやが劇的に変わります。
賢く諦める方法③: そりが合わない人と距離を置き、深入りしない
賢く諦める方法の3つ目は、 そりが合わない人と心理的に距離を置くことです。
誰からも気に入られ、好かれることはできません。
そりが合わない人も、中にはいます。
そうした場合、初めから、あの人とは発想が違うと割り切ることで、心が軽くなります。
付き合いの密度を変えることによって、穏やかに過ごすことができます。
賢く諦める方法④: 人と比べない
賢く諦める方法の4つ目は、人と比べないことです。
他人と比べるから、嫉妬やコンプレックスなど負の感情が生まれてしまいます。
「自分は自分、人は人」の考えと似ていますが、自分を正しく評価することが、成功への第一歩です。
今与えられている状況を受け入れ、他人と比べるのではなく、自己ベストを目指すことが幸せの鍵になります。
自分の軸をしっかり持つと、自信が生まれポジティブな毎日を送ることができます。
仏教の「諦める」の知恵を生活に生かそう
仏教の「諦め」という言葉が、今普通に使われている意味とは全然違うということをご紹介いたしました。
辞書を調べると、諦めるの類語に「割り切る、受け入れる、切り替える」といった意味があり、こちらの考えが、今注目を集めています。
一見ネガティブに思える「諦め」という考えですが、実はメリットもたくさんあります。
こちらの記事では、「諦め」を実践している人の特徴や、賢く諦める方法も詳しくご説明いたしました。
真実を明らかに見極めるという教えを、ぜひ実生活に取り入れてみてください。
ストレスフリーの生活につながりますように。