メールの締め言葉はビジネスマナー
大人数の宴会の最後には、〆があります。
一本締めや三本締めなど、締める人がその場にあったスタイルを選んで、みんなで締めます。
これは宴の終了を告げる合図であり、儀式なのです。
ビジネスメールも同じです。
メールは「簡略に、素早く、わかりやすく」が命です。
どこで終わったのかよくわからないだらだらメールは困りものです。
本文の内容に即した終わり方で、ビシリ!と決める。
これがビジネスメールのマナーです。
メールの締め方次第で、優れたビジネスパーソンであるかどうかが判断されます。
締めの悪い人とは仕事をしても大丈夫かな、と疑いすら持たれます。
一流の仕事をする人は、一流の決め言葉の持ち主なのですから。
メール締めのフレーズ【基本編】
では、メール締めのフレーズ【基本編】例文として以下を紹介します。
- よろしくお願いします
- ありがとうございます
- ご報告申し上げます
- 幸いです
- お祈りしております
- よろしくお伝えください
【基本編】例文①:よろしくお願いします
このフレーズは締めの言葉の基本中の基本です。
メールの半数近くにこのフレーズが使われます。
お願い事から、お詫び、案内まですべての趣旨の締めに使えるフレーズです。
「○○のほど、よろしくお願いします」と言う風に、用件を○○で伝えて、メールの最後で念を押します。
それでは、「ご確認の程、よろしくお願いします」を少しずつ丁寧な文章に変化させていきます。
「ご確認の程、よろしくお願いします」
↓
「ご確認のほど、どうぞよろしくお願いします」
↓
「ご確認の程、どうぞよろしくお願いいたします」
↓
「ご確認の程、なにとぞよろしくお願い申し上げます」
相手や、用件に会わせて的確に使い分けてくださいね。
【基本編】例文②:ありがとうございます
このフレーズはお礼専用の言葉です。
「ありがとう」を漢字で書けば「有り難う」です。
ありえないくらい、うれしい気持ちを表す美しい日本語です。
感謝の気持ちでメールを終わりたいときには、次のフレーズのどれかをピックアップして締めてください。
「ありがとうございます」
↓
「ありがとうございました」
↓
「本当にありがとうございました」
↓
「誠にありがとうございました」
【基本編】例文③: ご報告申し上げます
メールの締めの言葉は、冒頭のメールの件名と関連します。
仕事の進行状況や、結果についてメールで報告するときにはメールの件名は「○○の件」や「○○の件ご報告」となります。
締めの言葉は「以上、ご報告申し上げます」となりました。
中間報告であれば「とりあえずのご報告といたします」となります。
本文に既に報告がなされていることを、どうしてわざわざご報告申し上げますと繰り返すのかという疑問があります。
冒頭で言いましたが、三三七拍子のように、締めの言葉は慣用句であり、ある種の儀式なのです。
「メールはこれで終わります」というのはいかにも切ないではありませんか?
「以上、ご報告申し上げます」という繰り返しで、先方の気持ちは落ち着くのですね。
【基本編】例文④:幸いです
メールの締めとして「○○して頂ければ幸いです」というフレーズがよく見られます。
「幸いです」というのはメールを出した当方が「幸い」なのです。
その分、先方が不幸せと言うか、先方に迷惑をかけるわけですから、ずいぶん甘えた言葉使いです。
つまり、このフレーズは甘えを許してもらえる相手であることを見切った上で使う言葉なのです。
相手が困るようなことを頼むときに、この言葉は使えません。
軽いお願いのときに「幸いです」を使うようにいたしましょう。
【基本編】例文⑤:お祈りしております
このコメントは締めの言葉と言うよりは、「終わりに一言」と言う御挨拶に近い言葉です。
先方に対する気遣いを表す言葉に続いて用いることがよくあります。
「今後ますますのご活躍をお祈りしております」
「新製品が大ヒットしますように、お祈りしております」
【基本編】例文⑥:よろしくお伝えください
このコメントはメールの相手だけではなくて、その背景にいる人にも、よろしくという気持ちを伝えて欲しいと言っています。
「チームの皆様によろしくお伝えください」
「○○社長様に、くれぐれもよろしくお伝えください」
このメールをもらって、さて、あなたはどうしますか?
わざわざ社長のところへ走る人はいませんよね。
なにかの折に社長と顔を合わせたときに「あ、そうでした、△△様が社長にくれぐれもよろしくとおっしゃってました」と「くれぐれも」に力を込めて言うはずです。
社長の喜ぶ顔を見て、あなたも△△さんの心使いに、感謝されるはずです。
締めの一言は使い方次第で、奥が深いのでした。
メール締めのフレーズ【依頼・お礼編】
では、メール締めのフレーズ【依頼・お礼編】例文として以下を紹介します。
- お待ち申し上げます
- ご検討の程よろしくお願い
- 幸いです
- ありがとうございました
- 重ねてお礼
続いて、メール締めのフレーズ【依頼・お礼編】例文を、それぞれ詳しくご紹介します。
【依頼・お礼編】例文①:お待ち申し上げます
案内のメールとして定番の締めの言葉に「お待ち申し上げます」があります。
これは証券会社から説明会に出席を依頼する案内メールです。
「若いご家族向けの信託商品ができましたので、ご案内申し上げます。
なお詳細の説明会を○○日に弊社小ホールで開催いたします。
皆様のご来場、心よりお待ち申し上げております」
【依頼・お礼編】例文②:ご検討の程よろしくお願い
なにかの物事を依頼したときには、メールの末尾は「○○、よろしくお願いします」の言葉で締めます。
○○のところには依頼の内容を具体的に書きます。
「新番組の企画構成案を郵送にて送らせて頂きました。
ラフスケッチですので、お時間を頂ければご説明に上がりたいと存じます。
ご予定など、ご検討の程よろしくお願いいたします」
このメールの締めは、忙しい先方に、ラフ案を読むことと、打ち合わせの時間を作ることを、二重に依頼しています。
締めの言葉の「ご予定など、ご検討の程」は、柔らかい言い回しを使いながら、結構厳しい要請をしているのでした。
【依頼・お礼編】例文③:幸いです
「いつもお世話になります。昨日鹿児島の記事取材から戻りました。遅くなりましたが、内容もなんとか標準に達していると思います。
なお、出張ついでに地元特産の焼酎をお送りしてあります。
なにかの折に、皆様でご賞味頂ければ幸いです」
仕事を頂いたお礼に、焼酎のプレゼントです。
「幸いです」は、軽い依頼事をするときや、プレゼントを召し上がってくださいというときなどに使うと、押しつけがましくなくて良いですよ。
【依頼・お礼編】例文④:ありがとうございました
「このたび△△様には、大変貴重なお時間を割いていただき、地盤改良の技術指導を頂きました。
お礼の言葉もございません。
さっそく改良工事を開始いたしました。
これで安心して開発プロジェクトを進めることができそうです。
まことにありがとうございました!」
締めの言葉の定型文でした。
【依頼・お礼編】例文⑤:重ねてお礼
先ほどの記事取材と、焼酎をいただいたことへのお礼メールです。
「○○さん、鹿児島の記事取材、お疲れ様でした。
良い記事に仕上がりそうとのこと、ありがとうございます。
期待しております。
ところで、お土産の焼酎、さっそく仕事のあとで、つまみを買ってきて職場で宴会やりました。
うまかったです。
スタッフを代表して、重ねてのお礼を申し上げます」
このときの重ねてのお礼とは、「なんども申し上げますが」と言う意味と「仕事と焼酎のお礼を申し上げます」の両方の意味でした。
メール締めのフレーズ【お詫び編】
では、メール締めのフレーズ【お詫び編】例文として以下を紹介します。
- 誠に申し訳ございません
- お詫び申し上げます
- ご理解の程、よろしく
- 今後ともよろしくお願い
【お詫び編】例文①:誠に申し訳ございません
顧客からのクレームの電話に対応したメールの例です。
「調べてみました結果、工場にお届けしました商品に一部不良品が混じっておりました。直ちに正規の部品と交換させていただきます。
今から、技術士が伺いますので、よろしくお願いいたします。
このたびの不手際、誠に申し訳ございませんでした」
クレームへの対応は、「素早く」が一番です。
クレームが付いた顧客からの電話に対して、メールで調査の結果と、対応を報告してから、最後にお詫びです。
ビジネスにはミスはつきものです。
冷静な対応をしてから、丁寧なことばでお詫びをします。
「誠に申し訳ございませんでした」が率直にミスをお詫びする締めの言葉、NO.1でした。
【お詫び編】例文②:お詫び申し上げます
「申し訳ございません」をすこし固い言い回しにしますと「お詫び申し上げます」となります。
お詫びメールの締めの言葉として使うと次のようになります。
「このたびの不手際を、心よりお詫び申し上げます」
ミスを詫びるメールの締めの言葉、堅苦しい表現のNO1でした。
【お詫び編】例文③:ご理解の程よろしく
得意先での打ち合わせに欠席する関係者のお詫びメールです。
「緊急の出張が決まり、明日の打ち合せに参加することができなくなりました。
台風で被害の出た○○県の病院に応急処置に参ります。
ライフラインの電気系統が不具合だそうで、患者さんの具合が心配です。
会議には、私の代わりに○○を出席させていただきます。
ご迷惑おかけしますが、ご理解の程なにとぞよろしくお願いいたします」
【お詫び編】例文④:今後ともよろしくお願い
「さて、このたび定期の人事異動に伴い、御社担当チーム・チーフの○○が海外に赴任することが決まりました。
・・・
まずはお詫びを申し上げます。
後任のチーフにはご存じのメンバーの△△を昇格させて、大役を勤めさせたいと存じます。
しばらくはご迷惑をおかけするかもしれません。ご容赦の上、厳しくご指導いただきますようお願いいたします。
今後とも相変わりませずお取引いただきますよう、くれぐれもよろしくお願い申し上げます」
得意先の責任者への、担当部長からのメールです。
チーフ異動のお詫びから始まって、締めは今後の取引のお願いで終わっています。
ビジネスマナーとしての、お詫びメールの締め方定番の一つでした。
メール締めのフレーズ【返信不要の場合】
返信不要の場合
「なお返信は不要です」
メールの締めの言葉がこうなっていたら、あなたはどう受け止めますか?
「なんか素っ気ないな」なら良いのですが・・。
人によっては「生意気な」と思われるかもしれません。
わざわざ「返信メールは不要です」と書くことに無理があります。
メールは頻繁にやりとりするものと言う合意で成り立っているからです。
「不要です」とわざわざ書かなければ良いのですが、先方にどうしても気遣いを伝えたいときには表現を変えてみましょう。
「なお返信は不要です」
↓
「なおご返信には及びません」
↓
「お忙しいこととて、ご返信には及びません」
(「及びません」という表現はなんだか偉そうに聞こえます)
↓
「以上ご報告です。特に問題がなければご返信などお気遣いなさいませんようにお願いします」
ここまで書かれると逆に返信が来ますよ。
よほどのとき以外は「返信不要」はお薦めできませんね。
返信が欲しい場合
返信が欲しい時は、はっきりそう書きましょう。
返信が欲しいのかどうか、よくわからないメールは困りますよね。
また書かないと返事が来ないことも多いです。
締めの言葉は次のようになります。
「ご連絡お待ちします」
↓
「お返事お願いします」
↓
「ご都合の程、お知らせください」
↓
「ご面倒ですが、お返事お願いいたします」
↓
「お手数ですが、ご意見お寄せください」
↓
「ご検討の上、ご意見お聞かせいただければ幸いです」
依頼の内容や、相手次第でバリエーションを考えてくださいね。
その他覚えておきたい締めのフレーズ
季節
季節の挨拶でメールを締めることがあります。
とくに特別なシーズンではこの言葉が不可欠になります。
「それでは良いお年を!」
「良いお年をお迎えください」
年末のビジネスメールに欠かせない締め言葉でした。
お見舞い
先方の健康を気遣う言葉は、締めの言葉としてよく使われます。
「お元気でご活躍の程、お祈りいたします」
また、季節の言葉と連動して使われます。
「寒さ厳しき折から、くれぐれもお身体にはお気をつけて、元気にお過ごしください」
取り急ぎ
「取り急ぎ」という言葉は、メールで使うのに便利な言葉です。
「取り急ぎお礼の言葉とさせていただきます」
メールは忙しいときにつかうコミュニケーションの手段ですから、「取り急ぎ」は締めの言葉にぴったりです。
ただ、気をつけて欲しい場面があります。
「取り急ぎ、ご報告申し上げます」と言うフレーズです。
この言葉は、受け止めかたによっては、大変失礼なコメントになります。
急いでいるのは報告者であって、先方ではないからです。
「当方の事情で急いでおりますので、雑な報告になりますが・・」とわざわざ断っているように受け止められます。
「取り急ぎの報告」が許されるのは中間報告の場合です。
「詳細につきましては、あらためてご報告に上がります。まずは、取り急ぎの中間報告とさせていただきます」
また好事・良い知らせのときはOKです。
「良い結果が出そうです。取り急ぎのご報告とさせていただきます」
良い知らせのときには「取り急ぎ」が許されるのでした。
以上
「以上です」と言う締めのフレーズは、仕事中心のメールのやりとりによく使います。
ビジネスライクな表現で締めたいときに良い言葉です。
忙しい業務連絡のやりとりでは季節の挨拶や余分な気遣いは邪魔になります。
「以上で本日の報告を終わります」
クールな仕事仲間の一日がこの言葉で気分よく締められます。
【ビジネスメール】基本の締めの言葉・覚えておきたいフレーズを紹介・まとめ
ビジネスメールの締めの言葉で、その人が優秀なビジネスパーソンであるかどうかが判断されます。
いそがしいビジネスシーンのメールは「簡略に、素早く、わかりやすく」が基本です。
締めの言葉も同じです。
毎日のビジネスを円滑に進めていくために、メールの締め言葉をクールに決めてくださいね。