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2017/05/07

国際相続とは。必要な手続きや覚えておくべき基礎知識を解説します

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国際相続とは

相続人の中に海外に住んでいる人がいる場合や相続財産が海外にある場合などを総称して国際相続と言います。国際相続は通常の相続と比較しても手続きが複雑になりがちです。今回は国際相続の中で財産が海外にある場合について、手続き方法や注意点を紹介します。

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国際相続で必要な手続きについて

近年では日本国籍を有しながら海外に住んでいたり、海外に多くの財産を持っていることも珍しくなくなってきました。

財産の在り方によっては相続時に手続きが非常に複雑になります。特に海外の不動産は現地の法律に基づくのか、国籍に基づくのかといった違いも諸外国によって制度が異なります。これらについて解説をします。

国際相続における遺産分割の方法

国際相続

日本では相続に関して財産を不動産と動産で特段の区別をしないという「相続統一主義」を採用しています。ところが諸外国には動産と不動産を明確に分け、不動産の取り扱いを所在地の法律に従って処理をする「相続分割主義」を採用している国もあります。

海外に不動産資産を持っている場合の手続き注意点

相続統一主義と相続分割主義について詳しく解説します。
相続統一主義は相続財産の種類(現預金・金融資産・車などの動産と、家屋・土地などの不動産)や所在地について区別をせず、全ての相続関係を被相続人の国の法律で決めるという考え方です。

この考え方はさらに「住所地法主義」と「本国法主義」に分けることができ、日本は本国法主義です。他にもドイツ、イタリア、韓国も本国法主義です。住所地法主義にはスイスやデンマークがあります。

相続分割主義は財産を動産と不動産に分け、動産は被相続人の本国法、不動産は所在する国の法律に従うという考え方でアメリカやイギリス、フランスが採用しています。
つまり、単に海外の不動産と言ってもどこの国にある不動産であるかによって手続きも変わってくることにも注意が必要です。

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国際相続で覚えておくべき基礎知識

国際相続は外国の法律にも関わるため難しくなりますが、相続の基本的な流れ自体は通常の相続と変わりません。遺言書がなければ相続人同士で遺産分割協議を行い、分割手続きを進めていきます。

納税義務が発生するのか

ここで最も気になる納税義務について解説します。
表のように被相続人と相続人それぞれの住所地や国籍などによって納税義務の有無が異なります。

国際相続

被相続人の住所が国内にあれば相続人の住所や国籍に関係なく納税義務者となります。また、相続人の住所が国内にある場合も被相続人の住所に関係なく納税義務者となります。国内に住所がない場合は5年を境にして取扱いが変わってきます。

納税の対象となる相続財産は

また、納税の対象となる相続財産は以下の通りです。


こちらも被相続人と相続人の国籍や納税義務の区分によって対象となるか否かが決まります。

国外財産調書制度とは

5,000万円を超える財産を海外に保有している場合には、その財産の種類や価額などの必要な事項を税務署に提出しなければいけません。この書類を「国外財産調書」といいます。

国外財産調書は適正な納税の申告を促すために作られたもので、相続時に過少申告を指摘された場合にこの書類を出していた場合は過少申告加算税が5%軽減される措置があります。逆に出していなかった場合は5%の上乗せがあります。

さらに、正当な理由なくこの書類を提出していなかった場合には罰則も規定されており、
1年以下の懲役又は50万円以下の罰金となってしまいます。

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国際相続とは。必要な手続きや覚えておくべき基礎知識を解説のまとめ

海外に財産を持っている理由は資産運用のためや生活のためという場合もありますが、相続税を逃れるためという場合も多く、税逃れをさせないための対策も取られています。

国際相続となった場合には専門家へ相談し、適切な方法で手続きを行うことにより申告漏れによる加算税も防ぐことができるでしょう。

また、現在海外に5,000万円以上の財産を保有している方も専門家に相談して国外財産調書の提出を検討されてみてはいかがでしょうか。

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