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2017/07/17

オーストリアの中小企業を大事にする産業とGDP及び経済状況

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オーストリアの経済について

オーストリア、と言われると、あまり馴染のない方も多いのではないでしょうか。確かに、隣国にはドイツやフランス、イタリアと、欧州の観光地が多く存在し、日本人は、豪州と奥州を聞き間違える方も多いそうです。

言い方は酷いですが、ちょっとヨーロッパの国の中では、日本人にとっては地味な方かもしれません。しかし、このオーストリアには、日本の経済を見直す重要なヒントがありました。オーストリアの経済について、紹介しましょう。

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オーストリアの経済の基本データ

オーストリア経済の主要産業

オーストリアの主要産業は、実は「コレだ」というモノが存在しません。

食品・嗜好品産業や、機械製造、鉄骨建築、化学・自動車産業、電気・電子産業、木材産業・製紙業と、様々な分野の工業が、国内で手広く行われているからです。輸出品の大部分が、上記の産業部門に由来しています。国内各地で分業が行われているのも特徴です。

他にも、ヨーロッパの地理的な中心地でもあり、多くの鉄道が通る立地から、観光業が盛んになっています。

2016年にはオーストリアをおよそ2,810万人の外国人観光客が訪れ、1泊の滞在が約1億280万泊(総宿泊数の3/4)、総数では1億4,080万の宿泊がありました。中でも、隣国であるドイツや、オランダからの観光客数は多いようです。

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オーストリアのGDP

国民総所得は、2012年に3,173.80 億ユーロを記録し、その後も徐々に増え続けています。2015 年の段階で、3,349.80 億ユーロを記録しています。これは、世界210カ国中の25位の経済規模です。

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また国民一人当たりのGDPも2015 年には、39,110 ユーロと、世界10位に位置しています。EUに絞るならば、イギリスに次ぐ8番目であり、実は、ドイツやフランス、イタリアよりも、一人当たりの経済は優秀なのです。

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オーストリアの産業の特徴

オーストリアの産業の特徴の一つに、大企業が少ないということが挙げられます。オーストリア経済のメインは、中小企業であり、そして、地方なのです。

産業にも影響する、オーストリア人の特性

中世より永らく、ドイツやハンガリー、トルコといった強国、そして、自国も神聖ローマ帝国の一端を担って、戦争を続けてきた影響か、実は、オーストリア人という概念は、相当に新しいもののようです。

オーストリアのジャーナリスト、ヘルムート・アンディクスは「領地はたくさんある。人口もたくさんある。しかし、オーストリア民族はいない」と自国について、称しています。

そのため、オーストリア人は自分のルーツを知ることが好きなようです。結果として、生まれた場所でずっと生活することにこだわります。仕事も生れた場所で見つけ、結婚相手も近隣から選び、とにかく地域を離れません。

地域に根付く国民性が、産業にどう影響するか?

オーストリアの人口は、2017 年 1 月 1 日現在で、8.773.686人です。平均的な人口密度が 1km² あたり 104 人となっています。900万人弱となれば、相当な仕事の数が必要となりますが、都市への集中は、日本ほどではありません。

結果的に、このことが大企業よりも中小企業を経済のメインにしてきます。様々な企業が、数多く存在し、そして、国内各地の地域に広がっているから、わざわざウィーンのような大都市にでなくても仕事が存在するのです。

オーストリアの経済を支える中小企業の技術力

中小企業というと、どうしても金銭的、人的資本が不足する印象があるかと思います。しかし、オーストリアの中小企業は、それぞれの企業が、各分野のスペシャリストで、世界市場でも強い競争力を持っているそうです。

政府が主導して実施している、マイスター制度に基づく、充実した職業訓練校やプログラムが、この競争力を生み出しています。職業訓練を行っているのは、オーストリア政府だけではなく、実際に人を雇う企業も行っています。

それも、大学を出てからではなく、高等教育に進む15歳から。早い段階から子どもたちに経験する機会を与えて、技術訓練を行っていることが、オーストリアの中小企業の技術力を支えています。

事実、オーストリアでは、職業訓練学校を卒業した人はプロフェッショナルとして、技術力をもっているので、給料も高くなります。大学を出ただけのディプロマよりも、職業訓練校の卒業資格が役に立っていることが、その証左ではないでしょうか。

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オーストリアの産業が抱える課題とは?

一見すると、中小企業が盛んに動いているオーストリアの経済は、問題がないように見えます。日本がどこか軽視しがちな地方産業の育成や、技術者の育成というのを、オーストリアは盛んに行っています。この点は、大いに見習うべきポイントです。

しかし、実際の所、2012年以降のGDP成長率は、0.7%と、国家破綻したギリシャと、その影響を受けたフィンランドが下回るのみです。確かに、裕福そうに見えるオーストリアですが、抱えている問題は根が深そうです。

オーストリアは国内需要が少ない

先に掲載した通り、オーストリアの人口は、900万人弱です。東京都の人口が1200万人と言われていますから、それよりも少ない需要しか、国内には存在しません。

結果として、何を開発するにしても、何を生産するにしても、最終的には海外への輸出を視野に入れて計画する必要があり、どうしても、隣国のドイツやハンガリーなどを見て、グローバルマインドにならざるをえません。

確かに、世界基準で行動できるというのは、貴ぶべきことなのかもしれませんが、裏を返すと、オーストリア独自のモノが生まれにくい、イコール、オーストリアならでは、のモノが生まれないということでもあります。この点は、観光には痛手です。

見どころのある街は、ウィーンを始め、オーストリアにはたくさんあります。しかし、見るだけ、食事をするだけ、では、収益は増えません。何故、京都やニューヨークが観光地として、収益があるのかと聞かれたら、「帰ってからも感じられる」土産があるからです。

オーストリアは移民を受け入れにくい

最近、盛んに議論されている移民問題ですが、移民に期待されるのは、人口増による需要の増大と、労働者の確保です。しかしながら、このような経済構成を考えると、オーストリアは移民を受け入れにくい土壌であるといえるでしょう。

オーストリアの経済を支えているのは、移民を使い捨てにできる大企業ではなく、地元民を大切にする国内の中小企業、そして、それに属している職人の技術力です。特に、この技術力は、子供のころから培われているモノです。

それを、昨日今日来た移民が身に付けているかと聞かれたら、明確にNOでしょう。移民を受け入れても、技術がないから雇えない。雇えないから、浮浪者になる、結果、国民の負担だけが増大するという悪循環に陥りかねません。

オーストリアは技術を重視しすぎた

確かに、中小企業の技術力は素晴らしいものです。それに対して、一定の評価が下される機能がないからこそ、日本の中小企業は苦しい思いをし、正しく支援してくれるから、オーストリアの中小企業は元気なのです。

しかし、オーストリアでは、技術以外のいわゆる研究やマーケティングが疎かにされてきた背景が見えます。実は、1998年時点で、ロシアとウクライナを含む中東欧の人の16%が学位を持っていたのに対し、オーストリアでは7%に過ぎませんでした。

つまり、技術の精錬や習得にこだわり過ぎるあまり、例えば、素材そのものを変えてみたり、売れるモノは何かという研究をしたりしてきませんでした。技術を後継へ伝えることはあっても、それを収益に変える事をしてこなかったということです。

オーストリアの企業が東欧に投資した際に移転したのは熟練の製造業の仕事だけではありません。価値ある研究を生み出す研究活動の移転が、オーストリアの低成長を齎してしまったのです。

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オーストリアの中小企業を大事にする産業とGDP及び経済状況のまとめ

オーストリア経済を支える中小企業への投資というのは、確かに、技術の進歩を軽んじていた日本が猛省しなければならない点です。企業がドンドン東京に進出するから、国内が一律で発展せず、過疎化・過密化を齎してしまっているのです。

この中小企業への就職を薦める地元回帰の政策を、日本も打ち出すべきです。そのためには、技術立国らしく、オーストリアに習って、正しく技術を評価し、正当な値段を付けることです。

但し、日本とオーストリアで大いに異なるのは、日本は国内需要が1億2000万人分あるということです。世界に目を向けると同時に、国内にも目を配った中小企業の活躍を支援してもらいたいものです。

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