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2017/07/26

格差社会とは?日本や海外の格差社会の現状や問題の原因、対策を解説

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目次

格差社会とは

格差社会とは、社会の構成員が、ある基準をもとに断絶され、階層ごとに分断された社会のことを指します。

格差社会とは、その人が得ている所得などの収入や、所有する資産により、人々の間にヒエラルキー(序列)が生まれることをさします。また、そのヒエラルキーが固定してしまったあとは容易に別の階層にうつりかわることができない社会のことを格差社会と呼びます。

現在の日本において問題になっている格差社会とは、収入や資産の差による経済的な格差と、世代間をめぐる格差、男女間の性差のよる格差があります。また、居住する地域による格差についてさす事が多いです。

格差社会では、低賃金で働く貧困層と、高収入を得て多額の資産をもつ富裕層の両極化が広がり、その格差が固定化されてしまいます。このことが深刻な問題を生み出しているとされ、さまざまなところで話題になっています。

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海外の格差社会

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海外の格差社会の現状はどのようになっているのでしょうか?

OECDの2011年の報告(「Divided we Stand」)によると、OECD諸国の経済格差は1978年から2008年までの30年間のあいだに拡大しつづけています。そしてその格差は、2011年時点では今までで最高になっているということです。

OECDとは、ヨーロッパ諸国を中心に日米を含む35カ国の先進国が加盟する国際機関ことです。世界経済危機が多くの国の国民の所得や資本を圧迫したため、2007年から2011年末までの間に格差が広がりました。海外でも格差社会化が進みつつあります。

これをうけ、その後税制優遇制度を導入したため格差社会拡大の影響は抑制できましたが、社会的弱者が深刻なダメージを受けるリスクが高まっています。その結果、アイスランド、エストニア、ギリシャ、アイルランド、スペインでは失業者が増えました。

ジニ係数(全員の所得が同じなら0、1人が所得を独り占めすれば1という係数)を見てみると、この経済危機の後OECD諸国の平均市場所得の格差は1.3ポイントも拡大しました。

格差が拡大した国々は、平均市場所得が大きく下落した、スペイン、ハンガリー、アイルランド、日本、エストニア、ギリシャなどです。これらの国々では格差社会が問題になっています。逆にオランダやポーランドでは格差は縮小しています。

先進国の一部の国々をのぞき、世界中で経済格差が広がっているのが現在の状況です。

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日本は格差社会か

日本は本当に格差社会なのでしょうか?

日本は「相対的貧困率」が高い国と言われています。相対的貧困率とは、なんでしょうか?

貧困率には、絶対的貧困率と、相対的貧困率があります。絶対的貧困率というのは、貧困のために、その日食べるものにも事欠き、生きるのに必要なものを買うこともできない人たちの事を指します。

発展途上国には、その日の生活もままならないような人たちがいます。日本の格差社会とは、そのようなものではありません。

相対的貧困率というのは、国や社会全体の構成員の中で比較したときに、収入や資産が少ない人たちの割合をさします。生活に事欠くことはなくても、富裕層とくらべれば所得や資産が少ないという比較の結果、貧困とされている人たちの割合ともいえます。

日本の格差社会とは、後者の、相対的貧困率が高い国である言うことなのです。日本は格差社会とは言われていても、基本的な生活が出来ないほどの貧困な人はそれほどいません。相対的貧困は生きるには困らないのですが、相対的貧困は精神的にダメージを与えます。

欲しいものを何でも手に入れることの出来る裕福な人の暮らしを見ることで、自分の生活や自分の存在を惨めに感じることもあるでしょう。また、格差社会のなかでは、一度貧困に陥ってしまえば、その後、どんなにがんばっても裕福になることが出来ず、状況は改善されません。そうすれば人はやる気を失うでしょう。

生活に困ることは無かったとしても、「がんばったら報われる」と思わせてくれるような社会でなければ、働く意欲がなくなってしまいます。

格差社会とは、報われない人々の人々の意欲をそぐ社会でもあるのです。

日本の社会格差は徐々に小さくなっている

平成29年度 年次経済財政報告によると、2000年以降、非正規社員の雇用が増え若者たちの間での所得格差の拡大しつつありました。しかし近頃の景気回復により非正規社員の賃金も上昇し、格差は是正されつつあるとされています。

また、2009年以降は雇用環境の改善が進んだことで相対的貧困率は低下しています。一人親世帯(片親の家庭)の貧困率も2009年から2014年にかけて大幅に下がっています。特に、仕事をもつ世帯の相対的貧困者の割合は1999年には6割弱でしたが、2014年には4割強と、下がっています。

その反面、高齢者が増えることにより高齢者世帯の貧困率が上昇しており、このような世帯が全体の貧困率を引き上げています。しかし、格差社会が大きな社会問題になった2006年頃に比べると、2017年現在では格差は徐々に是正されつつあるようです。

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日本の年収格差

現在の日本国内の年収格差はどのようになっているのでしょうか。

厚生労働省の平成21年(2009年)の調査によると、平均所得は547万5千円で、所得が平均を下回るものの割合は61.3%でした。200~300万円未満が13.9%と全体の中で一番多く、ついで300~400万円未満が13.3%と二番目に多い層でした。次に多いのが年収100-200万円未満の層です。

年収1000万円以上の高所得者は全体の12.4%で全体のわずか1割強です。

このデータを見ると、現在の日本は平均以下の所得の人が全体の半数以上を占めています。また、平均所得金額以下の世帯の中で、500万円未満は全体の56.6%を占めています。平成11年には平均所得は626万円でしたが、平成20年には平均所得は547.5万円と78.5万円減少しています。

日本人全体の平均所得は徐々に減少傾向にあり、その結果、一部の富裕層との年収の格差が拡大しているという結果になっています。

格差社会とは、このように年収に差がある社会です。しかし、いつの世も貧乏人と金持ちがおり、格差社会は今にはじまったわけではないという意見もあります。

低い非正規雇用・パートの年収

また、平成28年に厚生労働省から発表された「平成28年国民生活基礎調査」によると、2015年の時点で、会社・団体等の職員の平均年収が437.2万円です。正規雇用の職員・従業員の平均年収が302.5万円、非正規の職員・従業員の平均年収が125.8万円、パート・アルバイトの平均年収が125万円です。

平成28年国民生活基礎調査によると、パート・アルバイトの平均年収が125万円なのに対して、正規雇用の職員・従業員の平均年収は302.5万円と2倍以上であることがわかります。それでも、正規雇用の職員・従業員の平均年収は302.5万円は全体の平均を下回っているのです。

これらのことから、現在の日本では非正規雇用やパートの人たちが低賃金で働いており高所得の人たちはごくわずかです。このことから、日本社会が格差社会であることがわかります。

内閣府によると、格差社会は徐々に是正されているということですので2017年以降、格差が是正されていくことを期待します。

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格差社会の原因

日本が格差社会になってしまった原因にはどのようなものがあるのでしょうか?

非正規雇用が増えたことがその原因の一つと考えられます。長引く不況の中、企業は人件費削減を余儀なくされました。その結果、派遣社員など身分で労働に低賃金で従事する非正規雇用者が増加しました。また、パート・アルバイトに従事するものも増えました。

このような低所得な労働者が増えたことで、多くの人の平均年収が下がったことが、格差社会の大きな要因と考えられています。

また、年金だけで生活している高齢者の世帯の年収は低いものです。「下流老人」という言葉も世に出回っています。格差社会とは、世代間格差のある社会のこともさすのです。老人の孤独死の問題も、マスコミで取り上げられるようになりました。

結婚・出産後離婚をした女性が子育てをしながらパートや非正規雇用の仕事で生活している場合があります。こういった女性たちは、パート・アルバイト・派遣社員などの非正規雇用の仕事に従事している場合が多いです。格差社会とは、男女間の格差のある社会でもあるのです。

貧困の連鎖が生み出す格差社会

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経済的な格差社会を生みだす原因の一つに、貧困の連鎖があげられます。

日本は義務教育があります。しかし裕福な家庭では子どもがさらに上位の学校に進学するために、義務教育以外の時間にも学習塾に通わせたり、家庭教師をつけることが出来ます。教育に投資してもらった子ども達は、上位の学校を卒業することができます。

上位の学校を卒業した子ども達は良い企業に勤めることができ、その結果、大人になったときには、高い収入を得ることができるようになります。その子たちは、そのまた子どもたちにも、教育という投資を行うでしょう。格差社会とはこのように、富裕層の子孫はさらに裕福になる社会でもあります。

しかし、貧困の家庭に育った子ども達は事情が違います。親が貧しければ、塾に通うお金がありません。家庭教師もつけてもらえません。なかには、学校の給食費すら払うお金がない子ども達もいます。貧しい家庭の子ども達の中には、本来は勉強をしなければいけない学生のころから、アルバイトに明け暮れる子ども達もいるのです。

その結果、上位の学校に進学することが難しくなり、親と同じように低賃金の仕事につくことになります。格差社会の中ではいったん貧しい身分になってしまったものは、その子孫までも貧困から抜け出せられないという問題を持っています。

格差社会とは、このようにして、いったん決定してしまった経済的・社会的な立場が世代を超えて連鎖してしまうことからも生まれていくものなのです。

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格差社会への対策

格差社会とは悪いもののように考えられがちです。しかし、がんばったものがそうでないものよりも多くの所得をもらい豊かな生活をおくることは、けして悪いことではありません。

がんばったものが金持ちになり、そうでないものはそこそこの暮らしをする、と言う意味では、格差社会とは全くの悪ではありません。むしろ、そのような差がなければ、がんばって働く意欲もわかなくなるでしょう。格差社会になることは、ある程度は、しかたないものであることは確かなのです。

問題は、貧富の差によって階級が固定してしまうことや、貧困に陥った人を救うセイフティーネットが充分ではないこと、所得の格差が固定してしまうことです。

格差社会とは貧富の差により階級が固定されてしまう社会ですから、貧しいものが努力して這い上がるチャンスが与えられなくなります。親の貧富に関わらず、やる気や資質のあるものには教育を受ける機会が与えられ、社会に貢献できるシステムを整えなければいけません。そのために現在では、高校授業料無償化などの制度が設けられています。

また、貧困に陥った人たちを救うセイフティーネットも必要です。現在も生活保護などの制度はありますが、うまく活用されず亡くなってしまう方がいます。そのような制度があることを周知することも必要になるでしょう。

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格差社会と階級社会の違い

階級社会とは、社会の構成員が階級にわかれ、階級間に、王と奴隷のような支配と服従がある社会のことをさします。イギリスの王室、インドのカースト制度がその代表的なものです。

階級社会には、待遇の差や特権、社会的な差別があります。階級に生まれたものは、うまれながらにしてその階級であると考えられる社会です。日本にも江戸時代までは士農工商という階級制度がありましたが、現在でも天皇やエタ・ヒニンなどの被差別の問題など、まだまだ階級社会の名残はのこっています。

格差社会とは、収入や財産などによって、人々の間に序列が生まれる社会のことを指します。格差社会とは生まれもった階級ではなく、本人の収入や財産によってヒエラルキーがきまる社会です。

階級社会は、その人の出自によってその人の身分がきまってしまうものですが、格差社会は本人の努力や運のよさによって、身分が変わることもあるのです。階級社会と格差社会とは似ていますが、違うものです。

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海外の階級社会

海外にも階級社会が残っている国があります。

イギリスには3つの階級が存在します。

ひとつは、アッパークラスと言われるいわゆる上流の人たちです。資産家や王室のもの、貴族などです。

2つ目は、ホワイトカラーといわれる、いわゆる中流階級と言われる人たちです。大学に進学するのは、ホワイトカラー以上の階級の人たちです。

3つ目は、ブルーカラーと言われる人たちです。労働者階級の人たちを指します。ブルーカラーのほとんどは大学にいかず、義務教育を卒業後すぐに働き始めます。

イギリスではこのように階級は大きく3つにわかれます。どの階級に属するかは、話し方によってわかるそうです。たとえ、お金があっても有名人になっても、階級は変わりません。話し方や、生活の仕方、考え方が階級によって違うのです。

格差社会とはちがい、階級社会ではその人の身分は生まれつき固定されたものなのです。

格差社会とはその人の稼ぎや財産などの結果を重視しますが、階級社会は生まれついた環境を重視するのです。階級社会と格差社会とはどちらもヒエラルキーがあることにはかわりありませんが、階級社会と格差社会ではヒエラルキーの生まれる理由が違っているのです。

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日本は階級社会か

では、日本は階級社会なのでしょうか?

もしも日本の社会が、親の学歴や経済力や出身地によってその人の人生が決まってしまうような社会であれば、日本は階級社会である、といえるでしょう。格差社会とは、経済的な格差によってその人のヒエラルキーが確定してしまう社会であり、階級社会に良く似ています。

しかし、現状ではまだ階級社会といえるほど、格差が固定化されているとはいえないでしょう。

格差をなくそうとした戦後の義務教育

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戦後間もない日本の政府は、本人の出自や親の経済力の有無によって、その人の将来が決定されるべきではないと考えました。日本国憲法に平等がうたわれているからです。

優秀な人物はたとえ貧しい家庭の出身であっても立身出世できるような義務教育のしくみを整えることで、そのような人たちが国の財産にもなると考えました。そこで誰もが平等に教育を受けられる、義務教育という仕組みが整えれました。当時の日本はまだ格差社会とはいえませんでした。

しかし今の日本はどうでしょうか?貧しい家庭に生まれた子どものなかには、学費や給食費が払えず、高校生の頃からアルバイトに明け暮れているこどもがいます。このような子ども達は、本来であれば学業に専念すべき時期に、貧困のため働かねばいけないのです。

中には高校にもいかず、中卒で働かざるを得ない子ども達もいます。中卒で仕事を始め、その後、職業訓練もされないとなれば、その人たちの社会的地位は低いまま、賃金も低いままで、固定されてしまうでしょう。

格差社会とは、階級社会のように生まれた環境によってその人の人生が決まってしまう可能性をはらんでいるのです。このような現状に対して何の対策も採られないままであれば、日本もいずれは階級社会になる可能性があると懸念する声もあがっています。

<下に続く>

格差社会とは?日本や海外の格差社会の現状や問題の原因、対策を解説のまとめ

格差社会とは収入や資産の差によってヒエラルキーが生じ、そのヒエラルキーが固定してしまう社会をさします。日本は格差が開きつつあり、やがては階級社会になる可能性もあるでしょう。そうならないためにも、なんらかの対策が必要になるでしょう。

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