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2017/03/15

債務不履行の時効ってどうなる?時効の種類や効果まで一から解説

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目次

法律トラブルのうち、その多くは、債務不履行に関係があることが非常に多いです。
今回は法律トラブルの中でよく起こる債務不履行という事象と、それに関連する時効の問題について焦点をあててみようと思います。

時効の種類とは


「時効」には、取得時効・消滅時効・商事消滅時効の三つの種類あります。

取得時効

取得時効とは、本当ならば自分のものではない土地を、一定の時間の間、自分のものだと考えてもっていたときなどに(要件が認められなければなりませんが)、その人に問題となっている土地を所有することを認める、というものです。

また、取得時効が認められるのはこのような不動産だけではありません。
友人から譲ってもらった(と信じていた)ものについて、何十年もの間、ずっともち続けていたときには、取得時効が認められる場合があります。

このように、自分のものだと考えて持っていた、という事実状態が、長期間続くことに対して、これを尊重しようというのがこの制度です。

取得時効が認められるための基本的な要件

取得時効の完成が認められるためには、一定の事実がつづいていなければいけません。
時効の完成までの期間について違いがあることに注意してください。

取得時効の具体例

取得時効は、所有権だけではなく、所有権以外の財産権について認められます。
一番イメージを掴みやすいのは、本当は自分のものではないものでも、長い間もっていることで、これを自分のものとする、というものです。
それだけではなく、例えば、楽曲の著作権などについても、本当は権利をもっていない人でも、取得時効を利用することで、これを獲得することができることになります。

消滅時効


消滅時効とは、権利がそのままほったらかされているという状態がしばらく続いたときに、その権利がなくなること認める制度です。

例えば、AがBに対して物を売ったけれども、うっかりしていて代金をもらい忘れていたとしましょう。
それがしばらくつづいたときに、AはBにお金を払ってくれとは言えなくなってしまう、というような場合です。

消滅時効が認められるための基本的な要件

消滅時効は、権利を行使することができる時から進行するとされています。

消滅時効はいつから権利を行使できるのか?

これはどのような時なのでしょうか。考え方が分かれています。
つまり、権利をつかえることに対する法的障害がなくなった時と考えるのか、それ以上に、現実的に権利を使うことが期待できる時と考えるのか、という点です。

商事消滅時効

商法の時効は、原則として5年の消滅時効にかかるとされています。
民法に比べて、期間が短いのは、商事取引という性質から、一般の人の取引よりも早く法律関係を決めてしまわなければいけないからだと説明されます。

当事者の一方が商人であれば、他方が商人ではなかったとしても、商法の適用を受けることになります。
インターネットで物を買った時も、売った人も買った人も商人ではないのか、売った人がインターネット売買を仕事にしているのか、売った人がそもそも株式会社なのかによって、かわってくるので注意すべきです。

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時効の期間について


取得時効がいつからはじまるのかということについては、そのものの占有をはじめたときだと考えるのが一般的です。
消滅時効がはじまるときは、その権利を使うことができる時からだと考えられています。

以下に、時効の期間について、今の民法で定められているものを簡単にまとめておきます。
改正民法案については法務省のHPで確認することをおすすめします。

長期取得時効(162条1項)20年
短期取得時効(162条2項)10年
一般の債権に関する消滅時効(167条1項)10年
商事債権に関する消滅時効(商法522条)5年
債権・所有権以外の消滅時効(民法167条2項)20年
168条~174条の2までに規定される消滅時効に関する特則

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時効の中断とは


時効の中断とは、時効の期間がつづいているときに、それを否定するような出来事がおこったときに、それまで経過した期間を全く無意味にすることを言います。
今まですぎた期間はなかったことになり、再び最初から期間がスタートすることになります。

中断事由について

承認とは、時効で得をする人が、時効によって損をする人に、このままでは自分が得をしてしまうことを認めることです。債務があるのを当たり前と考えたような行動があるときには、承認があったと考えられます。

例えば、利息のお金を払ったときには、元本があるから利息を払ったと考えられるので、元本について、時効が中断することになります。
請求とは、ものを渡してくれと求めるのではなく、正式な手続きで行わなければいけません。

民法改正との関係での注意点

民法が改正すると、名称がかわります。注意して下さい。

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時効の適用方法

時効が完成したときでも、その利益を受けるかどうかは、その人が自分の意思できめるべきでしょう。押しつけることは迷惑でもあります。そして、その利益を受けると決めることが援用です。

民法では、時効が完成すると権利を取得したり消滅したりするとされていますが、当事者がこれを援用しないと認められません。
本来であれば、時効に権利者ではない者が権利を取得したり、義務者の義務がなくなるということは道徳に反するはずです。

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時効の効果

注意しなければならないのは、時効の完成が認められた時から時効の効果がうまれるのではないということです。
時効は、それまでに継続していた状態を尊重して、その事実を真実と扱うことを目的とした制度だからです。

時効の具体例

例えば、Aが売主、Bが買主で、ものを売ることにした場合を考えましょう。
このとき、約束はしたけれども、ものを引き渡すことも、代金を支払うことも行われないまま、10年以上の期間が経過したとしましょう。本来なら、売る約束をした時に所有権は移転しますので、ABはそれぞれ債権を獲得しているはずです。

しかし、AB間で約束してから10年以上がすぎてしまったことによって、それぞれの債務は消滅時効にかかえることになります。
したがって、AのBに対する代金を支払ってくれという権利はなくなってしまい、同じく、BのAに対するものを渡してくれという権利もなくなることになります。

また、AがBに対して、代金が支払われないということからうまれた損害を請求することもできなくなります。

あるいは、AがBに対してものを渡していたのに、BがAにお金を払わないまま時間がだいぶたってしまった時はどうでしょうか。
このときは、AのBに対するお金を払ってくれという権利はなくなってしまい、AはBからお金を払ってもらうことはできません。だからといって、ものをわたしてもらったBがAにそのものをかえす必要はありません。

これは、AはもともとものをBに渡さなければいけなかったのだから、それを行っただけです。
だから、Bがものをもっていることは正しいことなのです。

このような出来事を不公平なことと考えてはいけません長い間、AはBにお金を払ってくれと言わなかったのですから、Aが損をするのは、むしろ仕方のないことだと考えるのです。
これが時効です。

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債務不履行の種類


伝統的な学説等によって分析された債務不履行には以下の三つがあるとされています。
すなわち、①「履行期に履行がない」という意味における履行遅滞、②「履行するのが不可能」という意味における履行不能、③「一応は履行らしいことがされたがそれは不完全なものであった」という意味における「不完全履行」の三種類です。

いわゆる三分体系と称されるものです。

このような債務不履行に陥った場合、債務不履行責任を負うことになります。
一番わかりやすいのが損害賠償責任でしょう。約束を守れなかった場合に、その責任を負う、という程度のイメージを持てればよいです。

もっとも、債務不履行責任を実際に負担するには、帰責性等の他の要件を充足する必要がある点については注意が必要です。

①履行遅滞

例えば、返済日を約束したにもかかわらず、当該日時を超えても金銭を返すことが出来ていない場合に、履行遅滞に陥っているとされます。履行遅滞は債務不履行の原因の一つであることから、この場合には、債務不履行責任を負担することになります。

履行遅滞について、民法典ではその履行期の関係で412条に規定があるだけです。
すなわち、契約において確定的な期限を定めていた場合(同条1項)には、当該期限が到来した時に履行をしていなければ履行遅滞となります。

不確定な期限を定めていた場合(同条2項)には、債務者がその期限の到来を知ったときから履行遅滞の責任を負います。また、期限を定めていない場合(3項)には、債権者から履行の請求を受けた時から履行遅滞の責任を負います。

なお、民法上は履行遅滞について債務者の帰責性が要求されていないように思われますが、履行遅滞が債務不履行の一形態であることから、これについても帰責性を要求するのが一般的な考え方です。

もっとも、金銭債務に関しては民法419条3項に特則があって、履行不能について不可抗力をもってしてもそれを理由として債務不履行責任を免れることはできないとされています。

②履行不能


履行不能とは、例えば、売買契約を締結したにもかかわらず、当該目的物が滅失してしまい目的物を引き渡すことができなくなった場合のように、履行が不可能となってしまった場合のことを言います。

ただ、これについては注意が必要で、例えば、債務者が金銭債務を負担している場合に、債務者の資力では当該債務を履行することは現実的には厳しいというような事情では履行不能とは評価されません。

あくまでも、社会通念上履行不能であるとの法的評価を加えたうえでの判断がなされるということです。
これによって、債権者は債務者に対して、完全な履行を請求することはできなくなります。
損害賠償請求、あるいは、契約の解除という手段をとるより他ありません。

③不完全履行

不完全履行のイメージ

一応履行がされたが、その履行が完璧ではなかった場合です。
パソコンを購入したが動作に不具合がある商品が引き渡された場合などがこれに該当します。

瑕疵担保責任への付言

厳密には債務不履行責任ではないと考えるのが一般的ですが(瑕疵担保責任を債務不履行責任の特則であると理解する見解もかなり有力です)、不完全履行との関係で問題になりうるものに瑕疵担保責任というものがあります。

瑕疵担保責任とは、債務不履行責任と違って、契約目的物に関して原始的な瑕疵が存在した場合に、売主に対して特別の責任を負担させるというものです。

この場合には、消滅時効に関して一般の債務に関する消滅時効10年とは異なり1年である等の特則が用意されていたり、賠償責任の範囲にも違いがあるので注意が必要です。

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不法行為責任とは


約束を守ることができなくなってしまったときには、損害がでてしまった分の賠償をしなければならないことがあります。

これと似たものとして、不法行為の場合にも、損害がでてしまった分を支払わなければならないことがあります。
一番イメージしやすいのは交通事故の事例でしょう。

例えば、自動車の運転を誤ってしまったせいで、他の人の家の塀に傷を付けてしまったとしましょう。
このときは、自動車の運転を誤ったという不法行為をしてしまったせいで、相手方の壁の修繕費などを支払うことになるでしょう。
これが不法行為に基づく損害賠償です。

また、飼っている犬が、散歩中に遊んでいた小学生に嚙みついて怪我をさせてしまった時にも、同じように問題となるのが不法行為です。
身体に怪我をさせたこと、服を破いてしまったこと、ややもすれば慰謝料などに対して、責任が生まれます。

他にも、空港の近くに住んでいる人が、飛行機の音があまりに大きいという理由で航空会社や行政機関を訴えることができます。ここでも不法行為が登場するのです。このように、不法行為もさまざまな形で登場するのです。

債務不履行の場合には、登場人物は「契約当事者」という特別な関係にあることが前提とされますが、不法行為の場合には、当事者間に契約関係のような特別な関係はなく、突如として不法行為を楔とした関係に組み込まれることになります。
このように、関係者の関係性に大きな違いがあるのです。

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不法行為責任の対処法について


相手が約束を守ってくれないとき、①強制履行で完全な履行を求める(履行不能の場合にはこれは認められない)、②契約を解除して自らも債務から解放される(原状回復の必要がある時はこれを行う)、③債務不履行によって損害が発生している場合には損害賠償請求を行う、という方策が考えられます。

債権者の気持ちになればイメージしやすいのではないでしょうか。
相手がお金を払ってくれないシチュエーションで、まずはじめに思うのは、「約束したんだから、お金を払えよ」ということではありませんか。

そして、それがかなわないとわかったときは、「お金をはらわないのなら、最初から今回の話はなかったことにしよう」ということでしょう。最後には、「なかったことにするけど、こっちだって色々準備して費用がかかってるんだから、それは弁償しろよ」ということでしょう。

これらが、それぞれに綺麗に対応することになります。

履行強制

契約をすることで、法的にその契約の内容が尊重されることになります。したがって、その履行が完遂されることを法は承認していると考えられますので、債務者が任意に債務を履行しない場合には、債務内容が強制的に実現されることになります。「約束通りにやってくれよ」という感情に対応する部分ですね。

もっとも、どのような債務であったとしても履行が強制されるとしては人道的な観点から問題がある場合もあるでしょうし、そもそも強制的な履行が債務の性質になじまない場合もあるでしょう。
そこで、法は、履行の強制方法として以下の三つを規定するとともに、債務の性質に応じて、採り得る手段を区別しています。

対処法①:直接強制

直接強制とは、執行機関が直接に債権内容を実現させるものです。
これは物の引渡すという債務と金銭を支払うという債務についてのみ認められます。
対して、代替的な作為債務と不作為の債務に関しては、これは認められていません(414条但し書き)。

対処法②:代替執行

代替執行とは、債務者以外の人でも実現することができるときに、その人にかわりに実現してもらって、あとから費用だけを債務者に支払わせるという方法です。直接強制ができない代替的な作為債務と不作為の債務(414条2項・3項)について認められています。

例えば、債務者に建物を収去しなければいけないという義務があるにもかかわらず、これを履行しない場合において、裁判所の許可を得た上で、他の業者にこれを履行してもらい、費用を債務者に請求するというようなものです。

対処法③:間接強制


間接強制とは、履行がされるまで、債務者に一定額の金銭の支払いを命じて、これによって債務者を威嚇することによって、債権内容を実現させる強制執行の方法を言います(172条、173条1項)。

金銭を支払う債務以外の債務全てについて、この方法を選ぶことができますが、債務者の自由意思を抑圧して履行を強制することが人格権との関係で問題が生まれる場合にはこれが許されない場合があります。

具体的には、夫婦が同居しなければいけないという義務や雇用についての契約から発生する義務を履行することに関して、間接強制によることはできないと考えられています。

契約解除

相手方が債務不履行に陥っているとしても、契約関係はいつまでも存続し、債権者もこれにしばられることになってしまいます。

これが心理的負担になるだけでなく、例えば債務の履行を受ける準備を債権者がする必要がある場合などには、このような物理的な負担を債権者は負担し続けることになって適切ではありません。
「お金を払ってくれないんだったら、もうお前とはなかったことにしたいんだ」という感情に対応する部分となります。

このような負担から解放されるために、契約の解除という制度が認められています(540条以下)。
これによって、契約ははじめからなかったことになり(契約の遡及効)、当事者は原状に回復する義務を負担することになります(545条)。
また、これ以外に、債権者に損害が発生している場合には、別途損害賠償請求をすることができます。

損害賠償請求

相手が約束を守ってくれないことで損害が生まれてしまったときに、この損害を相手に求めることを損害賠償請求といいます。

完全に履行してもらうことがもはやかなわないときに、金銭を払ってもらうことで妥協するわけです。相手方の帰責性等、一定の要件を充足する場合に認められます。
本当なら、約束を守ってもらえるのが理想です。

しかし、現実ではそううまくいかないこともたくさんあります。
そのようなときに、何もしないのでは、約束を破った側が得をするだけです。法律は、そのような不公平な事態は認めていません。

<下に続く>

債務不履行の時効ってどうなる?時効の種類や効果まで一から解説 まとめ


いかがでしたか。
私たちの生活には、たくさんの契約関係が、色々な形でありふれています。
その帰結として、対処法というものもとても複雑ですし、また、たくさん考えられるのです。

特に、時効については、自分の権利がなくなってしまうこともあるのです。
したがって、日常生活の中で、少しでも不安要素を抱えていらっしゃる方は、是非できるだけはやく、に法律家の助言を求めることをおすすめします。
時効というものは、一度完成してしまうと、あとから争うことがとても難しいことです。完成まで、という期限の中で、できるだけ迅速な対応が必要な法律の分野です。

最近の弁護士事務所などでは、最初の三十分無料相談サービスなどを行っているところが多いですし、また、法テラスなどのサービスを利用してもよいかもしれません。法律事務所は少し敷居が高いように感じてしまうかもしれませんが、法律問題の解決よりも重視しなければいけないことではないとも思います。是非、ご相談を。

<下に続く>

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