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2017/03/17

金利以外にもコストがかかる?住宅ローンの融資手数料の計算方法や基礎知識

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目次

住宅ローンでかかる融資手数料とは

住宅ローンの借入先を選ぶ際、皆さんはどのような点に着目して金融機関を選択しますか。
住宅ローンを借り入れられる金融機関が出そろったら、金利タイプや金利水準など「金利」に着目して選ぶのではないでしょうか。

しかし、借り手が負担するのは金利だけではありません。
「保証料」や「手数料」なども借り手が負担する立派なコストなのです。

それらを含めたトータルコストを比較した上で借入先を決定すべきです。
そこで今回はそんな付帯コストの中から「融資手数料」に着目し、検討してみたいと思います。

<下に続く>

融資手数料とは

住宅ローンの融資を受ける際、金融機関に対して支払う手数料のことを融資手数料といいます。
「金利を負担しているのに手数料も支払うのっておかしくない?」と思われるかもしれません。

しかし、決しておかしなことではありません。私たちは何かを手に入れた時に「対価」を支払います。
住宅ローンという巨額の資金を融資してもらった(だから住宅が買えた)ことへの対価が「金利」です。

しかし、住宅ローンの融資を受ける時、私たちは同時に金融機関から別のサービスも受けています。
それが住宅ローンの審査です。

私たちが提出した審査書類を吟味し、借入の可否や、住宅ローンの限度額を設定したりします。
また、過去の借金で返済が滞ったり、返済しなかったりした経験がないか、本当に申請されている勤め先に勤務しているのかなどのチェックも行われます。
住宅ローンの融資にはこうした諸々の手間が必要であり、この手間に対する対価が融資手数料なのです。

「融資手数料を別に取らないで、金利として回収すればいいじゃない」と思われる方もいるかもしれません。
しかし、借入金額(円)が同じで、同じ金利水準(%)・金利タイプ(変動・固定)で借り入れても、支払う金利の額は人によって異なります。
それは返済期間が人によって異なるからです。

返済期間が長ければ長いほど、金利を支払う期間も伸び、金利の支払額は増えます。
一方、繰上返済によって返済期間を短縮すれば、金利の支払額も減ります。

融資手数料を金利で回収しようとすると、負担に不公平さが生じてしまいます。
そのため多くの金融機関は金利とは別に融資手数料を要求するのです。

融資手数料には2パターンの計算方法がある

どの金融機関で借り入れても、融資手数料は横並びで一律というわけではありません。
同じ人間が借り入れる住宅ローンであっても、金融機関によって借入金利に差があるように、融資手数料にも差が生じます。

どの金融機関で借り入れても、住宅ローンの審査にかかる手間が同じような気もするのですが、金融機関の方針ですので致し方ありません。
皆さんは融資手数料の負担額も含めて、借入先の金融機関を決定しなければならないのです。


融資手数料について調べ始めると、2パターンの計算方法があることに気付くはずです。
一つは「定額」で融資手数料を支払うというパターンです。
借入金額にかかわらず、金融機関が定めた一定の金額を金銭消費貸借契約(住宅ローン借入の契約)の締結時に支払います。

もう一つのパターンは「定率」で融資手数料を支払うというものです。
こちらの場合、金融機関が定める融資割合は「◎%」という一定割合で示されます。
計算のベースは借入金額です。すなわち、「借入金額×◎%」が融資手数料として、住宅ローンの契約を締結する際に請求されます。
そのため、借入金額が少なければ少ないほど、融資手数料の負担金額が減る仕組みになっています。

ここまでの説明を聞くと「借入金額が少なければ定率がお得で、借入金額が多ければ定額がお得」と考えてしまいがちですが、残念ながら選択はそれほど簡単なものではありません。
なぜなら融資手数料の計算方法と連動して、借入金利が変化してくるからです。
一般的に言って、定率タイプの方が借入金利は低く、定額タイプの方が借入金利は高くなります。
そのため実際には「借入金額・金利・融資手数料の計算方法・返済期間」などの組み合わせをシミュレーションして、お得な計算方法を選択する必要があります。

定額で支払う

それでは実際の事例を用いながら、融資手数料の計算パターンによってどれほど負担額が変化するか計算してみましょう。
イオン銀行で住宅ローン「イオン【フラット35】」を借り入れたとします(下記の金利・手数料は2017年3月10日現在のものです)。

(例1)借入金額は5,000万円、金利タイプは固定金利、返済期間は35年、融資率(物件の購入価格に対する住宅ローンの割合)は90%以下、元利均等返済、ボーナス時の割増返済なしで計算してみます。
この条件で定額タイプ(イオン銀行はBタイプと呼称しています)にした場合、融資手数料は5万4,000円で、融資金利は1.32%です。
この条件の場合、毎月の返済額は14.9万円、総返済額は6,247万円、融資手数料を加えた総負担額は6,252.4万円です。

(例2)上記の条件のうち借入金額を3,000万円にしたとします。この条件の場合、毎月の返済額は9万円、総返済額は3,748万円、融資手数料を加えた総負担額は3,753.4万円です。

(例3)(1)の条件のうち返済期間を10年にしたとします。
「イオン【フラット35】」の場合、返済期間が20年以下になると融資金利は1.21%へと低下します(融資手数料には変化がありません)。
この条件の場合、毎月の返済額は44.3万円、総返済額は5,312万円、融資手数料を加えた総負担額は5,317.4万円です。

(例4)(3)の条件のうち借入金額を3,000万円にしたとします。
この条件の場合、毎月の返済額は26.6万円、総返済額は3,187万円、融資手数料を加えた総負担額は3,192.4万円です。

定率で支払う


それでは次に、融資手数料を定率で支払った場合、総負担額にどのような変化が生じるでしょうか。
上記の例をそのまま利用しながら、融資手数料だけを定率にしてみましょう。
定率の計算でもイオン銀行の住宅ローン「イオン【フラット35】」の事例を利用します。

(例1)借入金額は5,000万円、金利タイプは固定金利、返済期間は35年、融資率(物件の購入価格に対する住宅ローンの割合)は90%以下、元利均等返済、ボーナス時の割増返済なしで計算してみます。
この条件で定率タイプ(イオン銀行はAタイプと呼称しています)にした場合、融資手数料は「借入金額×1.836%」であるため91万8,000円、融資金利は1.12%です。
この条件の場合、毎月の返済額は14.4万円、総返済額は6,047万円、融資手数料を加えた総負担額は6,138.8万円です。

(例2)上記の条件のうち借入金額を3,000万円にしたとします。融資手数料は借入金額が減少するため55万800円で、融資金利は変わりません。
この条件の場合、毎月の返済額は8.7万円、総返済額は3,628万円、融資手数料を加えた総負担額は3,683.08万円です。

(例3)(1)の条件のうち返済期間を10年にしたとします。「イオン【フラット35】」の場合、返済期間が20年以下でAタイプの場合、借入金利は1.01%へと低下します(融資手数料には変化がありません)。
この条件の場合、毎月の返済額は43.9万円、総返済額は5,259万円、融資手数料を加えた総負担額は5,350.8万円です。

(例4)(3)の条件のうち借入金額を3,000万円にしたとします。この条件の場合、毎月の返済額は26.3万円、総返済額は3,156万円、融資手数料を加えた総負担額は3,211.08万円です。

## 融資手数料は金融機関によって差がある
ここで一つ注意しておきたいことがあります。それは金融機関によって融資手数料の計算方法(定額か定率か)が異なるだけでなく、融資手数料の絶対的水準も異なるということです。
融資手数料は横並びではありません。
どの金融機関から住宅ローンを借り入れるかについては、手数料の水準もチェックし、慎重に選ぶべきです。

それではまず、融資手数料を定額で計算する金融機関の実際の手数料を比較してみます。
例えばメガバンク(都市銀行)の一角を占める三菱東京UFJ銀行の場合、事務手数料は1件につき32,400円(消費税込み)です(ただし、物件の担保価値に関する調査が特に必要な場合、実費を別途負担する必要があります)。

一方、東京に本店を置く第二地方銀行の一つに東京スター銀行があります。
東京スター銀行の住宅ローンは「預金連動」が特徴です。
住宅ローンの借り手が東京スター銀行に保有している預金残高を計算し、預金残高の合計額が基準を満たすと最大で7割の利息負担が減免されます。このような魅力のある「スターワン住宅ローン」ですが、事務手数料は若干高く、1件につき108,000円(消費税込み)かかります。

次に、融資手数料を定率で計算する金融機関の実際の手数料を比較してみます。
例えばネット専業銀行の住信SBIネット銀行の住宅ローンの場合、融資額の2.16%(税込)が銀行事務取扱手数料として徴収されます。
5,000万円の住宅ローンを借り入れるなら、手数料は108万円です。

一方、こちらもネット専業銀行である楽天銀行で住宅ローン(フラット35)を借り入れた場合、返済口座を楽天銀行に開設するなら、融資事務手数料は融資額の1.08%(税込)です。
5,000万円の住宅ローンを借り入れたら、手数料は54万円で済みます。

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新登場:アップフロント手数料について


近年、住宅ローンの融資手数料において「アップフロント手数料」を導入する銀行が増えています。
融資手数料は先に述べましたように、融資に関わる事務サービス(審査など)に対する対価です。
融資サービスと引き換えに支払っていますので、融資手数料は決して「前払い(アップフロント)」ではありません。

アップフロント手数料という場合、融資手数料に加えて、利息の前払い(アップフロント)が加えられ徴収されるという意味合いが込められています。
利息は時間の経過に応じて徐々に支払うものです。
それを前払い(アップフロント)し、融資手数料と「コミコミ」で徴収してしまうのがアップフロント手数料です。

「将来払う利息を前払いしたら、負担が重くなるだけでは?」と疑問に思われるかもしれませんが、アップフロント手数料にはメリットもあります。そのメリットとは金利の低さです。

先のイオン銀行のフラット35の例を見て下さい。
タイプA(定率型)は融資手数料が91.8万円で、タイプB(定額型)のそれは5.4万円でした。
同じ融資事務なのに、手数料には17倍もの開きがあります。なぜこんなにも差が生じてしまうかというと、タイプAでは利息がアップフロントで徴収されているからです。

もちろん、アップフロントで支払った分だけ金利は安くなります。
「アップフロント」型のタイプAの場合、金利は1.12%とタイプBの1.32%よりも0.2%割安に設定されています。
わずか0.2%の差ですが、「ちりも積もれば山となる」で、返済期間によってはアップフロント型の方が断然オトクな負担で借りることができるのです。

アップフロント手数料は初期費用が重くなることや、金利が低い分だけ繰上返済によって得られるメリットが減ってしまうことなどがデメリットです。
しかし、繰上返済をする予定がない方や、総返済額を抑えたい方にはアップフロント手数料は魅力的でしょう。自分の返済スタイル、人生設計に合わせて、融資手数料のタイプを選択することが肝要と言えます。

金利以外にもコストがかかる?住宅ローンの融資手数料の計算方法や基礎知識のまとめ

いかがでしたか?
住宅ローンを借り入れることによって、借り手が負担するのは金利だけではありません。
金利は一定の金額を、任意の期間にわたって自由に使用(消費)することに対する見返りに過ぎません。
そこには私たちが提出した審査書類を整理したり、審査したり、借入限度額や金利を設定したりする役務(サービス)に対する見返りは含まれていません。
融資に関わる様々な手間に対して支払われるのが「融資手数料」でした。

金利だけでなく融資手数料も借り手にとっては負担です。
したがって、どの金融機関から借りるかは、金利だけでなく融資手数料も含めた総負担額で選ぶべきでしょう。
また、融資手数料は皆さんの返済計画(短期間で返済する予定なのか、ゆっくりと時間をかけて返済するのか)、繰り上げ返済の有無、手元の資金のゆとり(多額の融資手数料を前払いすることはできるのか)によって、定額がお得になるのか、定率がお得になるのかが変ってきます。したがって、自分の返済計画に基いて作成された返済シミュレーションを元にして総負担額を比較することが大切です。

<下に続く>

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