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2017/05/01

【専門家記事】不動産テック(Retech)で不動産取引はどう変わるか

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目次

2017年秋から、不動産取引に不可欠な「重要事項説明書」がオンライン化される見込みとなりました。現在、不動産売買や賃借の手続きにおいて、宅建士(宅地建物取引士)という専門資格を有する専門家のみが双方に説明する権利を有します。

不動産は取引価格の高い取引であり、現在は非対面を禁止としておりますが、まずはこの部分が解禁され、インターネットを活用したオンライン化へのシフトが予定されています。

重要事項説明は買主にとっては安心して不動産を購入するため、借主にとっては賃借するため必要な情報を共有する、大切な手続きです。物件の周辺に暴力団事務所などの「安寧な生活が脅かされるもの」などは、この書類にて共有されるものとされています。

ただ、書類交付の「ために」不動産会社に足を運んだり、紙媒体での捺印がいまだ不可欠な点が目立ったりするなど、効率化も求められていました。

今回は不動産業界の意見検討会をふまえ、大手の不動産会社がリードをとった動きです。

このように不動産取引を巡る煩雑な部分や、人の手を介すること、いわゆる「省人化」が可能な部分をTechnologyの力で進めていくことを不動産と合わせてRetechといいます。不動産(RealEstate×Technology)の略語です。ただ、Retechはまだ一般的ではないので、本稿では不動産Techと称します。

不動産テックによってどのようなことが変わるのか


それでは不動産Techによって、どのようなことが変わるのでしょうか。このような×Techは金融とのFintech、保険とのInsurtechが先行している印象がありますが、不動産はこれを継ぐものといえるでしょう。今回は2つのキーワード、「省人化」と「Technologyの活用」という2面から見ていきましょう。

(1)省人化

重要事項説明書のほかにも、不動産Techによって契約書や募集広告のオンライン化、印刷費、資料を作成する人件費などを削減することができます。

不動産業界は書類や人件費のかかる世界。それらは不動産会社の経費と見えますが、実際は不動産取引の依頼者から費用含みで受け取っており、売主や貸主の提示価格を下げることで買主や借主にとってハードルが下がり、円滑な不動産取引に繋がります。

不動産会社サイドから見ても、この部分にかけていた人件費含めた経費を営業力などほかの部門に割り振ることのできるメリットがあります。

重要事項説明に限らず、契約書などは「書類を締結するために関係者が不動産会社に集まる」という手続きを未だ必要としています。一方で不動産業界を離れると、書類の共有化、クラウド化の時代です。書類を失くすことによる効率化と、それにともない実現できる省人化は、不動産Techの導入部分として今後注目されていくと考えられます。

(2)不動産取引におけるTechnologyの活用

もうひとつの側面、Technologyの活用について。ここで注目すべきは、AR(拡張現実)です。ARという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

一昔前にはとても信じられなかった世界中の街の写真が、Googleの技術によりインターネット上で閲覧できるようになりました。不動産取引のなかでも駅から物件までの道を実際に歩かずとも、インターネットで確認する利用者も増えています。この部分に今後、ARが活用できるといわれています。

ARでは最近、ポケモンGoにて楽しんだ人もいるでしょう。このARを使うと不動産取引が劇的に変わります。物件の内見を例にとって見ていきましょう。

物件に着くまで
物件に着くまで、移動する車のなかで買主・借主はARから近隣のスーパーを見ます。するとスーパーの特徴や恒常的に肉が安いのか魚が安いのかを確認することができます。内見はなかなか夜に行うことはできませんが、女性にとっては昼間明るい道でも夜になってどのくらい暗くなるのかも懸念事項です。ARを使うと、昼間の道をボタンひとつで夜に切り替えることができます。

物件の内覧

物件に入ると、リビングやキッチンにはさまざまな設備が備えられています。これらの設備がARによって、以下のような状況をすぐに確認することができます。

・設備の特徴、可能なこと
・どこのメーカーか、どれくらい前の製品化
・利用した際の利用平均額
・他の商品に取り換えたときの選択肢や利用料の差額

今までは現在の設備状況を確認して、書類を確認して、担当者に確認をしなければ欲しい情報がわからなかったプロセスが、「その場ですぐに」確認することができるようになります。これは画期的なことです。

【専門家記事】不動産テック(Retech)で不動産取引はどう変わるかのまとめ


このように、不動産Techは不動産取引におけるさまざまな部分を省人化し、新たなサービスを生み出すことが予測されます。今回の事例のほかにも、Technologyを導入したことによる斬新なアイデアから、不動産取引の当事者が享受できるメリットも増えてくることでしょう。

その第一の基盤として、不動産Techの導入として、今秋の重要事項説明書のオンライン化に期待したいと思います。現在、疑いの余地がない「当たり前」となっている部分が、数年後には「昔はこういうところが面倒でね」とやり取りされているかもしれません。

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written by
FP-MYS代表取締役社長兼CEO。 ファイナンシャルプランニング(FP)を通じ、Fintech領域のリテラシーを向上させたい個人や、FP領域を活用してFintechビジネスを検討する法人のアドバイザーやプロダクト支援に携わる。 Fintechベンチャー集積拠点FINOLAB(フィノラボ)入居。執筆実績多数。
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