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債務負担行為とは。複雑な用語の意味と注意点をわかりやすく解説

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目次

債務負担行為の知っておくべき基礎知識

国や地方公共団体が「お金を何に使うか」ということに関しては「予算」というルールがあります。
税金として集められた国や地方公共団体のお金は、この予算に書かれている内容以外の方法で使うことはできません。

「Aという事業を行うために1億円を支払う」と決めた予算については、後になって「Bという事業のお金を払うために使う」ということができないということですね。
また、予算は1年に1回作成する必要があり、将来数年間にわたって支払う支出を予算に盛り込むということは原則としてできません。
これを「会計年度独立の原則」といい、予算を作成する上での基本的なルールとなっています(予算を作成するのは国の場合は国会、地方公共団体の場合は地方議会です)

しかし、実際問題として大規模な工事などを行う場合には、数年間にわたって工事業者にお金を支払い続ける必要があります。
例えば、5年間かかる工事を行うことを予算で決めて、工事業者と契約をしたにもかかわらず、3年後になってその年は予算が通らなかった…ということが許されてしまうと、工事業者はすでに始めた工事の費用を回収できなくなり困ってしまいますよね。

このようなときのために必要になるのが「債務負担行為」という概念です。
債務負担行為は上で説明させていただいた「会計年度独立の原則」の例外ということができます。
以下、債務負担行為の法的な意味について、法律の知識がない方でも分かりやすく説明させていただきます。

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債務負担行為とは

債務負担行為は、言葉の雰囲気が独特なので理解がしにくいのですが、要するに今年も含めて数年間にわたってこれだけの金額が発生する予定なので、今年の予算に忘れないように書いておこう、という性質のものです。
忘れないように書いておくだけなので、実際にその年に支払いが発生することが確実になった時には予算として計上しなくてはなりません。

例えば3年間にわたって10億円の支出が予定されている道路工事があるとします。
1年目には3億円、2年目には2億円、3年目には5億円分の工事をする予定になっているすると、1年目の予算では歳出3億円、債務負担行為として7億円を計上します。
2年目の予算では歳出2億円、債務負担行為は5億円を計上します。
最後の3年目の予算では歳出5億円、債務負担行為0円という計上の仕方をします。

つまり、債務負担行為とは支払いが将来的に発生する見込みではあるけれど、今年中には支払う予定がないという場合に便宜的に(べんぎてきに)使われる予算の項目と考えることができます。
債務負担行為が予算に計上されていれば、数年間にわたって歳入と歳出のバランスを考えるのに役立ちますし、工事などを受注する側の業者としても工事を行うのに必要になったお金がきちんと予算に債務負担行為として計上されていることで安心して数年間にわたる工事ができるというわけです。

支出負担行為とは

支出負担行為とは、簡単にいうと国や地方公共団体がお金を外部に支払う必要がある場合に、その支払いをする原因となった行為のことをいいます。
例えば、道路工事などを国が行う時には工事業者との間に工事の請負契約を結び、工事が完了した時には国はこの業者に対してお金を支払う必要があります。

この場合、お金を支払う原因となっているのは業者との請負契約ですので、この請負契約を結ぶことを法律用語で「支出負担行為」と呼びます。
国や地方公共団体は、支出負担行為がない限りお金を払うことができないというルールになっています。

例えば、契約書がないのにいきなり業者に対してお金を支払うというようなことはできないというわけですね。
なお、支出負担行為は債務負担行為と言葉が似ているので混同しがちですが、まったく違う概念です。

債務負担行為は数年間にわたって支払いを行う必要がある支出について予算において歳出とは別に備忘的に計上する行為、支出負担行為は実際に国や地方公共団体がお金を外部に支払う原因となる行為のことです。
支出負担行為として外部業者と契約を行い、債務負担行為として予算計上する、といったような言葉の使い方をします。

支出負担行為とは何か?わかりやすく解説します!支出負担行為とは 支出負担行為とは、国及び地方自治体の支出の原因となる契約その他の行為を指しま...

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歳入歳出予算とは

歳入歳出予算とは、国の予算の中心的な内容となるものです。
歳入とは税金などの形で国が集めた収入すべてのこといい、歳出とは公共事業や公務員のお給料など、国が支払う支出のすべてのことを指します。
国の予算を見ると、歳入歳出予算、繰越明許費、継続費、債務負担行為や長期継続契約といった項目があることがわかります。

歳入歳出予算というのはこのうちで中核となる項目で、繰越明許費や継続費などの特別な項目を除くすべての項目はこの歳入歳出予算に含まれることになります。
狭い意味で「予算」といった場合にはこの歳入歳出予算のことを指すことが多いため、歳入歳出予算は「狭義の予算」と表現されることもあります。

繰越明許費とは

繰越明許費は、国会で予算を作成した後に、年度内に予定されていた支出の全てが完了しない見込みである場合、あらかじめ国会で議決を行っておくことで翌年以降にも支出ができるようにしておく仕組みのことです。

債務負担行為が予算作成の段階で支出が数年間に及ぶことを明らかにして議決を行うのに対して、繰越明許費は予算が作成された後になって支出が完了しない場合に利用される方法である点が異なります。

例えば、道路工事などを業者に発注して1億円を支出すると予算で決めたのにもかかわらず、工事が大幅に遅れたため5千万円分の支出しか年度内にしない見込みという時に、繰越明許費として処理することで当年度の1億円の予算を来年以降にも支払ができるようにすることが考えられます。

継続費とは

継続費は、予算作成の段階で支出が複数年度にわたることがわかっている場合には、予算の「総額」を最初の年度にあらかじめ議決しておき、翌年度以降は実際に支出する必要のある金額をその年の予算として決めることがあります。
このような処理の仕方を継続費と言います。

例えば、10年間で総額10億円の公共事業を行うというときに、最初の年度で総額10億円を継続費として計上し、それ以降10年間は1億円ずつ予算に毎年計上していくという形をとります。
債務負担行為と継続費の違いは、債務負担行為が複数年度にわたって支出する金額の「上限」と各年度の「負担限度額」を定めるややゆるいしばりがゆるい方法であるのに対して、継続費は支出する総額と各年度の支出額を明確に定めるものであるという点にあります。

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長期継続契約とは

長期継続契約は債務負担行為とよく似た概念です。
いずれも会計年度独立の原則の例外的な支出と位置付けることができます(つまり、いずれも複数年にわたって支出を行う行為です)

長期継続契約と債務負担行為の違いは、国会や地方議会で予算を作成する段階での扱いの違いと考えるとわかりやすいでしょう。
債務負担行為は予算の段階で特別の項目として処理されますが、長期継続契約は一般的な経費の中で適用期間が長いものとして処理されることが多いです。
予算の項目についてルールを作るのにイニシアティブを持っているのが議会(債務負担行為)なのか、行政(長期継続契約)なのかという違いと理解しておけば良いでしょう。

債務負担行為の期間

債務負担行為が実際にどのような形で期間設定されるのかを具体的な例で理解しておきましょう。
例えば、平成29年3月の国会で平成30年〜33年までの4年間である公共事業(支出上限額10億円)を行うことを決めたというような場合です。

この場合は平成29年度の予算に該当年度の支出の上限額(=債務負担行為)として10億円を計上し、翌年以降はその範囲内で支出する金額を毎年計上していくことになります。
ここで、法律上「債務負担行為の期間」となるのは上記の例では平成29年〜33年までということになります。実際に支出を行う期間に加えてその予算を作成した年度中も債務負担行為の期間に含めるのに注意しましょう。
債務負担行為は実際に公共工事を行う業者の側から見ると契約を行う時にきちんと代金を支払ってもらうことが保証されるかどうかを判断する材料となるため、議決を行った年度も債務負担行為の期間に含めることになります。

【番外編】債務負担行為を行う際の注意点

債務負担行為の金額を見るときの注意点としては、同じ年度予算の「歳出」の金額と混同してしまわないようにすることです。
債務負担行為は予算項目の独立した1つの項目ですので、歳出予算には含まれません。

債務負担行為は予算に計上した段階ではまだ実際に支払う金額が確定しているわけではありませんので、各年度において実際の支払額と支払時期が確定した段階で債務負担行為を取り崩し、歳出予算に計上するという処理の仕方をします(これを債務負担行為の現年度化といいます)
債務負担行為や支出負担行為、継続費や長期継続契約といった言葉は非常に混同しやすいので、これらの言葉が使われる時にはどのような内容を指しているのかを正確に判断することが大切です。

債務負担行為とは。複雑な用語の意味と注意点をわかりやすく解説のまとめ

今回は、債務負担行為の法的な意味について解説させていただきました。
債務負担行為は行政が財政的支出を行うときに問題となる概念であるため、私たちが一般市民として活動するときにはそれほど影響のあるものではありません。

ですが、公的機関から仕事を受注して仕事をしている業者にとってはこれらの概念について理解しておくことは大切です。
これらの言葉の意味についてよく理解せずに行政側と契約を結んでしまうと、せっかく請け負った仕事を完了したのに、支払いがきちんとされないというリスクを負うことになってしまいかねないためです。
行政から請け負った仕事の支払いがどのように処理されるかについて知っておくためにも、債務負担行為や支出負担行為といった言葉の意味についてよく理解しておくとよいでしょう。

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