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2018/01/06

イスラム教のスンニ派とシーア派の違いや対立の原因

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イスラム教のスンニ派とシーア派

世界的な規模を誇る宗教の1つに数えられるイスラム教には、スンニ派とシーア派と呼ばれる大きなグループがあります。ニュースではよくこの両派の対立や、それが原因の紛争が伝えられますが、そもそもスンニ派とシーア派とはどのような違いがあって、なぜ対立するのかについて見ていきましょう。

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スンニ派とシーア派の特徴や地域

まずは、スンニ派とシーア派がそれぞれどのような特徴を持ち、どのような地域に分布しているのかについてを見ていきましょう。

イスラム教スンニ派の特徴や地域

スンニ派はイスラム教の中でも多数派を構成するグループで、「スンニ」とは「預言者ムハンマドの言行や慣行」が本来の意味ですが、スンニを信仰生活の中で遵守していく人々ということで「スンニ派」と呼ばれるようになりました。

もともとはイスラム教ができたばかりのころ、預言者ムハンマドの後継者に誰を当てはめるかという問題が生じた際に、ムハンマドの事業を引き継いだ4人の指導者(正統カリフ)をムハンマドの後継者と認めた人々が当時のイスラム教信徒の大多数を占めたことから、このグループがそのままスンニ派となりました。

スンニ派は現在のところイスラム教の中のグループでは最大の規模を誇っており、イスラム教が主に信仰されている国々のほとんどに分布しています。

より具体的には、トルコやシリア、サウジアラビアなどの西アジアのほとんどの国々のほか、エジプトなどの北アフリカ、アフガニスタンやパキスタンなどの中央アジア、さらにインドネシアやマレーシアの東南アジア地域に至るまで広く分布しています。

イスラム教シーア派の特徴や地域

一方のシーア派はスンニ派に比べると規模の小さいグループですが、国際関係のニュースでもよく聞かれる存在となっています。

「シーア」とは本来アラビア語で「党派」を意味する言葉です。この点についても、先ほど触れたムハンマドの後継者の解釈をめぐる問題が関係しています。

その問題について、4人の正統カリフを後継者とみなしたスンニ派に対し、4人のうち最後の正統カリフであったアリーとその子孫こそがムハンマドの後継者であり、イスラムの指導者の資格を持つとみなす人々でした。そのため、彼らは「シーア・アリー(アリー派)」と呼ばれるようになり、それが短縮されて「シーア派」と呼ばれるに至りました。

シーア派が主に分布するのはイランとイラクで、特にイランにおいては憲法で国教と定められています。イラクでも多数派を構成しておりり、フセイン政権(スンニ派)がイラク戦争で崩壊した後、シーア派の政権が成立しましたが、シーア派寄りの政策がとられてきたため、国内でスンニ派との対立が深まっています。

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スンニ派とシーア派の割合は?

コーラン

イスラム教の中でも非常に大きなグループを構成し、存在感も大きいスンニ派とシーア派ですが、その割合はスンニ派の方がイスラム教全体の8割、シーア派で1割強とされています。

このようにスンニ派の方が圧倒的に多い状況ですが、ここまで多数派となった大きな要因はシーア派やその他のグループをも含めたイスラム共同体内部の団結を重視したためとされています。つまり、預言者ムハンマドの言行や慣行を守り、それを信じる人々の集まりである共同体の存在こそがグループを超えた共通認識*であるとみなしているためです。

一方のシーア派は先ほども見たようにイスラム教では少数派とみなされていますが、それでも特に多いイラクやイラン、アゼルバイジャンなどでは国民の6割から7割がシーア派となっており、全体的に見ると特定の地域に固まっているような状況です。

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スンニ派とシーア派はなぜ対立する?

ミナレット

スンニ派とシーア派の関係で私たちがよく耳にするのは、両派の対立しているニュースばかりではないでしょうか。両派の対立の原因についてですが、先ほども触れたムハンマドの後継者をめぐる解釈の問題のほかにも、イスラム教の教義の解釈をめぐる対立や現実の政治を巡る対立が絡んでいます。

教義を巡る対立についてはこれもムハンマドの後継者の解釈の問題と密接に絡んできますが、スンニ派がコーランやムハンマドの言行・慣行に従うことを重視したことに対し、シーア派はアリーとその子孫の教え(歴代指導者の教え)も重視するという点が挙げられます。そのうえ、歴史的にスンニ派から弾圧を受けたり、指導者が殺されたりした経験も持つため救世主の存在も信じています。

政治的な対立については、スンニ派の多いサウジアラビアでシーア派住民が冷遇されている状況や、先ほども触れたイラクでフセイン政権崩壊後に発足したシーア派政権の政策が元で生じた両派の対立などが挙げられます。1980年から88年のイラン・イラク戦争ではアメリカの影響などもあったとはいえ、スンニ派とシーア派の長年にわたる対立が戦争という形で噴出したともいえます。

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スンニ派とシーア派の違い

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このように長い歴史の中で対立してきたスンニ派とシーア派ですが、最期に両派の違いについてもう少し詳しく見ていきましょう。

教義上の違いについては、先ほども触れたようにスンニ派がコーランとムハンマドの言行・慣行を遵守していく立場、シーア派が*それに加えてアリー以降の指導者の教えを守る立場にあります。

また、イスラム教指導者に対する考え方も両者で違いがみられます。スンニ派は指導者については血筋にこだわらないのに対し、シーア派はあくまでもアリーの血筋であることを重視します。そのためか、シーア派の方がアリー以来の指導者を崇拝する傾向がありますし、歴代指導者の眠る聖廟に年1度の巡礼を行う慣習があります。

そして、イスラム教で守られる1日の聖地への礼拝ですが、スンニ派は1日5回であるのに対し、シーア派は1日3回としています。

さらに、現実の政治についてのスタイルも両派で違いがみられます。スンニ派は過去の宗教指導者が残した学術関係の書物を参考にしながら統治を行いますが、シーア派の場合は現実に生きている宗教指導者の教えをそのまま政治の世界に活かすという姿勢がとられています。

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イスラム教のスンニ派とシーア派の違いや対立の原因のまとめ

イスラム教におけるスンニ派とシーア派の違いや対立の原因について見てきましたが、両派の違いや対立をもっとも特徴づけているのは、ムハンマドの後継者をめぐる解釈の違いであるといえるでしょう。

その違いが原因で長い歴史の中で両派は対立や衝突を繰り返し、その対立は現在もなお続いており、中東情勢にも大きく影響しています。

もちろん、この点のほかにも礼拝の回数や政治への態度、指導者に対する考え方でも違いがみられますが、現時点ではスンニ派の方が多数派、シーア派の方が少数派となっています。この両派の違いや対立の歴史をよく理解しておくと、国際情勢のニュースもより理解しやすくなるでしょう。

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