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2018/01/11

ウクライナ情勢とは?欧米・ロシアの思惑やウクライナ問題の現在

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ウクライナ情勢とウクライナ問題

2014年、東ヨーロッパに位置するウクライナで内戦が勃発しました。当時と比べて、日本の報道では取り上げられることが少なくなりましたが、対立は今なお続いています。

今回はそんなウクライナの情勢について、内戦の背景や歴史的経緯、現在の状況を踏まえてまとめていきたいと思います。

<下に続く>

ウクライナ問題の歴史的背景とウクライナの情勢

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ウクライナは西部と東部で、歴史的背景が異なります。西部はポーランドと国境を接し、西欧諸国の影響を強く受けました。ウクライナ人としての民族意識が色濃く蔓延している地域です。

東部はロシアと国境を接しているため、ロシアの影響を強く受けています。東ウクライナは、旧ソビエト連邦の一員として取り込まれ、ロシア語による教育が行われました。

東部地域には、ロシア系の住民が多く移住したということもあり、西部のウクライナ人と対立していくことになります。

第二次世界大戦後、ソ連は西ウクライナ地域を含めたウクライナ全域を支配し、連邦の一員として機能させます。ウクライナの東部は穀倉地帯としても知られていて、「ヨーロッパの穀倉」と呼ばれていました。

この豊かな穀倉地帯をソ連は利用し、計画経済の進展にあてていきます。

その後、ソ連の勢力が徐々に資本主義諸国に後れを取るようになり、1991年にソ連は崩壊を迎えます。これを受けて、ウクライナ地域は国名である「ソビエト社会主義共和国」を削除し、独立宣言を行います。

ここに、国家としてのウクライナが誕生します。

その後、ウクライナの西部地域はヨーロッパとの結びつきを強めていきます。それに対し、東部地域はロシアと関係を深めていきます。

2004年に行われた大統領選挙では、親ロシア派のヤヌコーヴィチ氏が当選します。しかし、対立陣営から「大統領選挙において不正が行われた」という声明が発表され、西部地域を中心に再選挙を求める抗議運動がおこりました。

ヨーロッパやアメリカが野党勢力を支持し、再選挙が行われた結果、親欧米派のユシチェンコ氏が当選を果たしました。

この一連の政治運動をオレンジ革命といいます。

ただし、その後は与党内で対立が生じ、支持率を下げていきました。

2010年の大統領選挙では、2004年の選挙で敗れたヤヌコーヴィチ氏が大統領就任を果たすという皮肉な結果となりました。

2013年に入ると、ヤヌコーヴィチ大統領は、EUとの連合協定プロセスを停止すると発表しました。

ヨーロッパ連合加盟が有力視されていた中、この発表はウクライナ全土、特に西部地域に衝撃を与えました。

この発表に対して、欧州統合支持者たちは反政府デモを行い、ヤヌコーヴィチ政権を攻撃しました。デモが活発化する中、ヤヌコーヴィチ大統領は行方をくらまします。

その後、新欧州派のヤツェニューク首相が新政権を発足させ、欧州統合路線を復活させていきます。これでようやく事態は収束したかに見えました。

しかし、ウクライナ情勢を混迷に落とし込む事態が発生します。それは、ロシアによるクリミア併合です。

クリミアは、ウクライナ南部に位置する半島で、自治が認められている地域です。ロシア系の住民が多数を占めるため、住民たちのの帰属意識はウクライナよりもロシア寄りでした。

ウクライナ自治共和国は、ロシアへの編入の是非を問う住民投票を実施します。その結果、9割以上の住民が編入に賛成しました。この結果を受けて、ロシアはクリミア編入を実行に移します。

ウクライナ政府は、自治共和国によって行われた住民投票を違法なものであるとし、ロシアによる編入を認めない立場をとっています。

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ウクライナ情勢の裏側にある欧米とロシア

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ウクライナ情勢の裏側には、欧米諸国とロシアによる勢力争いが見え隠れしています。

ウクライナは地政学的にみて、ヨーロッパとロシアの境に位置する国です。ヨーロッパ側からすると、ウクライナをヨーロッパ連合に組することで、ロシアへのプレッシャーを強めることができます。

逆に、ウクライナがロシア側に着くと、ヨーロッパ連合はロシアの勢力と国境を接することになります。

ウクライナがどちらの味方に付くかで、安全保障上のリスクが大きく変わってくるのです。

また、ウクライナ東部は穀物が大量に採れる地域でもあるので、食料を確保するという面でもウクライナの帰属先は重要となります。

ウクライナ国内において、東部地域の人々は、ウクライナの東西分裂に賛成の立場を示しています。「西部側がそこまでヨーロッパ連合に入りたいのであれば、勝手にやってくれ」という立場です。

しかし、西部側はウクライナ分割を断固として認めません。なぜならば、西部地域は資源や穀物に乏しく、東西に分かれてしまうと、西だけでは経済を回していけなくなるためです。

あくまでも、東部の穀倉地帯は渡さないという立場をとっています。ここにも、欧米諸国の思惑が見え隠れしています。

西部地域のみヨーロッパ連合へ加入させても、それはEUにとって負担にしかならないためです。

ロシア側は、ヨーロッパ側の思惑を読み、ウクライナ東部への影響力を強めていっています。もともと、ロシア系住民が多いということもあり、現在も東側は親ロシアという傾向が強いです。

地理的に離れているアメリカにとっても、ロシアのヨーロッパへの勢力拡大は避けたいところです。冷戦が終わったとはいえ、アメリカとロシアの外交関係は良好とは言えないためです。

ロシアがヨーロッパ地域へ進出することによって、新たな紛争の火種が生まれ、アメリカがその紛争に巻き込まれてしまう可能性があります。

アメリカとヨーロッパ諸国は、NATO(北大西洋条約機構)に加盟しており、ウクライナもNATOへの加入を目指しています。ただ、ロシアとしてはウクライナのNATO加入は断固阻止するという構えをみせています。

仮にウクライナがNATOへ加入すると、ウクライナにロシアが侵攻した場合、NATO軍はロシアへ対して報復攻撃を行うことが可能になります。

そうなると、ロシア側も迂闊にウクライナへ勢力を広げることができなくなります。最終的には戦争も覚悟しなくてはなりません。

実際、2014年に親欧米派のヤツェニューク政権が誕生した際は、ウクライナがNATOへ加入することを見越して、ロシアはクリミア半島を編入しています。

冷戦時代の勢力争いが現代に蘇ってきているとも言えるでしょう。この状況を踏まえて、現代は新冷戦の時代に突入したと主張する国際政治学者もいます。

ロシアがクリミア編入を皮切りに、ヨーロッパ東部を再び勢力下に置こうとする動きを加速させる可能性があります。

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ウクライナ情勢の結末は?

ロシアがクリミア半島を編入したことにより、ウクライナ西部ではより一層、ヨーロッパへの帰属が高まっていきました。

2014年5月に大統領選挙が行われ、元経済発展・貿易大臣を務めたポロシェンコ氏が大統領に就任しました。親欧州派の政党が連立を組み、政権を発足させます。

しかし、連立政権内で徐々に足並みがそろわなくなり、ヤツェニューク首相は責任をとって辞職します。

オレンジ革命後と同様に、またもや与党が一致団結できなかったのです。

ヤツェニューク首相が辞職した後、フロイスマン最高会議議長が新しく首相に任命され、政権を発足させました。

現在も、ウクライナ政府はヨーロッパ連合加入に向けて、親欧州路線を継続しています。

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ウクライナ情勢の現在

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ウクライナ情勢は、依然として混迷を深めています。

2014年に起こったロシアによるクリミア編入以来、ウクライナ政府軍と反政府武装組織の戦闘は続いていて、解決の糸口は見えていません。

戦闘から帰還した兵士がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症する事例も報告されています。

内戦が長期化することによって、西部と東部の対立がさらに深まってきている状況です。

ウクライナ情勢を安定化させるために、ウクライナ、ロシア、OSCE(欧州安全保障協力機構)が停戦による解決を目指すミンスク諸合意に署名しました。

しかし、この合意は完全には履行されておらず、形骸化した状態になっています。

2020年までにEU加盟をめざすウクライナにとって、東部情勢の安定化は急務です。とはいえ、経済的な理由から東部を分割するわけにもいかず、ウクライナ政府はジレンマに陥っています。

<下に続く>

今後のウクライナ情勢はどうなるか?

ウクライナ政府内では、親欧州派の足並みが揃っていないという懸念材料があります。東部情勢が悪化する中、親欧州派は今後、結束を強めていく必要があるといえます。

親欧州派が分裂してしまうと、ウクライナ内戦は全土に広がることになり、他国の介入を招きやすい状態になってしまいます。

ロシアや欧州の思惑を陰にひそめながら、ウクライナはどのような道を歩んでいくのか。今後もウクライナの情勢を注視していく必要があると言えるでしょう。

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