みんなのお金ドットコム | お金のコトをもっと身近に
2018/02/04

2018年問題とは?派遣法改正や雇用形態について

Large buildings
目次

知っておくべき「派遣法」と「2018年問題」

一般的に企業における従業員の雇用形態として、「正社員」と「派遣社員」に大きく分けられることは広く知られています。

今回は、派遣法改正にともなう、いわゆる「2018年問題」について、その要因やポイント、メリット・デメリット、労働契約法・労働派遣法についての基本をわかり易く解説します。

<下に続く>

派遣法の2018年問題とは?

null

派遣社員は、正社員と違い企業が必要とする場合のみ雇用されることになるため、有期雇用という形になります。

一般的に派遣社員を採用するというのはあくまで労働力確保が目的となるため、雇用する企業に守られているとはいえません。そのため、その権利を守るために制定されている法律が「労働者派遣法」です。

この法律は派遣元企業や派遣先企業が人を雇用する(契約する)に当たって指標となるいわゆるルールブックと言えます。当然、契約を結ぶ労働者にも大きく関係しています。

この法律ですが、2015年に改正され2018年にその改正内容が初めて適応されることになっています。この内容を簡単に言うと、ある一定期間更新を続けた派遣社員は、当該企業から無期雇用にしてもらう権利を得るというものです。

そうなった場合、労働者側はよいのですが、企業は大きな費用負担増が発生されることが懸念されています。そのためそれを避けるために一種の雇い止めが起こるのではないかといわれています。

そうなると、失業者の増加につながる可能性もでてきますし、失業者が増えれば国の財政も脅かしかねません。これが、2018年問題といわれるものです。

派遣法の2018年問題の要因

null

2018年問題には大きく2つの要因があるといわれています。それは「労働契約法の改正」と「労働派遣法の改正」です。この2つの要因について解説していきます。

要因①:労働契約法の改正

企業と従業員の雇用関係は、ひとつの労働契約に基づく関係であるといえます。この労働契約に関係する法律が労働契約法です。2015年の派遣法改正が初めて適応になるのが2018年なのです。

その中でもっとも大きな改正が、「無期雇用ルール」といわれるものです。派遣社員の場合、基本的には期限が定まった形で雇用されています。ちなみに、それを定めているのは派遣元企業です。

今回の改正において、派遣期間の制限見直しが可決され、派遣社員は有期雇用契約を企業と結んだ場合(無期は除く)その更新が5年以上を超えた場合、無期雇用への転換ができるというものです。

この転換に関しては、あくまでも労働者の申し込みが必要で、仮にしなかったとしても次の更新期間で申し込むことも可能とされました。

もちろんすべてのケースが適応となるわけではなく、一定の条件も存在します。その条件は3つあり、そのすべてを満たすことが条件となります。

その3つというのは、「働いている事業主が同一であること」「一回以上の更新をしていること」「期間が通算で5年超であること」です。

つまり、この3つの条件を満たしていれば、受け入れている企業は、無期限雇用を結ばなくてはならないということになります。これは労働者側にとってはかなり有利な改正といえます。

要因②:労働派遣法の改正

現在のように、派遣という手段による労働力確保が増えた背景には、「必要な期間のみ人員を確保することができる」「正規雇用の場合に比べ、低賃金や福利厚生費の面からコストが抑えられる」といった側面があります。

派遣社員側にも働き方や、ひとつの企業に縛られないといったメリットはありますが、正規雇用に比べ十分に守られているとはいえません。

そのような不公平をなくすために、その労働条件や賃金・福利厚生等を定めた法律が「労働者派遣法」です。

2015年の派遣法改正において、その期間の制限が見直されました。以前は無制限でしたが、改正後同じ組織で働ける期間が3年までとなったのです(無期の場合は除く)。

ただし、あくまで原則であって絶対に3年を超えていけないということではありません。しかしその場合、派遣先の事務所の過半数労働組合等の意見を聞く等の条件が設けられています。

その最初の期限が2018年となっているのです。つまり、3年という期間を理由に派遣が打ち切られやすくなってしまったといえます。

<下に続く>

派遣法の2018年問題のポイント

派遣法についてはその改正が行われたのは2015年です。しかし、実際の問題が表面化してくるのが2018年なのです。そのポイントについてまとめます。

ポイント①:失業者の増加

現在、全国の事業所で有期労働者を雇用している事業所は約35%に上るという統計があります。企業が派遣契約を結ぶ理由の一つは人件費の圧縮です。

正社員を新しく雇用した場合(特に新卒の場合)、その社員がある程度のレベルで仕事ができるようになるためには相当の期間と教育費用がかかってきます。

また、正社員の場合は、社会保険料等の会社負担分や福利厚生にかかる費用負担もあり、人件費が企業経営を圧迫することも考えられます。

そのため、ある程度のスキルを事前に習得していて、福利厚生等の費用が抑えることができると考えられる派遣契約を採用するわけです。

2015年の派遣法改正の目玉が有期雇用から無期への転換(一定の条件を満たす必要はある)となっており、その最初の年が2018年ということになります。

その前に、企業は更新をしない可能性が考えられ、それによって失業者が増大するのではないかと考えられています。

ポイント②:企業負担の増大

企業によっては、今まで有期雇用であった人材のなかで、優秀なスキルを持った人を無期契約にすると言う対応も出てくることが予想されます。

その場合は、「完全に正社員化する」「条件を変えずに無期契約する」「条件を引き上げ無期契約する」「勤務地・勤務時間を限定して正社員化する」といった方法が考えられます。

そのほかにも、新卒を正社員として採用し、教育をしていくといったことも考えられます。どの方法を選んでも、今までに比べ企業の費用負担や、人的リスクが増えることは避けられません。

ポイント③:人材の囲い込み

安定した企業側経営を続けていくためには、人材が不足することは避けなければなりません。今までのように、求めるレベルをクリアできない場合は更新をせず、新しい人材を確保してきた企業もそれが出来なくなります。

そういった意味で、高いスキルをもつ優秀な人材を正社員化し、自分の企業の中に囲い込むといった方策をとる企業も増えてきています。

実際、2018年を待たずして有期雇用社員の一部を正社員化・無期雇用社員化する企業も既に出てきています。これは一つの人材の囲い込みといえます。

ただし、この方策が取れるのは一定以上の規模や利益が確保できている企業に限られており、優秀な人材の偏りが出ることも懸念されます。

ポイント④:専門26業務の派遣期間問題

今までの派遣法では、派遣先で最長3年働けばその派遣先ではその本人は当然のこと、その派遣会社のほかの人もその派遣先企業で働くことが出来ないとされています。

しかし、派遣社員の中でも専門性の高い26業務(ソフトウェア開発・機械設計・財務処理・研究開発・秘書・アナウンサー等)については、同じ所で制限無しで働くことが出来ました。

今回の改訂では、この専門26業務とそれ以外という区分がなくなりました。つまり、すべての業務において、同じ所で働けるのは最長3年までになったということです。ただし、他の派遣社員であれば、同じ派遣会社であっても働けるようになっています。

ここで問題点として考えられるのは、企業側が3年ごとに派遣労働者を入れ替える(同じ派遣会社でもよい)ことで事実上の常用雇用にすることが出来るという点です。

ポイント⑤:待遇均衡への取り組み

正社員と派遣社員とでは福利厚生等の面でも差がつけられているケースがほとんどです。今回の改正には待遇均衡についても盛り込まれています。

これは派遣社員からすれば喜ばしいことですが、企業側からすればさまざまな面でのコストの増加が避けられません。

また、派遣元における教育訓練やキャリアコンサルティングを行う義務が定められたことにともない、派遣社員の業務遂行状況等の情報提供への協力等も努力義務として定められました。コストだけでなく、労務上の制約も増えたわけです。

ポイント⑥:派遣社員の雇用安定

派遣社員にとっては、雇用更新や無期雇用への転換といった継続雇用が重要なポイントとなります。派遣社員が継続して同一の組織で3年間働き続ける見込みがあり、就業継続を希望する場合も多くあります。

今回の派遣法改正では、このような状況が生じた場合に、派遣元は派遣先に対して直接雇用の依頼をすることが義務付けられました。

また、このほかに派遣元の義務として、派遣元での無期雇用や教育訓練・紹介予定派遣の対象化なども義務となりました。

派遣法の2018年問題のメリット

派遣法の2018年問題についてはメリットとなる部分もあります。そのメリットは派遣社員側のメリットと、企業側のメリットに分けることが出来ます。それぞれのメリットについて解説します。

メリット① 派遣社員側のメリット

派遣社員側のメリットとして最も大きいと考えられるのは、「有期雇用から無期雇用への変更」「直接雇用」といった部分といえます。

いままで、契約の更新がなされるかどうかは先方の考え方一つでした。それが、無期限雇用や正社員としての直接雇用契約に変われば、その後の仕事についての不安は解消されます。

正社員としての直接雇用となれば、給与面や退職金・福利厚生といった面からその後の生活設計も立てやすくなり、安定した生活となることが予想されます。

また、正社員とは行かないまでも、無期雇用となれば生活の安定は望めますし、給与面や福利厚生の待遇はよくなる可能性が十分に考えられます。

今回の改定によって、契約先企業はいままで先延ばしにし出来ていたこの問題に取り組む必要が生じ、派遣社員にとっては大きなチャンスとなってくるわけです。

メリット② 企業側のメリット

派遣先企業にとっては優秀な人材を確保するといった側面はありますが、それほどの大きなメリットは望めないかもしれません。

ただし、専門26業務の派遣期間がその他の業務との差が無くなった(同じ派遣先で働ける期間が最長3年となった)点はメリットとなる可能性もあります。

企業側が3年ごとに派遣労働者を入れ替える(同じ派遣会社でもよい)ことで、派遣労働者を事実上の常用雇用にすることが出来るからです。

また、この改正を機会に、これまでの組織や人員体制を見直すきっかけとすることにつなげることによって、人件費等のコスト見直しに繋げることができる可能性もあります。

<下に続く>

派遣法の2018年問題のデメリット

kg1

派遣法の改正については、多くのメリットがある反面、デメリットがあることも理解しておかなくてはいけません。このデメリットについても、派遣社員側と企業側それぞれの側面からご紹介します。

デメリット① 派遣社員側のデメリット

派遣社員として契約している社員にとっては、どのような形であれ無期限雇用に転換できるかもしれないまたとない機会であることは間違えありません。

しかし、この無期限雇用は全員に適応されるというわけではありません。企業が無期限契約に踏み切るのは、ある程度スキルが高く、費用対効果が高いと判断された人材に限られます。

その選別にもれた場合、今まで通りか、さらに悪い条件で契約を結ばなくてはいけない可能性もあります。派遣先企業や派遣元企業が、この改正を悪用しようと思わないとも限りません。

その場合、例えば3年ごとに違う企業の違う環境で働かなくてはならない可能性も出てくるわけです。また、専門26業務に従事している人であれば、改正前後の差はより大きいものとなります。

デメリット② 企業側のデメリット

企業側のもっとも大きなデメリットは、人件費の増大です。この人件費は、正社員として雇うというだけでなく、派遣社員に対する福利厚生面の充実に対しても関係してきます。

また、派遣労働者の労力を当てにしていた企業であればあるほど、人材の確保が難しくなることのデメリットが生じてくる可能性があります。

なぜなら、ある程度規模が大きく、人件費にコストを裂ける企業が、優秀な人員の囲い込みに走る可能性があるからです。

つまり、紹介される人材が、そういった企業の無期限雇用にもれた人材ばかりになるというケースも無いとはいえません。

2018年問題とは?派遣法改正や雇用形態についてのまとめ

派遣法は派遣労働者として働いている人であれば、誰にでも関係のある法律です。それは、雇用する企業側にもいえることです。

20018年は2015年に改正された派遣法が実際に適応になる最初の年となります。その内容や問題点、メリット・デメリットについて理解し、いざというときのために備えておきましょう。

Thumb minkane logo
written by
「お金のコトをもっと身近に」というミッションで、みんなのお金ドットコム(みんかね)を運営しています。 投資・節税・保険・ローン・クレカ・節約などのテーマの情報を各領域の専門家や編集部を通して記事配信していきます。
Logo
みんかねの
おすすめ記事がLINEに届く!
Add line
関連記事
おすすめ記事