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2017/05/29

【専門家記事】「世帯貯蓄平均額が過去最高1,820万円」。このニュースの意味するところとは?

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目次

FPの相談に載っているなかでよく耳にするのが「お金ってどこにあるのでしょうね」という言葉です。毎月収支を気にして余剰金を貯金に充てて、それでも老後には5000万円必要といわれているからまだ不足しており、とても落ち着いた生活なんてできない、と思ってしまうことも。

そんななか、「世帯貯蓄が過去最高1,820万円」というニュースが注目されています。このニュースはどのような意味を持っているのでしょうか。

世帯貯蓄は家計の余裕度を表している?

世帯貯蓄は総務省が発表した家計調査報告にもとづいています。2016年の最新調査によると、2人以上世帯の平均貯蓄高は前年比0.8%増の1,820万円。4年連続を更新しました。タイトルだけを見ると、家計の余裕度を表しているともいえます。ただ、この調査には調査母数のうち3分の2(67.7%)が
「平均額を下回っている」という付記もついています。つまり、一部飛びぬけた世帯貯蓄層が統計母数のなかに含まれて、多くは余裕のない生活が続いている、ということがいえます。

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ずば抜けた世帯貯蓄の人が率いる統計に心を乱されないこと

誰もが通ってきた学校の成績に当てはめるとわかりやすいでしょう。通信簿で平均3の友人3人がグループを作っていたとします。3人だけだと平均値はもちろん「3」です。ところがこのグループに「5」の友人ふたりが加わると、平均値は「3.8」まで急上昇します。通信簿の良い2人が牽引する構図が出来上がるのですね。ただ、平均値が上昇しようと、元々の友人グループは3のままです。

今回の統計はまさにこういう状態です。大切なのは、3.8に上がったから、自分も対策せねばと焦らないことです。世帯貯蓄が過去最高だという風に後ろから押され、積極的な資産運用がお勧めのタイミングだ、消費額を増やすべきだという空気が醸成されることがあります。家計を見ている専門家としては、この空気感はとても怖いもの。

そこで変動率(ボラティリティ)の高い一方で高いリスクを介在する注目商品が生まれてしまうと、「自分たちは多少リスクを取ってでも追いつかなければ」となり、更なる損害を生んでしまうことも。これを防止するためには、「人は人。自分は自分。」という考え方がより大切です。

世帯貯蓄において大事なのは「人は人。自分は自分という考え方。」

ここ数年、メディアでは行き先の不透明感をキャッチ―に報じる風潮が目立ちます。将来に危機感を持って、着実に貯金をしたり、詳しいライフプランを組み立てたりすることはとても大切です。ただ、それは本来、所得額やこれまでの貯蓄額の異なるほかの過程と比較しても仕方のないこと。今回の統計も、いわゆる高齢者世代が統計値を引っ張っており、先の例えでいうところの通信簿5のふたり、ということができます。

その一方で、いまほかの人はどれくらいの貯蓄を有しているのかを知るにはどうすればよいのでしょうか。ひとつの方法は、細分化された情報を比較することです。

いま御覧頂いている「みんなのお金ドットコム」でも、大枠の想定があれど、さまざまな所得層や状況に応じた記事を配信しています。この記事は年収○○万円で貯蓄○○万円向け…と書いているものではありませんが、おおよそ自分と同等の話はなんとなくわかるでしょう。

「あ、この内容は自分ごとの内容だ」であるとか、「友人から聞いたことがある」という感触です。このような記事の内容は同じ通信簿の可能性が高いもの。自分の家計に取り入れられるアドバイスは、積極的に吸収していくようにしましょう。

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世帯貯蓄に関するアドバイスの取り扱い方法

そこで自身の家計に合致したアドバイスも、取り扱い方法にはちょっとした工夫が必要です。それは、そのアドバイスを取り入れた結果を他人に合わせるのではなく、「アドバイス導入前の自分と比較すること」です。

節約習慣にしても、貯蓄額にしても、他人と比べるのは奮起する要因になる一方、とても疲れるもの。他人ではなく、過去の自分と比べることがポイントです。

この工夫をして、以前の自分(の家計)からこれくらいのお金が浮いた。これくらいの貯蓄が増えた、という結果を顕在化することが大切です。更に対象を細かく分けて、食費が浮いた、電気代が浮いたという結果を探るのもいいでしょう。ただ、たとえば食費にお金をかけて日常生活を楽しんでいる人が、同じ所得層でも食にさしたる興味もなく、ファッションに関心がある人と比較しても適切なアドバイスとはいえません。

「世帯貯蓄平均額が過去最高1,820万円」。このニュースの意味するところとは?のまとめ

あらためて。今回の世帯貯蓄が過去最高と報じられたニュースは、読者のみなさんにとって「自分事のニュース」だったのでしょうか。老後をはじめ将来に基づいて影響をもたらすニュースは、これからもキャッチ―に報じられます。見逃さないことは大切ですが、流されないことはもっと大切です。あくまで自分事のアドバイスとして、自分と比較して、生活を見直していくようにしたいですね。

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FP-MYS代表取締役社長兼CEO。 ファイナンシャルプランニング(FP)を通じ、Fintech領域のリテラシーを向上させたい個人や、FP領域を活用してFintechビジネスを検討する法人のアドバイザーやプロダクト支援に携わる。 Fintechベンチャー集積拠点FINOLAB(フィノラボ)入居。執筆実績多数。
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