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暦年贈与信託とは。メリット・デメリットと主な暦年贈与信託の商品をご紹介

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目次

暦年贈与信託とは何か

暦年贈与信託とは、銀行口座の口座を利用して贈与税の非課税限度枠を使用して、有利に財産を渡す手続きを言います。
例えば、法人税などは会社の事業年度が課税期間となり、決算のタイミングで税額を計算します。

これに対して、贈与の場合の課税期間は必ず暦年になります。
どんな人でもその年の1月から12月にかけて贈与を受けた金額につき贈与税の計算が必要です。
もっとも、贈与税には毎年110万円の基礎控除がありますから、1年間に贈与を受けた金額がこれ以下の場合申告が不要です。

暦年贈与信託とは、この暦年課税と基礎控除の仕組みを利用して、有利に財産を渡すことができる商品なのです。

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暦年贈与信託の特徴

暦年贈与信託には以下の三つの特徴があります。

贈与税の基礎控除の枠を活用できる

贈与税の計算には基礎控除額があります。
税額の計算は暦年ごとに行われるため、基礎控除の計算も暦年で行われます、控除額の繰越はありません。
このため、特に贈与がないような年に関しては、この基礎控除額が切り捨てられてしまうのです。
相続の対象となるような財産が大きくある場合、生前より長い期間をかけて対策を行うことにより毎年の基礎控除を確実に利用することができるのです。
また、相続税や贈与税の税率は累進課税方式が採用されています。

従って、一度に大きい金額を贈与するよりも、毎年小さな金額を贈与した方が、結果として手元に残るお金は多くなります。
例えば、課税対象が200万円以下の贈与についてはその税率は10%です。これに対して3,000万円を超すような場合はこの部分につき55%もの税率が適用されるのです(平成28年4月現在)。

例えば、200万円につき課税された場合、贈与税額は20万円です。従って10年間(10回)贈与を繰り返したような場合、合計の納税額は200万円です。総額で2,000万円を移動して、納税が総額で200万円発生します。ところが一度に2,000万円が課税対象となった場合には、税額は750万円にものぼります。従って、こまめに財産を移すことは有効な相続税対策となります。

手続きが簡単で資金の用途も自由

暦年贈与信託においては、基本的には贈与する相手方と金額を指定するだけです。
あとは銀行が適切なタイミングで自動的に財産の移動手続きを行います。
これにより、暦年課税のメリットを享受することができるのですから、有用な商品と言えます。
受け取った方は、その資金の使用制限を特には受けません。
他の贈与税の優遇枠については、例えば教育資金に関する贈与であるとか、住宅取得資金に関する贈与であるとか、使用用途が限定されるものが多いです。
ところが、この商品は基礎控除の枠を利用するので、その用途に制限がかからないのです。

税務署の否認リスクが少ない

暦年贈与の仕組みを利用すれば、長期間かけて結果として低い税率で財産の移転を行うことができること説明しました。
実のところ、この手法はわざわざこの商品を使わなくても実行することができます。
普通預金の通帳を利用して、財産を移したい相手方にお金を振り込めばよいのです。
その金額に応じて、財産をもたった人が贈与税の申告をすれば、こと足ります。

このような関係の中、なぜこの商品が有効なのでしょうか。
実は、贈与という行為には常にリスクが付きまといます。
そもそも110万円未満の贈与であれば、申告は不要ですので、後から振り返ると単なる資金の移動の事実しか残らないのです。
契約書やその他の説明資料が存在しない場合、後から取引につき説明することが難しくなります。
また、相続が行われる際に初めて身内とのお金の大きなやり取りが問題になります。
取引の時点から年数が経過していることがほとんどですから、事実があいまいになってしまうリスクがあるのです。
また、小さな額を毎年コツコツと贈与する行為については、初めからその総額を贈与する計画があり、これにつき課税を免れるために毎年資金移動をかけているのではないかという外形が生じます。
いわゆる「名義預金」の問題です。
このような時は、その総額につき贈与税の計算がなされてしまいます。これを連年贈与と言います。
この点、暦年贈与信託を利用するとこの否認リスクが低くなるのです。
毎年の贈与の記録をしっかりと残しますのでその事実は数年経過したのちにも確実に確認できます。
また、東京三菱UFJ銀行の場合、国税庁に課税上の取り扱いにつき照会をかけているようですから、現状においては税務署のお墨付きを得ているようなものです。
言い換えると、税務署が納得するように申込書その他の書類において必要な事実や贈与する人の意思を確認できるような形を作りこんでいるといえます。

暦年贈与信託の仕組み

暦年贈与信託は基本的に次のようなシステムにより運用されます。

贈与する人が、当初預金を預け入れる

まずは対象となる財産を指定の口座に預け入れます。
このとき、だれに渡す予定なのかを申請します。
あくまでも候補であり決定ではありません。
預け入れる金額は、指定の範囲があり一定の以上の金額からのみ受け付けるようです。この基準は銀行により異なります。
この金額は、銀行により運用・管理されます。

毎年、贈与する相手方と金額を指定する

期限までに、預け入れた財産につき誰にいくら渡すのかを書面等により意思表示する。暦年課税の理由から、12月31日までに無事財産が移るように、その贈与先を決定します。

贈与先として指定された相手方は、その贈与を受けるかどうかの決定をする

贈与先として指定された相手方は、その贈与につきうるのか否かを回答し、受けるのであれば財産の移動が実行されます。
この時、受け入れた金額が110万円を超える場合は、贈与税の申告が必要です。
110万円未満の場合は、基礎控除の計算により課税金額が0円になりますから、申告の必要はありません。
この場合でもきちんと記録が残りますから、税制に対して適格な取引であった旨が後から分かります。

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暦年贈与信託の申込方法

暦年贈与信託の申し込みは簡単に行うことができます。
現在預け入れている預金を対象に指定することもできますから、この場合は申込書を郵送または来店にて記入・提出するのみです。
これにより信託契約が成立し信託証書を受領することができます。
場合によっては、信託専用の口座を開設し、そこ目的の資金の移動する必要もあります。

各金融機関の暦年贈与信託について紹介

暦年贈与信託「おくるしあわせ」

「おくるしあわせ」は東京三菱UFJ銀行の商品です。
この商品の特徴は、元本が保証されることと、管理手数料が無料である点です。
細かい点ですが、JALマイレージバンク会員の方にはマイレージがたまることもうれしい点です。

もっとも、銀行間の競争のため、元本保証と手数料の無料化は一般的になってきています。
国税庁への照会に関する記載をホームページにて公開していますから、この点も一つの特徴です。
利用者にとって、安心して取引を行うことができそうです。
申込方法については、東京三菱UFJに普通預金口座を持っている場合は、そこに資金を入金し、贈与を受ける人の候補を添えて申し込みを行います。
申込は、郵送でも店頭でも行うことができます。贈与を受けた人には専用通帳が発行されます。

みずほ信託銀行 : 暦年贈与型信託(想いの贈りもの)

「想いの贈り物」はみずほ信託銀行の商品です。
先に紹介した銀行の商品と同様、元本の保証と手数料の無料が主な特徴になります。
例えば、広島銀行の「〈ひろぎん〉想いつづく信託」であれば信託財産の1.62%が管理手数料としてかかりますから、手数料の有無は是非確認したいところです。
先の「おくるしあわせ」については預入金額の上限は3,300万円です。「想いの贈り物」預入金額の上限につき明記がありませんので、贈与先が多く、総額が大きくなる場合は使いやすいかもしれません。

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暦年贈与信託とは。メリット・デメリットと主な暦年贈与信託の商品をご紹介のまとめ

暦年贈与信託について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。贈与や相続の場面では大きなお金が動くことが多く、その納税額も莫大な金額になります。贈与の方法やタイミングにより手元にのこるお金が大きく変わることがお分かりいただけたと思います。また、金額も大きく、期間も長期となることが多いためリスクもあります。このリスクと上手に付き合う方法が大切なのではないでしょうか。今回、暦年課税における基礎控除という基本的な仕組みを利用した節税商品が登場しました。これを機会にぜひ検討してみるとよいでしょう。ただし、あくまでも税制適格につき銀行が保証するわけではないことに注意してください。

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