京都のある店では一見さんお断りをお願いしているところがあります。有名な総理大臣、有名企業の社長、名の知れた著名人さえも断られた噂があるのが一見さんお断りのお店です。
そもそも、一見さんお断りにはどんな意味があるのでしょうか。また、本当に一見さんお断りの仕組みがあるのかどうかもご紹介します。
一見さんお断りのお店に行った時の入り方、対処法をまとめてあるのでぜひ参考にしてください。一見さんお断りは不評かどうかも見ていきましょう。
知らずに行って恥をかいてしまわないようにしましょう。特にビジネスの接待シーンでは問題になってしまうので気をつけてください。
一見さんお断りとは?意味は?
一見さんとはお店に一度も来たことがなく面識がない人のことです。一見さんお断りはそういた人がお店に入るのを断る行為です。
一言さんお断りは主に京都にある仕組みです。祇園や先斗町といった花街にあるお茶屋さんが取り入れているシステムです。
はじめての人は紹介がないと入店することができない一見さんお断りの仕組みを聞くと、敷居が高い、お高くとまっているなどの印象を抱きます。しかし、一見さんお断りの仕組みは排他的な意味を持っているわけではありません。また、格式を重んじているだけでもありません。
一見さんお断りの仕組みは実に合理的な仕組みです。この仕組みを理解するためには花街のビジネスことを知る必要があります。
花街ははなまちと読むのではなく、かがいと読むことを覚えておいてください。この花街のビジネスの仕組みを理解すると一見さんお断りの仕組みも理解することができます。
一見さんお断りの店って本当にあるの?
一見さんお断りのお店は東京にも何店舗かあります。完全に紹介制なので容易に入ることができません。一流企業の社長などが接待で使うようなお店だからです。
また、予約をしようにもホームページに電話番号が記載されてない場合もあります。予約を取る方法が不明なお店はなかなか足を運ぶことができません。
多くの人は祇園あたりにある有名な料亭や割烹料理屋を表現する際に一見さんお断りと言います。紹介者がいない状態で初めてお店に訪れると断られてしまうことです。
しかし、一見さんお断りのシステムはあるようでないものだと言われています。基本的に予約制なので、電話で予約する際に「雑誌の紹介記事を見て予約したい」「評判を聞いて席を取りたい」と伝えればほとんどの料亭や割烹料理屋は受け入れてくれます。
しかし京都の祇園や先斗町にある花街では一見さんお断りのシステムを貫いています。信頼関係をもとにしているからです。そのため、一見さんをお断りするのは当然なんです。
なぜ一見さんお断りなのか?
理由①:信頼関係で成り立つビジネスだから
京都にあるお茶屋は貸席業です。お茶屋は料理や飲み物の代金、芸舞妓さんへのお花代を立て替えて支払います。
お茶屋のあとに飲み屋に行きたいという希望があればスナックを紹介したりもしてくれます。馴染みの客ともなれば、タクシーや新幹線代も立て替えてくれる場合もあります。
お茶屋ではその場で現金を支払ってもらうのではなくツケにするので信頼関係がなければやっていけません。
理由②:常連客をつくるため
一見さんお断りにするのは常連客をつくるためです。贔屓にしてくれるお客を確保することでお店を守っていきます。
常連客をつくるためには一人一人に細やかなサービスをしなければ心を掴むことができません。そのため、一見さんお断りのシステムはお客さんの心を掴むことができます。
気軽に入ることのできるお店が多い中、一見さんお断りのシステムを取り入れていくお店を存続させていくためには様々な工夫が必要です。様々な工夫を取り入れてやっていくのでよりよいサービスを提供できるようになります。
理由③:極端に客層をしぼるため
お店に来る客層を極端にしぼる目的を持って一見さんお断りのシステムを取り入れているお店もあります。お店側がお客を選ぶという意味です。
客層を極端にしぼることによってお店の雰囲気を保つことができます。また、お店に来るお客さんや働くスタッフなどがストレスを感じることのない空間をつくることもできます。
お金は持っているけれどマナーを持っていな人も多くいます。一見さんお断りのシステムはこういった人を避ける目的も持っています。
理由④:特別な空間を用意するため
一見さんお断りの仕組みを取り入れているお店には特別な空間があります。特別な空間で食事をすることで人々は幸福感を得ることができます。
特別な場所を用意してくれるお店は一定の人にとってはとても必要な場所です。特に接待をしなければならない時、大衆が集うようなお店よりも一見さんお断りのお店のような厳かな雰囲気の場所の方が好まれます。
一見さんお断りの仕組みとは
京都の花街の仕組みについてご紹介します。花街のシステムを知ると一見さんお断りであることを理解することができます。
京都のお茶屋の女将をマネージャーと考えると分かりやすいです。料理はお茶屋で作らずに料亭などから取り寄せ、芸妓さんや舞妓さんを置屋から呼び出します。
お客様に合わせて料理や芸舞妓さんを選び、満足してもらうように手配をします。お客さんが楽しむ場所をマネージメントするのがお茶屋の役目です。お茶屋、料理屋、置屋の3つで成り立っているので花街は三業地と呼ばれています。
普通の飲食業店であれば人が来れば来るほどお金の出入りがあるので規制をすることはありません。しかし花街のお茶屋はシステムそのものが普通の飲食業店とは異なっています。
大勢の人を呼び込みたいのではなく、一人一人の常連客と長く付き合っていくことを大切にしています。常連客との信頼関係を結ぶことがお茶屋の目的です。
お茶屋は手配した料理、芸舞妓への料金を立て替えて支払います。また、馴染みの深いお客さんには交通費も手配します。
お茶屋はツケ払いが基本なので、踏み倒すようなことをしない信頼できる相手をお客にしなければなりません。一見さんお断りは合理的な仕組みです。京都の花街ではクレジットカード会社が重要視する信用条件ではなく、お客さんの顔が信用条件です。
一見さんを断るのは信頼度がない人を避ける理由もありますが、情報のないお客さんだとどうやっておもてなししたらいいか分からないからです。一見さんのことも考えています。
一見さんお断りの店への入り方
①:お店に通っている知人に紹介してもらう
一番ベストな方法は一見さんお断りの店に通っている知人に紹介してもらうことです。すでに常連客の人の知人であれば信用度が高いからです。行きたいお店があれば常連客として通っている人を探すことをしましょう。
重要なのはお店に行った時、また次も来てもいいか聞くことです。そこで了承を得ることができれば一見さんではなくなり、次もお店に入ることができるようになります。
②:高級ホテルや旅館に紹介してもらう
行きたいお店に通っている知人に紹介してもらうことがベストですが、なかなか難しいのが現実です。そんな時は高級ホテルや旅館に紹介してもらう方法があります。
高級ホテルや旅館などでは花街のお茶屋とつながっているところもあります。しかし、事前にお茶屋に紹介してもらうことができるかどうかを確認しておくことが必要です。
一見さんお断りのお店は信用で成り立っています。信用できる人の紹介でなければお店に足を入れることができません。
③:何度も通って顔を覚えてもらう
熱意をもって何度も通うことで顔を覚えてもらいお店に入れてもらう方法もあります。この方法は熱意がある方だけにおすすめの方法です。
とある男性がずっと行きたいと考えていたお店に訪ねて門をたたきましたが当然断られました。数日後再び訪れた時「一見ではないので入れてください」とお願いしても断られてしまいました。
その後も身分を明かしながら通いつめたことで入れてもらったケースもあります。入ることができたとはいえ、ハートの強さがなければできない方法です。
④:電話をかけて予約を取る
一見さんお断りだと思っているお店でも実は入ることができる可能性もあります。まずは電話をかけて予約を取ってみることをおすすめします。
雑誌の紹介記事を読んで電話した、知人から紹介されてぜひ行ってみたいという旨を伝えれば入れることができる可能性もあります。行きたいお店があれば諦めずにアプローチしてみることをおすすめします。
入ったところが一見さんお断りの店だったら?対処法は?
対処法①:いったん電話で確認をする
入ったお店が一見さんお断りだった場合はいったん電話で確認をしましょう。格式の高いお店の場合は予約必須であることがほとんどです。運が良ければ電話をした時に予約をとることができるでしょう。
ほとんどの場合、飛び込みで行って入ることは難しいです。そのため、あらかじめきちんと電話で予約をとっておくことが必要です。
特に誰かを接待する場合などは相手の時間を無駄にしないためにも予約をすることが必須です。
対処法②:お店に通う知り合いに掛け合ってもらう
一見さんお断りで入ることができなかったときはお店に通う知り合いに連絡をして掛け合ってもらいましょう。信用のある知人を仲介することでお店に入れてもらえることもあります。
しかし、一見さんの場合は知り合いに同伴してもらって行く事が無難です。一見さんお断りのお店は信用第一です。信頼できる知人の顔を借りることでスムーズに通してもらえます。
知人がその場におらず同伴してもらえない場合、お店に入ることが難しいこともあります。そのくらいお客さんとの信頼関係を大切にしています。
お金の支払い云々の信頼関係だけでなく、店側がお客さんにおもてなしできないことを避けるためです。一見さんのことも気遣っているからこそ断っています。
対処法③:もう一度お願いしてみる
はじめて行った店が一見さんお断りのお店だった場合もう一度お願いして入れてもらったという人もいます。これは稀なケースなので全員が使える対処法ではないことを知っておいてください。
一度断られたお店に間髪入れずもう一度訪れ「先ほど顔を覚えてもらったはずなので一見ではありません」と言い張って入れてもらったという強者のケースもあります。しかし、これが通用するお店はほとんどないと言ってもいいでしょう。
一見さんお断りのお店は正規のルートで入ることでお互いに気持ちのいい時間を過ごすことができます。
対処法④:すっぱり諦めて他の店を探すのもマナー
訪れたお店が一見さんお断りのお店だった場合すっぱりと諦めて他の店を探すのも大人のマナーです。一見さんお断りのシステムは、常連さんも一見さんのことも大切に思っての仕組みです。
一見さんをお断りのお店は、情報もない一見さんが満足してもらうためにはどうやっておもてなしをしたらいいのか分かりません。満足してもらえないのにお客さんをお店に入れては失礼であると考えています。
特に京都の花街のお茶屋では古くからの伝統を大切に守っています。日本独自の文化を守るために、諦めて出直すことも大人のマナーです。
大人のマナーをわきまえている人でなければ、一見さんお断りのお店に足を踏み入れることは控えた方がいいでしょう。
一見さんお断りってかなりの不評?
一見さんお断りの響きは他者を寄せ付けない冷たい響きを持っています。そのため、一見さんお断りの本当の意味を知らない人には不評です。
京都に冷たいイメージを持っている人たちは本当の意味を知らない人が多い傾向にあります。しかし、一見さんお断りのシステムは合理的でお客さんのことを思っているものだと知っている人もいます。
しかし最近では一般の営業形態にうつしているお店も増えています。以前は一見さんお断りだったお店も電話予約ができるようになっています。
格式の高そうな店だから避けるのではなく、電話などで問い合わせて確認をするといいでしょう。
一見さんお断りは合理的な仕組み
いかがでしたでしょうか。今回は一見さんお断りについて詳しくご紹介をしてきました。
一見さんお断りのお店は東京にもありますが、イメージが強いのは京都です。特に京都の花街では一見さんお断りを貫いているお茶屋さんがあります。
一見さんお断りと聞くと冷たいイメージを抱きます。排他的で選ばれた人しか行くことができないと捉えてしまうからです。
しかし一見さんお断りのシステムは合理的です。信頼関係のある人をお客にすることで成り立って行くビジネスだからです。また、お客さんに満足の行くおもてなしをするためのシステムでもあります。
一見さんお断りのお店に行きたいときはご紹介した方法を参考にしてください。お店との信頼を築くことが重要です。