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2017/05/30

民泊新法を前に撤退者が続出?住宅地への「許可」をめぐる理由とは?

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住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法の閣議決定を経て、国会審議が進んでいます。一時期メディアに報じられず、関係者からはフラストレーションが聞こえていましたが、少しずつ施行のタイミングが聞かれるようになってきました。このままの流れでは、2017年の年末か2018年に新法下での民泊事業が開始する見込み。

「今後の民泊は新章」という声がある一方、法律の特徴を見て民泊から撤退をする投資家も増えているという話もあります。

東京オリンピックに向けて、民泊は欠かすことのできない時流です。国外からの利用者が多い印象がありますが、日本人の国内旅行においても広く支持を得ています。既に民泊事業を始めている人、これから民泊事業を開始したいと思っている人は、民泊をめぐる環境の変化についていっているでしょうか。

民泊はこれまでのような「気軽な取り組み」ではなくなる?

新法の施行により、民泊をめぐる状況は大きく変わります。現在の特徴である、事業ありきの気軽な取り組みではなくなってくる、ともいえます。現時点で民泊新法に含まれるとみられている内容は以下のような部分です。

<2017年5月現在導入すると見られている民泊新法の特徴>
都道府県知事への届出が必要になる
年間提供日数の上限は180日
条例による制限で180日上限を制限する(短縮化する)条例を制定可能とする
家主不在型の物件については、民泊仲介会社への委託を義務付け

これまでの民泊の特徴は、まずアメリカのAirbnb(エアビーアンドビー)の事業モデルが日本に上陸し、実際に民泊で「稼げる」物件オーナーが増えていきました。一方で近隣住民とのあいだで騒音問題が発生し、国はそれまでホテルや旅館業を管理監督する法律だった「旅館業法」の定義を民泊用に変えることによって、拡大していた民泊を許可申請制としています。

<下に続く>

現時点での民泊は許可申請制?

現時点(2017年夏現在)、民泊は許可申請制です。原則はこの旅館業法にもとづいて行政へ許可申請を行い、認可された場合「のみ」民泊事業を行うことができます。ただ、例外が「国家戦略特区(民泊特区)」で、自治体に民泊事業の申請をすることにより、認められるというものです。当初は「民泊は最低6泊7日以上とする」という非現実的な縛りがあったものの、2016年秋以降、「2泊3日以上」に短縮化されることによって、申請価値が上昇しました。大阪市や東京都大田区などが特区の代表格です。

言い換えれば、これ以外の民泊事業は法令違反。行政機関も公式ページにて、「旅館業法にもとづく許可のない民泊事業は法令違反」と、はっきりと明記しています。これはどの自治体も同じ。

民泊サービスについて

<下に続く>

民泊新法は既存の法制度に追加?

この現状が、民泊新法で、民泊制度は「全面解禁」とはなります。ただ、それは現在の旅館業法と国家戦略特区の対象外となっている物件に対し、民泊新法が対象とする、という意味です。つまり、今後民泊事業を開始する人は、自分の物件がどの許可体制なのかを明確にしておかないと、思わぬつまづきに悩むことになるでしょう。

最近、民泊新法の施行について、ある専門家に話を聞く機会がありました。その専門家は民泊新法について、「いっけん全面解禁だと騒がれているが、今までが法にもとづいて対応されてこなかっただけ。行政の管理下となると民泊事業に負担感を感じ、徹底する事業者も増えてくるだろう」と論じていました。法律が後から制定されたこともあり、旅館業法や行政特区の対象外でも厳しく取り締まられていないこと(取り締まられていてもメディア等で報じられないこと)が背景にあると思います。

確かに民泊解禁を追い風と解釈していたものの、思わぬ手続きの煩雑さに撤退する人は一時的にせよ目立つのかもしれません。ただ、民泊事業者だけではなく近隣住民、そして他ならぬ民泊の利用者を保護するために、今回の法律は重要なもの。

現在民泊事業で成果を出している人は、国家審議の続く民泊新法の行く末と合わせて、自身の事業がどのような定義になっていくのかを今一度確認するようにしましょう。一言に「許可」といっても、申請書類、必要書類の煩雑さから、許認可が下りるまでの期間まで予想と違うこともあるかもしれません。

<下に続く>

民泊新法を前に撤退者が続出?住宅地への「許可」をめぐる理由とは?のまとめ

最近は競争力の高くなってきた民泊に際し、金融機関からリフォームローンを借りて取り組む人が増えていると聞きます。借入金が発生するならば既にそれは「事業」です。想定より数か月事業が遅れるとつまづくどころか。事業継続自体が苦しくなってしまうことも。

まさに民泊は過渡期に入ります。そこで不透明さが多いから二の足を踏むか、それとも先行者利益を狙えるかはその人の考え方次第。情報をキャッチアップして、取り組んでいきたいものですね。

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written by

FP-MYS代表取締役社長兼CEO。
ファイナンシャルプランニング(FP)を通じ、Fintech領域のリテラシーを向上させたい個人や、FP領域を活用してFintechビジネスを検討する法人のアドバイザーやプロダクト支援に携わる。
Fintechベンチャー集積拠点FINOLAB(フィノラボ)入居。執筆実績多数。

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