お金のコトをもっと身近に|みんかね

「お金」から見た働き方改革②~個人事業主ではなく「会社」を作ることも選択肢?

Large man 2140606 640
目次

2017年は副業「元年」といわれています。副業先には正社員やアルバイトなどの形態で給与所得を貰うか。報酬(雑所得)などの形態にして個人事業主として売上を計上するか。現在、「副業」といえばどちらかをイメージする人が多いでしょう。ただ、ここにもう一つの方法があります。それは、会社をつくることです。

会社をつくるのは誰でもできる?

「法人成り」という言葉があります。個人事業主として働いていて、一定の規模まで拡大すると法人(会社)を設立するという意味です。個人事業主と法人の両者は税務上の考え方が違うため、本来は区別する税務会計畑の言葉でした。ベンチャー起業の流れにのり、最近は個人事業主に対して「次のステップ」を意味するようにもなりました。

ところが、副業を給与形態「以外」で受ける場合、最初から「〇〇株式会社」を設立する方法があります。それぞれの設立方法を見てみましょう。

個人事業主設立

事業所最寄りの税務署に「個人事業開業届」を提出するだけです。A4の紙1枚で、内容に対する審査もほとんどありません。気をつけたいのは、税務上優遇措置のある「青色申告」を必ず申請していただきたいこと。青色を申請すると、複式簿記の会計処理が義務づけられます。特に費用はかかりません。個人事業主を設立した人の多くが「もっと数万円がかかるものと思った」といいますが、実際は無料で手続きが進みます(ホームページや名刺を作る場合は、当然相応の費用がかかります)。

複式簿記と聞いて、「簿記なんて勉強したことない」と心配することはありません。ここで活用するのが、弥生やfreee、moneyforwardといった会社の「クラウド型会計ソフト」です。会計ソフトは売上がどれくらい入ったか、対して費用をどれくらい使ったかにより、自動的に青色申告に基づく申告書を作成してくれます。不慣れな方には会計帳簿と聞くと値段の高いパッケージソフトを想定しますが、実際はIDとパスワードを発行してすぐに開始できるものです。

法人(会社)設立

法人設立は設立届を提出し、役員は就任届を提出します。特徴的なのは、ここに定款と登記が必要となることです。以前まで法人は資本金(会社の原資)1000万円がなければ設立できなかったのですが、法律の改正により1年での会社設立が可能になりました。

定款とは、その会社が行う事業を箇条書きにしたものを中心に、本店の場所や取締役の氏名などを記載したもの。いわば会社の公的証明になります。本店や取締役は定款のほか、法務局に「登記」という形で登録することが義務付けられています。このあたりは自分自身でも行うことはできますが、会社設立の専門家である司法書士に依頼する人が多いです。司法書士に依頼すると、一連の手続きを約30万円前後で行うことができます。

会計処理については従業員の増えた会社だと年金加入など、個人事業主と多くの違いが生まれます。ただ、一人で会社を興す場合は、ほぼ変わりません。個人事業主の費用を「損金」と呼ぶようになることと、交際費が年800万円と上限額が導入されます、また、納付する税金も所得税・個人事業税から法人税へと変わります。

社長など役員については、会社からの給料を役員報酬として受け取り、個人事業主と同じく確定申告を行う義務があります。

法人成りは目安として、課税所得が800万円以上であれば個人の所得税(累進課税)よりも法人への法人税(二段階方式)のため、法人のメリットがあるといわれます。ただ、副業として事業を行う場合、法人にすることで税務面以外のメリットも目立ちます。

<下に続く>

会社を設立する税務上以外のメリット

何よりも大きいものは信用です。筆者も開業後、個人事業主を1年間経て法人化しましたは、正直なところ事業所得は年800万円に到達していませんでした。ところが法人成りのあと、それまでお仕事のお誘いがなかった大企業や、ホームページなどを通した直接面識のない会社さまなどからお仕事を頂くようになりました。

今後世の中は急速に副業が推奨されるようになるでしょう。国が音頭を取っているため、きわめてスピードも速いと考えられます。そのときに会社を持っているということは、副業に対しても責任を負うということを意味します。

当たり前の話ですが、仕事の依頼先は副業だからといってクオリティの低下を許すものではありません。その時に法人を構えていることは、「副業にもしっかりと取り組んでいます」というメッセージにもなります。

会社を設立すると将来の勉強にもなる?

副業をして会計処理を覚えると、「起業心」が高まってきます。その勉強のためにも法人経営をしていることは役に立ちますし、会社員としても経理などバックグラウンドの観方、しいては経営者の観方を覚えることはとてもプラスになると思います。そのような将来の勉強のために、働き改革の波が訪れるこのタイミングで、「会社」を作ってみるのはいかがでしょうか。

Thumb %e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88 2017 05 09 17.10.10
written by
FP-MYS代表取締役社長兼CEO。 ファイナンシャルプランニング(FP)を通じ、Fintech領域のリテラシーを向上させたい個人や、FP領域を活用してFintechビジネスを検討する法人のアドバイザーやプロダクト支援に携わる。 Fintechベンチャー集積拠点FINOLAB(フィノラボ)入居。執筆実績多数。
関連記事
おすすめ記事