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大手証券マンが教える投資信託の分配金の仕組みと正しく投信を選ぶために大切な目線

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目次

投資信託の分配金とは

分配金とは、投資信託の分配対象額とよばれる資金の中から、決算に応じて投信の保有者に支払われるもののことをいいます。
投信には毎月決算があり毎月分配金が支払われる毎月分配金型・年2回決算が行われ、その時の運用成績によって支払われるものなど多種多様です。ここでいう「決算」とは、投資信託の資産・負債を計算して財務内容や財務状況を明らかにすることを言います。決算の結果、運用している投資信託の収益が出ている場合は、収益の一部が「分配金」として保有者に支払われることになります。

普通分配金と特別分配金

分配金を受け取った際、普通分配金・特別分配金のどちらで受け取っているのか確認しましょう。
その際、「個別元本」をあわせてチェックする必要があります。
個別元本とは、投信を購入した際に算出される平均取得元本です。
次の例をご参考下さい。

例)
①Aさんは“さくら投信”を10,000円の基準価額で購入
個別元本は10,000円です(手数料は含みません)。

②その後分配金を1,000円受け取り、決算時の基準価額は11,500円でした
個別元本は10,000円のままです。
理由:決算時の基準価額が①よりも上昇しているため(利益が出ているため)。分配金は普通分配金になります。

③さらにその後、分配金を1,000円受け取りましたが、決算時の基準価額は8,500円に
個別元本は9,000円になります。
理由:決算時の基準価額は前回の決算時②よりも下落しており(損失が出ているため)、②の個別元本から今回支払われる分配金1,000円が元本の払い戻しとみなされるため。
(②決算時の個別元本10,000円)-(③決算時の分配金1,000円)=個別元本9,000円。

元本払戻金(当別分配金)と普通分配金の計算式

直近取引後の個別元本-決算日の基準価額=元本払戻金(特別分配金)
税引前分配金-元本払戻金(特別分配金)=普通分配金

個別元本の計算式

((直近取引後の個別元本-元本払戻金(特別分配金))×(直近取引後の保有口数)+(基準価額×取引口数))÷取引後の保有口数=個別元本

運用する中でこのような計算が都度されていきます。
「分配金が支払われているから安心」するのではなく、基準価額の推移に加え分配金をどのような状態で受け取っているのかも確認することが大切です。

ここで押えておきたいポイント!
「決算日の基準価額(分配金落ち後)≧個別元本」の場合は普通分配金
「決算日の基準価額(分配金落ち後)<個別元本」の場合は(普通分配金+特別分配金)
※普通分配金がゼロで全額が特別分配金となるケースがあります

<下に続く>

分配金の決定方法

さて、分配金の基本的なところを理解した次は、分配金のもとになっている原資の考え方を押えていきましょう。

投資信託の分配金は「分配方針」に基づいて「分配対象額」の範囲で運用会社が決定します。
分配方針は、投資信託説明書(目論見書)で確認することができます。

次のような書き方で目論見書に記されています。

例)
◆毎月○日(休業日の場合は翌営業日)に決算を行い、収益分配方針に基づいて分配を行います。

収益分配方針
・分配対象額の範囲は、経費控除後の配当等収益と売買益(①)(評価益を含みます。)等(②)の全額とします。
・委託会社が基準価額水準・市場動向等を勘案して、利子・配当収入を中心に分配金額を決定します。

① 当期の運用収益は「配当等収益」と「売買益(評価益を含む)」の2つに分けることができます。
② 経費控除後の配当等収益と売買益(評価益を含む)以外にも分配対象額があることを示しています。

つまり、実際に投資対象が生んだ配当収益や売買益以外の部分から分配金が支払われることがあることをこのような文章で示されています。
配当収益や売買益以外の部分から支払われている金額が多くなっている分配金がいわゆる「タコ足」と言われているものです。
タコ足=自分の足を食う=収益は出ていないが、自分が投資した資金から分配金が支払われている状況。

気をつけよう、タコ足ファンド

タコ足と呼ばれるファンドは数多くあります。毎月分配型ファンドでよく見受けられます。
投信を購入する前に、目論見書や運用報告書に記されている「分配原資の内訳」をチェックするようにしましょう。
見方は次のとおりです。

分配原資の内訳

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当期分配金=各決算時に支払われた金額
当期の収益=「配当等収益」と「売買益(評価益を含む)」
当期の収益以外=実際に稼いでない部分(投資した元本から支払われてしまっている部分)
です。

目論見書や運用報告書は、インターネットで当該投信を検索すれば簡単に閲覧することができます。購入する前には一度確認するようにするといいでしょう。

分配原資はいくらありますか?分配対象額とは?

「ファンドの分配原資はいくらなの?」という質問をお客様から受けることがあります。
保有している投信の分配金の状況を知りたいというお考えからです。
多くの場合、運用報告書に記載されている「翌期繰越分配金額」についてのお問い合わせです。
金融機関の営業員は運用方向書に記載されている金額をお答えしますが、場合によっては注意が必要です。

どのような場合に注意が必要か

分配対象額が基準価額を上回っている場合です。

分配金は基準価額の中から支払われます。
例えば、基準価額が3,000円で、分配対象額5,000円、毎月100円の分配金が出ている投信があったとします(実際に、分配対象額が基準価額を上回っている投信は存在します。)。
この投資信託は5,000円÷100円=50なので50ヶ月分の分配金原資があるということでしょうか。違いますよね、もう一度言います、分配金は基準価額の中から支払われているので、全額支払ったとしても3,000円分しかないのです。基準価額以上の金額を分配するのは不可能です。

分配対象額とは

分配対象額とは何の額なのか?中身は4つの項目で構成されています。
① 配当等収益(経費控除後)
② 有価証券売買益・評価益(経費控除後)
③ 分配準備積立金
④ 収益調整金

①と②は言葉の通り、当期に発生した収益、③と④は当期収益ではなく設定来の過去における留保収益等です。③の分配準備積立金は、①と②の収益のうち、分配せずに貯めたもの(留保)で次回以降の分配金のために積み立てたものです。④の収益調整金は、新たな投資家による追加設定(自分以外にも投信をあとから買い付けてくる分)で全体の口数が増加することに対し、既存の保有者の分配対象額が希薄化しないようにするための調整金です。
運用で得た収益ではなく、追加設定児の払込金額の一部が計上される勘定部分です。

分配対象額は基準価額が下落しても減らないので、分配対象額が基準価格を上回る場合もあります。「分配対象額」とはあくまで投信会計上の勘定の一つであるということを認識しておきましょう。

<下に続く>

大手証券マンが教える投資信託の分配金の仕組みと正しく投信を選ぶために大切な目線のまとめ

投資信託を購入する際に、こうした分配金のところは購入条件の一つに挙げられるでしょう。
多くの投資家は、投資した金額に対して毎月(定期的に)受け取れる分配金に魅力を感じるのだと思います。年1回や年2回決算の投信の場合は、投資対象の値上がり益や配当収益を分配することが多いため、さほど気にする必要性は小さいといえます。
一方、毎月分配型投信を購入する際には過去の運用報告書を参照し、当該投信がどれくらい稼ぐ力があるのかを確認することを怠らないようにしましょう。
そうすることで、中長期運用する上で運用成績が分配金のせいで伸びないという残念な結果を避けるための判断の助けになります。
 
いかがでしたでしょうか。既に運用をしている方もこれから始めようとお考えの方も、大切な資産を運用をする上で「分配金」を正しく理解し、銘柄選定の参考になればと思います。

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