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2018/06/09

インドの公用語は?22の指定言語とインド社会の言語問題

インドと言えばヒンドゥー教の国という印象が強いですが、そのインドの公用語と言えば何だったでしょうか?
ましてや22の指定言語とはどんな言語のことなのでしょうか?

それらが一体何なのかを調べていきながらインド社会の言語問題について、改めて考えていきます。
私たちの日本にも参考にできる部分もありそうです。

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目次

インドの公用語は?

インドの公用語はヒンディー語です。
「ヒンドゥー語」「ヒンズー語」などの呼び方をする人がいますが、それは間違いです。

「ヒンドゥー」は「ヒンドゥー教」という宗教を表すもので、「ヒンディー」は「ヒンドゥー」の形容詞で「ヒンディー語」としか使いません。
また、ヒンディー語が公用語だからといってインドの全域で使えるかというとそれも違います。

ヒンディー語はインドの北部を中心に使われている言語です。
インドの憲法の第343条で「インドにおける連邦政府レベルでの唯一の公用語はデーヴァナーガリー表記のヒンディー語である」と明記されています。

<下に続く>

インドの準公用語は?

続いてインドの準公用語はインド英語と呼ばれるものです。
それは、19世紀後半~20世紀半ばのイギリスの統治下にあったことに関係しています。

その際に日本軍約7万8000人とインド国民軍約2万人の日印連合軍によるインパール作戦、のちに対英インド独立戦争とも呼ばれる大規模な暴動の終結までイギリスが統治していました。
そして正式には1947年8月15日に独立をしています。

そういった名残としてインド英語が準公用語として残っているのです。
また、インド英語というのは南アジアの旧イギリス領で話される方言であるからです。

しかし、アメリカ英語の次に話す人が多いといいます。

<下に続く>

インドの指定言語

正式には憲法第8附則指定言語といい、地域別に公用語として指定されている言葉のことす。
当初は14言語でしたが、徐々に増えて、現在は22言語となっています。
(1)アッサム語(アッサム州)
(2)ベンガル語(西ベンガル州、トリプラ州)
(3)グジャラート語(ダードラーとグジャラート州、ナガル・ハヴェーリー連邦直轄地域、ダマン・ディーウ連邦直轄地域)
(4)ヒンディー語(チャッティースガル州、ビハール州、チャンディーガル連邦直轄地域、アンダマン・ニコバル諸島連邦直轄地域、デリー首都圏、ハリヤーナー州、ヒマーチャル・プラデーシュ州、ジャールカンド州、マディヤ・プラデーシュ州、ラージャスターン州、ウッタル・プラデーシュ州、ウッタラーカンド州)
(5)カンナダ語(カルナータカ州)
(6)カシミール語(ジャンムー・カシミール州西部)
(7)マラヤーラム語(ゴア州)
(8)マラーティー語(インドビハール州)
(9)オリヤー語
(10)パンジャーブ語(パンジャーブ州、デリー首都圏)
(11)サンスクリット語
(12)タミル語(タミル・ナードゥ州、ポンディシェリ連邦直轄地域)
(13)テルグ語(アーンドラ・プラデーシュ州、テランガーナ州タミル・ナードゥ州、カルナータカ州)
(14)ウルドゥー語(アーンドラ・プラデーシュ州、ビハール州、デリー首都圏、ジャンムー・カシミール州、ジャールカンド州、ウッタル・プラデーシュ州)
(15)シンド語(1967年に追加されました)

1992年には下記の3言語が追加されました。
(16)ネパール語(シッキム州)
(17)コンカニ語(ゴア州)
(18)マニプル語(マニプル州)

また、2003年にも下記の4言語が追加され、全部で22言語となりました。
(19)マイティリー語(インドビハール州)
(20)ドーグリー語(ジャンムー・カシミール州のジャンムー地域、パンジャーブ地域、ヒマーチャル・プラデーシュ州、カシミール地域)
(21)サンタル語(ジャールカンド州、アッサム州、ビハール州、オリッサ州、トリプラ州、西ベンガル州)
(22)ボド語(アッサム州ボド族)

<下に続く>

インドにの主要言語の話者の割合

民族衣装をまとう少女

  1. ヒンディー語
  2. ベンガル語
  3. テルグ語
  4. マラーティー語
  5. タミル語
  6. ウルドゥー語

言語①:ヒンディー語(約39.8%)2億5,800万人

先ほども述べた通り、ヒンディー語はインドの公用語です。
アラビア語、ペルシア語の言葉が多く使われており、現在ではインド英語の影響も強く受けています。

インドでは憲法351条にてその普及に努めることを義務としており、ヒンディー語を唯一の公用語とする動きもありました。
しかし、特に南部にてそれに反対する大きな暴動が起き、1963年にインド英語を準公用語とすることになりました。

有名なマハトマ・ガンジーも英語でスピーチしていました。

言語②:ベンガル語(約8.2%)8,250万人

その名の通り、ベンガル人が話す言語で、世界中では2億人から3億人が話し、世界では7番目に多く話されている言語でもあります。
インドでは先に述べた通り、西ベンガル州、トリプラ州で話されています。

19世紀から20世紀初頭に書き言葉としてのベンガル語はインドのベンガル地方の中央部よりやや西のナディーヤー地方と呼ばれる地域の言葉を基礎として発展しました。
しかし、当時インドではイギリスの統治下にあり、使用を禁止されていたため、主に書き言葉としての発展でした。

言語③:テルグ語(約7.8%)7,380万人

テルグ語は南インドの大穀倉地帯で話され、米を主食としているあたりは文化的にも日本に近いといいます。
「米」「稲」などが独立した単語としてあることやお米の一粒ごとに女神が宿っているという信仰、お米が富の象徴になっている点も日本の文化に近いですね。

言語④:マラーティー語(約7.4%)7,170万人

マラーティー語は、公用語としているマハーラーシュートラ州だけでなく、隣接のゴア州、グジャラート州、アーンドラ・プラデーシュ州などでも話者がいます。
10世紀の頃からカルナータカ州にあるジャイナ教神殿の神像に彫られていました。

詩人が民族の信仰の詩をこのマラーティー語でうたった為洗練されていきました。
14世紀にはイスラーム教のスルターン朝が西インドにでき、ペルシア語やアラビア語の影響を受けました。

17世紀の中頃から後期、マラーター王国が成立した後にマラーティー語を民族の言語の中心とすることを主張した民衆運動が起きました。
やがて、首都近郊を中心にマラーティー語の標準化するようになりました。

言語⑤:タミル語(約6.3%)6,070万人

南インドのタミル人の使う言語で、世界で18番目に多くの人が使う言語です。
同じ系統のマラヤーラム語と極めて近いが、サンスクリット語の影響を受けていないため、一つ一つの単語が違っていて意思疎通がしにくくなっています。

1998年に日本でも大ヒットした映画『ムトゥ 踊るマハラジャ』でも使われていた言語です。
ドラヴィダ語族に属する言語で、ドラヴィダ語族に書かれた言語の中では最も古い言葉です。

現存する文献の中でも最古のものは、紀元前後にまでさかのぼるとも言われています。

言語⑥:ウルドゥー語(約5.1%)5,150万人

12世紀から13世紀頃、西北インドへのイスラム教徒の侵入が増えました。
それに伴って、デリーの近辺のカリーボーリー方言にペルシャ語、アラビア語の言葉が影響してできたと言われています。

14世紀にデカン高原にイスラム王朝が作られると、王朝でもこの言語が使われました。
16世紀初頭にはムガル朝が成立つすると、ペルシア語とともに宮廷で使われてさらに発達し、「ザバーネ・ウルドゥーエ・ムアラーエ・シャージャハーナーバード」(シャージャハーナーバードの高貴な人々の言葉)と呼ばれました。

18世紀以降にはムガル朝が衰退すると、短く「ウルドゥー語」という呼び名になりました。

<下に続く>

インド社会が抱える言語・公用語問題

  1. 22の指定言語の他に2000の方言
  2. 学校では3言語以上を習得する必要性
  3. ヒンディー語を話せる人に有利な体制への反発
  4. 地域によって話す言葉がまったく異なる
  5. 書く文字が異なる
  6. インド英語の教育
  7. 識字率の低さ
  8. 話す人が少数の言語の困難さ

インド社会が抱える言語問題①:22の指定言語の他に2000の方言

インドでは、「15マイル行けば方言が変わり、25マイル行けばカレーの味が変わる。100マイル行けば言葉が変わる」ということわざがあるといいます(1マイルが1.6km)。
つまり、憲法第8付則に書かれている22の言語の他に、インド人でも数え切れないほどの1000~2000あまりの方言があります。

そのため、ヒンディー語を話すことができたとしても、インド人の全員と話せるかというと、先に述べた通りヒンディー語を話す人はインド全体の40%弱にすぎず、公用語とは言っても半分以上の人には通じないのです。

インド社会が抱える言語問題②:学校では3言語以上を習得することが必要

学校では、公用語のヒンディー語とインド英語の他に自分の地域の公用言語または母語を覚える形になり、最低3言語は学ばなくてはなりません。
ちなみにヒンディー語を母語としている地域では、その他の言葉を学びます。

また、高等教育となると、インド英語がすべての教育のための用語として使われます。
地域によっては初等教育からインド英語で授業を行う地域もあり、その他の言語に比べてインド英語の方がコミュニケーションを取りやすい場合もあります。

発展していく街

インド社会が抱える言語問題③:ヒンディー語を話せる人に有利な体制への反発

インド国内でもヒンディー語を公用語として教育することに反発する地域があります。
特に南部では大きな暴動が起きたこともあったので、反発する人々も多くいます。

例えば、タミル・ナドゥ州ではこういった事情により、タミル語とインド英語のみを教えています。

インド社会が抱える言語問題④:地域によって話す言葉がまったく異なる

インドは国土が広くで、さらに13億1000万人という世界第二位の人口を誇ります。
そのため、その言語は「方言」とは言えない、ルーツも全く違う別の言語なのです。

例えば家庭内においても、その教育課程や環境によって主に話すのが違う言語を使ったりすることもあります。
このような環境に適応するためにも首都デリーなどでも同じ言語を使う人々の住宅が地域ごとに集まっていたりする工夫もされています。

インド社会が抱える言語問題⑤:書く文字が異なる

インドでは、話し言葉では同じような言語であっても文字では全く違うということがあります。
例えばヒンディー語とウルドゥー語は話し言葉としてはほぼ一緒ですが、同じペルシア語、アラビア語から影響を受けていても、そのルーツのため文字が全く違います。

インド社会が抱える言語問題⑥:インド英語の教育

インド英語はイギリスの統治下にあったこともありますが、準公用語として扱われています。
そのため、各地域の学校ではインド英語を必修としており、国内やまた、国外も含めてのコミュニケーション、ビジネス、科学技術の発展に大きく影響しています。

インド人同士でもヒンディー語や他の言語よりもスムーズに話せることも多くあります。
都市部の私立学校などでは、初等部から教育に取り込んでいることが多く、社会的または経済的に評価する指標にもなっています。

特にニューデリーの公立学校の初等部では授業の大半がインド英語によって行われています。
ただ、インド英語を重要視するあまり、母国語の教育がおろそかになってしまうのではないかとの見方もあります。

インド社会が抱える言語問題⑦:識字率の低さ

2011年の調べで平均的な識字率は74%で、男女比では男:82%、女65%となっています。
インドでは2002年の憲法改正と2009年の無償義務教育権法の制定により6歳から11歳の初等教育と11歳から14歳までの中等教育は義務化と無料化が図られています。

しかし、日本やアメリカ、イギリス、フランスの識字率99%といった先進国の識字率と比べると特に女子の識字率が低くなっています。
そこで識字率100%を目指して義務教育の2002年の82%から、100%を目標に国民皆教育戦略を展開中です。

インド社会が抱える言語問題⑧:話す人が少ない言語の難しさ

数多くの方言が存在しており特に山岳地帯や辺境にはそれが集中しています。
また、カーストというヒンドゥー教の身分制度のその階級ごとに言葉が違ったりもします。

現在ではカースト制度は都市化、近代化、産業化に伴い、都市部では職業選択の自由が拡大し、ほぼなくなっています。
しかし、農村部ではまだ根強く残って、特に南インドでは多く残っています

そのためコミュニケーションがうまく取れなかったり、カーストのさらに外側に位置するいわゆるアウト・カーストと呼ばれる人々もいます。
それが社会的な差別につながったりすることは、コミュニティにとっても致命的な問題となってしまいます。

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<下に続く>

インドの言語・公用語に関するまとめ

インドの複雑な言語体系を理解するのはいささか難しいところもあります。
しかし、公用語のヒンディー語、準公用語のインド英語を中心として、22の言語、2000の方言が複雑に絡み合っています。

識字率、就学率の向上という課題も抱えつつ、多数の言語を学ぶのは容易ではありません。
そういったマルチな言語感覚をもつことから、今後英語を初等教育から始めようとしている日本にも学ぶべきところは多くあるのではないでしょうか。

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