世界の税金が高い国ランキング
所得税、住民税、消費税、相続税…泣く泣く支払う税金の数々。
この国、日本を成り立たせるために必要なお金であることはわかってはいるけれど、どうしてこんなに高いのでしょうか。
しかし世界レベルで見てみると、日本の平均所得税率は22.2%、世界ランキングは24位で、実はそんなに高くありません。
日本の所得税率は、所得金額4,000万超だと税率は45%です。確かに、この最高数値で比較すると、世界的に高いランクの位置づけになります。
しかし、日本人の平均年収は約420万です。国民が支払った所得税を合算し課税人数で割ると平均値が算出され、そこでみた課税率が22.2%となるわけです。
それではいよいよ、気になる平均所得税率の世界ランキングを一緒にみていきましょう。
10位 オランダ 30.4%
オランダの最高所得税率は、驚きの50%超え。これは世界最高水準といっても過言ではない数値なのですが、平均所得税率はヨーロッパ先進国の中では、そんなに高い方ではありません。
オランダの税金の支払いには、さまざまな控除が適用されたり、現金還付制度が充実しているため、上手に申告すれば大幅に節税することが可能なのです。
9位 フィンランド 30.8%
所得税だけでなく、付加価値税や、社会保険料、地方税、保険税など、あらゆる税個人負担がハイクラスなフィンランド。
フィンランドはあらゆる社会保障制度が充実していて、義務教育から大学卒業まで授業料無償化、医療費もほぼ無料、優れた介護保障制度など、税金が高くても満足させられるだけのシステムとなっています。
8位 ルクセンブルグ 31%
ルクセンブルグは人口約50万人弱、面積は神奈川県と同じくらいという、とても小さな国です。
このような小さな国にもかかわらず、一人あたりのGDPが世界でもトップクラスを維持しているのは、労働者の約45%が隣国のドイツ、フランス、ベルギーの人だからです。
国外の人が納める税金により高水準になっているというカラクリなんですね。
7位 イタリア 31.1%
数多くの世界遺産を有するイタリアの最高所得税率は、75,000ユーロ超えで43%。ここに地方税や市税も徴収されますので、なかなかの高納税率となります。
そのため贅沢で派手なイメージのあるイタリア人ですが、一般庶民の生活は意外と堅実です。賢くお金をやりくりするイタリア人の術は、ぜひまねしてみたいですね。
6位 オーストリア 31.9%
オーストリアは人口約870万人と少なく、非常に人口密度が高い国です。
ここ数年のGDP成長率は増加傾向にあり、オーストリア国立銀行は2018年の実質成長率を2.8%、さらに5.1%の失業率低下との予測を発表しました。
人口が少ない国で高水準のGDP数値から、国民ひとりひとりがとても優秀であることがわかります。
5位 スロベニア 33.4%
スロベニアは、クロアチア、オーストリア、ハンガリーに隣接していて、人口約206万人、面積は四国ほどしかないとても小さな国です。
このような国民数が少ない国は労働者も少ないため、必然的に税金が高くなってしまいます。
平均所得税としては第5位ですが、社会保険でみると世界首位の高納税負担額となります。
4位 ハンガリー 33.5%
ハンガリーの個人所得税は非常に複雑で毎年更新されています。
一律15%とはなってはいるものの、法定最低賃金や扶養家族控除、福利厚生関連などさまざまな規定があります。
付加価値税が以前は一律27%だったハンガリーですが、国民の満足度の低さや経済低迷などから見直され、2017年から18%と5%の軽減税率の措置がおこなわれました。
3位 デンマーク 36.2%
世界で最も幸福感が高い国民として有名なデンマークの消費税は、すべて25%。
そして所得税は、39万クローネ(約680万円)の場合で25%、さらに住民税25%と医療負課税が8%と58%にものぼります。
その反面、大学進学までの教育費、医療、介護が無償化というサービスが充実しているので国民の満足度は高いのです。
2位 ドイツ 39.7%
ドイツは賃金から差し引かれる税金が最も高い国として知られています。平均的な賃金で差し引かれる租税額は52%です。
ドイツの租税で特徴的なのは、夫婦共働きか単身であるかによって、租税額に不平等が生まれることです。
どちらか一方が働いている場合は36.4%なのに対し、共働きであるというだけで、45.2%にもなります。
1位 ベルギー 40.7%
稼いだお給料の半分以上は、税金で消えてしまうベルギーの税金事情。
休暇がたくさん与えられる反面、就労規則がとても厳しく、1日の労働時間は8時間以内、1週間で38時間以内、平均年収は542万円ほどです。
38,830ユーロ以上(2018年)で課税率は半分の50%となりますので、平均的に50%以上課税している計算になります。
日本は税金が高い?理由は?
日本の税金が高いのは、以下の4つの理由があります。
- 支払っている割にリターンが少ない
- 加速する少子高齢化
- 増え続ける日本の借金
- 日本全体の金融リテラシーの低さ
では、日本の税金が高い理由を、それぞれ詳しくみていきましょう。
日本の税金が高い理由①:支払っている割にリターンが少ない
世界レベルで見ると、実はそんなに高いわけではない日本の税金。では、なぜ日本の国民は高いと感じてしまうのでしょうか。
それは、税金を支払っているのに、国民に対するリターンが日本はとても少ないことがあげられます。
デンマークは大学までの進学や介護、医療といった福利体制が充実していることから、国民の満足度は世界でもトップクラス。
日本は、子供の教育費、高い介護費、心配な年金制度、支払っている割に見返りがないことから、国民の不満が大きいものであるといえるのです。
日本の税金が高い理由②:加速する少子高齢化
このまま少子高齢化が進むと、高齢者の年金や医療費が増加する一方で、それを担う若年層の数がどんどん減少していきます。
日本の経済成長に必要な、若年層である労働者の数が減少していくことで、毎年必要な90兆円前後の国家予算も危ない状況です。
介護保険料の増加、子供を生みやすい社会づくりなど、国家もさまざまな対策を講じてきましたが、現状は追いついていないといえるでしょう。
このような現状と増えていく税金を目の当たりしている私たち。税金が高いと感じてしまうのは無理もない話しです。
日本の税金が高い理由③: 増え続ける日本の借金
日本の借金は約1,000兆円といわれていて、その額はどんどん増え続けています。国の税収が50兆円なのに対し、国家予算が90兆円。全く足りていない状況です。
国は国債に利子をつけ、銀行などの金融機関に買い取ってもらうことで莫大な資金を得ます。金融機関にお金を預けているのは、紛れもない国民である私たちです。
国は私たち国民から借金していることになります。増え続ける借金を少しでも減らすため、消費税増税などのさまざまな対策が講じられているのです。
日本の税金が高い理由④:日本の金融リテラシーの低さ
日本人は、世界の中で最も投資を嫌う国民です。投資はリスクがかかる可能性があるので、貯金をする方が安全だという考えに基づいてしまうのです。
特に高齢者の人は、お金を使うことを懸念し貯金をします。お金を使わないということは、国の経済を低迷化させることに繋がります。
銀行に眠っているお金を少しでも有効利用させるため、贈与税の特別措置など国は対策を講じてきました。日本人のこうした金融リテラシーの低さも、税金が高くなる原因のひとつなのです。
税金が高い都道府県ランキング
都会の住民税は高いなんて話しを聞いたことはありませんか。最低賃金が都道府県によって大きく違いがあるように、支払う税金額も違いがあるのでしょうか。
税金は、国税と都道府県民税、市町村民税の3つに分かれます。住民税はこのうちの都道府県民税、市町村民税を総称したものをいいます。
住民税は、各個人の年収、扶養家族などの状況に基づいて計算されますので、都道府県別に大きな差が生じることはまずありません。
しかし、住民税には各自治体が徴収する所得割と均等割と呼ばれるものがあり、この2つによって若干の差が生じることがあります。
この所得割と均等割のデータを基に都道府県別ランキングで表わしてみました。
尚、各市町村自治体によっても若干の違いがありますので、詳しくは各自治体ホームページで確認するようにしてください。
5位 岩手県
岩手県は盛岡市で見てみましょう。盛岡市の市民税には超過課税はありませんが、岩手県ではいわての森林づくり県民税というものがあります。
岩手県民税と盛岡市民税を合計すると均等割が6000円、所得割が10%となり、年収400万円の場合の住民税は179,612円となります。
4位 宮城県
宮城県は仙台市で見てみましょう。仙台市の市民税には超過課税はありませんが、宮城県でみやぎ環境税というものがあり均等割、所得割がそれぞれ増税されます。
合計すると均等割が6200円、所得割が10%となって、年収400万円の場合の住民税は179,812円となっています。
3位 神奈川県
神奈川県の中で最も高いのは横浜市です。神奈川県では水源環境保全税、横浜市では横浜みどり税というものがあり、均等割と所得割それぞれ増税されます。
合計すると均等割が6200円、所得割が10.025%となり、年収400万円の場合の住民税は180,252円となっています。
2位 兵庫県
兵庫県で最も高いのは豊岡市です。兵庫県は、県民緑税と均等割が800円の増税となっていて、豊岡市はここへさらに超過課税が加わります。
合計すると均等割が5800円、所得割が10.1%となり、年収400万円の場合の住民税は181,173円となります。
1位 北海道
北海道の中では夕張市です。夕張市は超過課税があり、均等割が500円、所得割が0.5%の増税となっています。
北海道民税と夕張市民税を合計すると均等割が5500円、所得割が10.5%。これで住民税を計算すると、年収400万円の人は187,917円となります。
税金が高くても豊かな生活ができる?
税金が高くても豊かな暮らしをすることは可能です。なぜなら、世界中の幸福度ランキングと税金が高いランキングは決して比例していないからです。
世界中の税金システムは、基本的には不平等が生まれないように上手くつくられているため、デメリットがあったとしてもどこかでメリットが得られるような仕組みになっています。
デンマークの税金は驚くほど高額ですよね。しかし、子供の教育費や老後の生活の心配をしなくていいという利点があり、最終的には豊かな暮らしを手に入れることができるのです。
税金は豊かな生活を遮るものではありません。
税金が高くて生活が苦しい!税金への対処法
税金への対処法には、以下の5つあります。
- 民間の生命保険に加入する
- 売上を増やすのではなく経費を増やす
- 妻がパートであれば150万まで稼ぐ
- 会社員のスーツ代も?給与所得者の特定支出控除
- 株や投信で損失が出れば申告を翌年に繰り越す
では、税金への対処法を、それぞれ詳しくみていきましょう。
税金への対処法①:民間の生命保険に加入する
民間の生命保険や医療保険、介護保険、個人年金保険、地震保険に加入すれば、病気したときの治療費や老後の生活が安定するばかりではなく、毎年申告することによって生命保険料の控除が受けられます。
会社員であれば、その年の給与所得の金額から差し引かれることになるので、所得税や住民税を軽減することにつながります。
毎年秋頃になると、生命保険会社から「生命保険控除証明書」といった証明書が送付されてきますので、年末調整時、もしくは確定申告で添付し、きちんと申告するようにしましょう。
税金への対処法②:売上を増やすのではなく経費を増やす
自営業やフリーランサーの人は、会社員のような年末調整ではなく、個人で申告書を作成し確定申告をおこなわければいけません。
フリーランスの人は、目先の売上のほうに執着しがちなのですが、売上を増やす努力より、経費を増やすことに力を入れたほうが節税につながります。
国民年金基金や共済保険に加入したり、接待交際費、10万円以内のパソコンや家具、仕事の範囲内での電気代などもすべて経費となります。
経費は思わぬところで結構転がっているものなので、今一度見直してみてはいかがでしょうか。
税金への対処法③:妻がパートであれば150万まで稼ぐ
2018年の税制改革により、働く妻の年収額が150万円に拡大されました。
これまでは、年収額103万までであれば、夫の配偶者控除38万円が受けられるシステムでしたが、150万まで稼ぐことができるようになったのです。
控除額が増え、さらに収入を増やすことができる今回のこの改正案は、働く主婦にとっては大変ありがたいものですよね。
ただし、夫の年収が1,120万から段階的に引き下げられ、1,220万円超えになるとこの制度は適応されませんので注意をしてください。
税金への対処法④:会社員のスーツ代も?給与所得者の特定支出控除
給与所得の会社員の人でも、自営業やフリーランスの人と同じように、仕事に必要とされる経費が一定額を超えれば、控除できる仕組み給与所得者の特定支出控除というのをご存知でしょうか。
これまでは、使った経費が1,500万円以上の人は、125万円。それ以下の人は給与所得の控除額の半分が適応されていました。平成28年度からは、この縛りがなくなり、一律で給与所得の控除額の半分が適応となりました。
仕事で必要だからと購入したスーツや書籍、資格取得のための授業料や研修費、出張の際の交通費なども全て適応されますので、領収書は集めておくようにしましょう。
税金への対処法⑤: 株や投信で損失が出れば申告で翌年に繰り越す
株式や投資信託の損失は、3年間繰り越して、各年分の「株式等譲渡所得」から控除することが可能です。
わかりやすくいうと、その年に出た収益がほかの利益と合算してもマイナス赤字になってしまった場合、3年間の期限つきで確定申告をおこない、損失を繰り越すことができるシステムです。
この繰越しをおこなっておくと、利益が出たその年の収益に控除することができるので節税にもつながり、大変有利なシステムだといえます。
価値がわかっていないと税金は高いと感じる
税金が高いと違和感を感じるのは、税金の価値がわかっていないせいです。
私たちは普段、物を買うとき物の値段と価値を比べます。価値がその物の値段より上回ったとき、始めて財布からお金を出して購入するのです。
私たちは、税金を払うことの意味やメリットを考え、価値を見出すことが必要なのかもしれません。