テレコの意味は入れ違い?
テレコは元々業界で使われていましたが、関西では業界だけなく一般にも使われていました。
今では関西に限らず、全国でも使うようになってきているようですね。
初めてテレコという言葉を耳にした人にしてみたら、「え?テレコ?」と意味が分からず戸惑ってしまうのも仕方ないでしょう。
テレコには、入れ違いという意味があり、他にも食い違いとか、あべこべ、互い違いという意味で使われているのです。
入れ違いもそんなに長い言葉ではないのに、なぜわざわざテレコと言うのか?
業界といってもいろんな種類がありますし、それぞれで使われるシチュエーションが違います。
業界用語は別名を隠語といいます。
その業界でしか通用しない言葉もありますし、幅広い業界で同じ意味で使われている言葉もあります。
テレコはさまざまな業界で使われている隠語のひとつです。
普通に言わずわざわざ言い換えするには、他の人に聞かれても意味がわからないように、つまり企業秘密という理由ですね。
簡単に意味がわからないようあえて言い換えをしているのです。
ただ単にみんなが使っていて、そっちの方が格好良く思えるからという理由も無きにしも非ず、そういう場合は入れ違いと覚えておくといいでしょう。
テレコの語源
どんな言葉にも由来や語源がありますよね!まずは由来から紹介します。
歌舞伎ではひとつの脚本の中に、内容が異なる2つの話を盛り込んでいます。
それを1幕ごとに交互に披露するのが歌舞伎の特徴となっているんですね。
つまり違う話が互い違いに進んでいくということを意味していて、てれこと呼ばれます。
語源は、手入れにあるとされています。
人の手を入れるとか、手を加えるという意味を持つ言葉にいつしか、こを語尾に付けるようになり手入れこと言われるようになります。
しかし手入れこでは少し長いので、略してテレコになりそれが定着するようになったのです。
人の手を加えて入れ替えるというような意味合いも含まれているのですね。
テレコの言い換え・類語
類語①:入れ違い
入れ違いというのは、人が入れ違う様を表す言葉です。
例えばいつもは家にいる人が、たまたま用事があって外出することになり家を出たところ、そのすぐ後に家にいるものと思い来客があったのに留守だった…こういうときの様子を、入れ違いと言います。
家主がいると思い家を訪ねた人にとっては、「家主とテレコになってしまった」という状態です。
意味を知っていれば前後の言葉からその人が何を言っているのかを理解できるようになります。
類語②:互い違い
互い違いは、歌舞伎を例にするとわかりやすいでしょう。
脚本は独特で幕ごとに互い違いに披露します。
互い違いには大きさが異なるモノを大小大小の順番に並べたり、白と黒のものを白黒白黒と並べるようなときにも使う表現ですよね!
類語③:あべこべ
あべこべは本来あるべき形とは逆の場合に使います。
順番や方向などが本来あるべき順序や向きではなかったとき、あべこべになっていると言います。
業界でも、順番が違うときや向きが違うときに使います。
ただし最近はあべこべという言葉を使う人が少ないため、あまり意味を深く考えて使う人は多くありません。
なんとなく意味は理解しているから、話が通じればそれでいいのかもしれません。
類語④:食い違い
食い違いといいうのは、考え方や意見が合わないことです。
お互いが全く違う考え方をしたり、えんぜん違う意見を言ったりすれば場の空気が険悪になることも。
話し合いで意見が食い違えば、結論が出ず水掛け論になってしまう…なんてこともありますよね。
どこまで行っても話が噛み合うことはないので、この場合どちらかが妥協しない限りずっとテレコのままということになってしまいます。
業界用語は隠語なので、結果を報告するとき人に悟られないようテレコでしたと言うことができます。
テレコは関西の方言?
テレコは歌舞伎の舞台の特徴が由来ですが、業界用語以外にも関西では普通に使われている言葉のひとつです。
一種の方言のようなイメージで、日常会話でも使っています。
関西の人は普通に使っていますので、会話の中にテレコという言葉が出てきても違和感なく大抵意味も通じます。
ビジネスシーンでも使われますし、日常会話の中でも普通に使われているので他から来た人にとっては意味がわからないこともあります。
関西以外では徳島県でもテレコを使うことが多いと言われています。
これは徳島が関西に近いからというのが理由です。
方言のようなものという理由から、関西や徳島以外ではテレコを日常会話で使っても相手に意味が通じずお互い戸惑うことも多いとか。
普段から当たり前のようにテレコを使っている人にしてみたら「なんで通じないの?」と思ってしまうでしょう。
言い方が全く違うとその地域では普通でも、他の地域に行けば普通ではないので意味が通じないのと同じです。
一般の人には関西圏外になるとほとんど通じないのが現実です。
テレコを業界用語として使う人達
テレコはさまざまな業界の人に使われています。
こうしている今もどこかの業界で「テレコ」という言葉が会話の中で使われているかもしれませんね。
テレコを使う人達はどんな業界の人なのかを詳しく見ていきましょう。
①:歌舞伎役者
歌舞伎の舞台は、ひとつの脚本に2つの異なる内容が含まれています。
ひとつの脚本をAとしもうひとつをBとした場合、1幕目にAを演じ次にBを演じるというように、幕ごとに交互に演じていきます。
どの舞台でも必ずてれこで舞台が進んでいくのです。
歌舞伎には古い歴史がありますが、の仕組みは昔から変わりません。
歌舞伎の場合はひらがなで表しますが、テレコという言葉が業界で浸透しているのでテレコとして使われるのも不自然ではなくなってきているようです。
もしも歌舞伎を見に行く機会があったら、1幕ごとにてれこで進んでいく舞台を見たら「これがてれこなのか!」と実感できことでしょう。
②:マスコミ業界
マスコミ業界では、独特の業界用語がたくさん存在しています。
言葉を逆さまに言うのマスコミならではの言い方ですし、テレコなシチュエーションは日常のいたるところに溢れているので、当たり前のように使われるのも面白いところ!
マスコミ業界の人の中には、歌舞伎の取材をする人も多いため歌舞伎の影響を強く受けているという一面も持っています。
台本や脚本、舞台の進行など芸能関係とも深い関わりがあるから、マスコミ業界で働く人にとって業界用語は日常的に使うので、覚えておくのも仕事のうちです。
テレコは指示を出したり誰かに伝えたりするときにも使いますし、会議や話し合いの場では色な意味でテレコが使われています。
使う理由は隠語として以外に、なんとなく格好良く業界通みたいに見られるからというのもあるようですね。
③:アパレル業界
有名ブランドやファッションショーなどでは、マスコミも押し寄せますよね。
アパレル業界はマスコミや出版業界ともつながりがあるので、業界用語も似たり寄ったりになる傾向があります。
業界用語は隠語のような意味合いを持っていますが、レテコについてはひた隠しにする必要がない場合も多いため、共通の意味で使われることも少なくないようです。
例えば大きなファッションショーで、マスコミ関係者が大勢来場しているような場所では、その舞台裏ではかなりの頻度でテレが使われています。
大きなショー以外でも、日常的に使われているので、アパレル業界で仕事をしていれば普通に耳に入ってくるので、意味を覚えておいて損はないでしょう。
④:出版業界
意外に思える部分もありますが、出版業界でもテレコはよく使われる言葉のひとつ。
記事の中身や原稿など書籍や雑誌を出版するにも、ミスは許されませんから念入りにチェックします。
その際文章の順序やページの順序など、テレコになっている部分があるとミスにつながる可能性がありますから、テレコにならないようにしなければいけません。
打ち合わせや原稿のチェックをするときも、会話の中で当たり前のようにテレコが使われています。
今後出版業界で働く予定がある人なら、自身でもいずれテレコを使う日がくるので意味を覚えておくと役に立つ日が来るかもしれませんね。
⑤:物流業界
物流業界でもテレコという言葉がよく使われています。
特に運送業界では荷物を出荷したり運送したりする際、テレコがあると大変です。
通販やネットショッピングが便利なことから、利用者が急増しており宅配業者は大忙しの状態です。
きつい仕事ということもあって慢性的な人員不足という問題があり、配送に関してもテレコがあると二度手間になるため念入りなチェックが欠かせません。
スムーズに仕事をするためにも、物流業界ではテレコにならないよう常に確認をしているのですね。
業界というとマスコミなどをイメージしがちですが、テレコはいろんな業界で使われているのがお分かりいただけたのではないでしょうか。
⑥:関西人
業界という意味では少し違いますが、関西人は日常的に会話の中でもテレコをよく使います。
これは方言のような意味合いもあるため、業界人以外でも普通に使われているのですね。
関西人にとっては、物心ついたときから普通に耳にしている言葉ということもあって、違和感を持つこともなく使っています。
しかしほかの地域ではテレコという言葉は使わないので、通じると思っていても全く通じないことがほとんどです。
ほかの地域でもテレコをよく使う業界人になら通じるかもしれませんが、業界とは関係のない一般の人には通じません。
これはテレコに限らず、どの方言でも言えることです。
地元だと皆普通に使っているのでそれが当たり前と思っていても、ほかの場所では当たり前じゃないので話がかみ合わないと戸惑ってしまうかもしれませんね。
でも通じないから恥じることはありません、関西では普通に使っているよ!と教えてあげると喜ばれることもあるかも?
ちなみに、関西に近い徳島でもテレコを使う人がいます。
徳島でもテレコは通用することが多いですが、やはり地域が限られるので全国的に通用する言葉とは言い切れない部分があります。
テレコと入れ子の違い
テレコに似ている言い方で「入れ子」という言葉があります。
テレコに入れ違いという意味があるため、なんとなく混同されてしまうこともありますが、テレコと入れ子は全く違う言葉です。
テレコと入れ子のそれぞれの言葉の意味を見直してみましょう。
テレコは入れ違いとか互い違い、あべこべなどという意味があります。
本来あるべき状態とは違う意味合いで使われることが多いですが、あえて変えているときにも使われます。
テレコは業界用語として一部の人に使われているほか、関西では方言として業界の人が使うのと同じ意味で日常的に使われている言葉でもあります。
入れ子という言葉もいくつかの意味を持っています。
辞書を引くとわかりますが、一般的には形は同じでも大きさの違うものがあって、大きいものの中に小さいものが入れられた状態を指します。
わかりやすく言うならロシアのマトリョーシカ人形ですね。
大きいマトリョーシカ人形を開くとその中に人回ち小さいマトリョーシカ人形が入っていて、さらに小さいマトリョーシカ人形が入れ子状態にされています。
もうひとつの意味としては、子供を亡くした親が養子を迎え入れたときに「入れ子をもらう」というような言い方をすることがあります。
これは新しく子供を迎え入れるという意味で、入れ子と表現します。
IT用語でも入れ子を使います。
意味はプログラミング言語などで使う()内に、関数を設定する際「入れ子」という言葉を使います。
豆知識としてあまり一般には使いませんが、和船の櫓床をはめるために開けられた穴のことを入れ子と呼ぶこともあります。
言葉的にはテレコも入れ子もよく似ていますが、意味を知れば全然違うことがお分かりいただけるでしょう。
テレコの例文
例文①:荷物がテレコ
主に物流業界で使われる例です。
注文があった商品を箱詰めするとき、うっかりしていて箱を間違えてしまうことがあります。
本来入るべき商品ではない商品が箱に入っている場合に、「この荷物中身がテレコだよ」というように使います。
梱包する前に気づけばミスを防げますが、商品が届いたのに中身が違うと企業の信頼を失うことになりかねません。
こういう場合は返品や交換が可能ですが、二度手間になりますしユーザーにいいイメージはもってもらえません。
例文②:コーディネートがテレコ
アパレル業界でよく使われる例です。
雑誌の撮影などでモデルに着せるコーディネートはあらかじめ決められていますよね。
撮影の時は何着も着替えるので、時々小物が入れ違いになってしまうことがあります。
全身のバランスを考えてコーディネートしているので、ひとつでも違うものが混ざってしまうと違和感が出てしまいます。
そんなときに「コーディネートがテレコになってる!」というような使い方をします。
例文③:原稿がテレコ
出版業界では原稿を元に編集をします。
原稿の順番などもすべて決まっていて、その通りに印刷して書籍や雑誌になり販売されます。
構成を考えて編集しているので、原稿がテレコになっていては意味が伝わらないことも!
書籍や雑誌にとってテレコになるのは致命的です。
印刷前に気づけば修正できますが、印刷してしまってからだとテレコで印刷したものは出版できません。
遅れなども出ますし、原稿を修正して印刷しなおすとなれば経費もかかって損をしてしまいます。
例文④:台本がテレコ
マスコミ業界で台本を見ながら打ち合わせをするとき、台本のセリフがテレコになっていることがあります。
セリフも順番があるので、テレコになってしまうと全体が繋がらなくなってしまいます。
この場合は修正可能ですが、できればテレコにならないよう台本を作るのが理想ですね。
例文⑤:テレコで到着
現地集合で誰か1人が遅れても、予定通り進めなければいけないというときは先に出発します。
一歩遅れて現地に到着したというとき「テレコで到着しました」というように使います。
アポはとっておらず、突然先方に出向いた場合、入れ違いで会えなかったというときも「テレコで到着して会えなかった」などと使うこともあります。
例文⑥:ポスターがテレコ
ポスターを貼るときに上下が逆さまになっている…なんてことも意外に多いです。
そんなときに「そのポスターテレコだよ!」と上下があべこべになっていると伝えることができます。
例文⑦:服がテレコ
シャツやセーターを洗濯するとき、裏返して洗いたたむときに裏返しのままでたたんでしまうと、気づかずにそのまま裏返しで着てしまっていた…なんてこともありますよね!
そういうときに関西では、「そのシャツ(セーター)テレコやで!」と教えてあげます。
服を着るときは裏表をよく確認してから着るようにしましょう。
例文⑧:日程がテレコ
主にビジネスシーンで使われることが多いです。
例えば取引先との打ち合わせや商談があった場合、A会社とB会社の日程がそれぞれ別の日に決まっていたとしましょう。
ホワイトボードや予定表に書き込む際、うっかりミスでA会社とB会社の名前を入れ違えて書いてしまっているといようなとき「このスケジュール日程がテレコになってるよ」というように言います。
ビジネスシーンでは打ち合わせや商談はとても重要ですよね!
それを間違えてしまうと先方にも失礼ですし、迷惑をかけてしまいます。
最悪大口の取引をダメにしてしまう可能性も…。
テレコにならないよう重要なスケジュールは特に慎重に確認しましょう。
テレコの意味は入れ違い?関西の方言?業界用語?類語や例文!まとめ
テレコという言葉を聞いて、テレフォンやテープレコーダーを略しているの?と思う人も多いかもしれません。
でも意味は全然違っていて、業界では普通に使われている言葉なんです。
関西では方言としても使われていますが、日本人が使う日本語でも実は知らない言葉がたくさん存在しているんですね!
今回紹介したテレコもその一つ、他にもいろんな言葉があるので興味があったら探してみて知識を増やすのもいいかもしれません。
関西の人は普通に使っていますので、関西に行く機会たあったら耳を澄ましてみてください。
意味が分かっていれば「なるほど!」と思えるでしょう。